番町喜楽会第122回例会開催

番町喜楽会第122回例会

「秋深し」「蟋蟀」で星川さん、野田さん高点句

番町喜楽会は11月2日(月)午後6時半、千代田区九段下の区立生涯学習館で、第122回例会を開催した。兼題は「秋深し」「蟋蟀」で、連休谷間の中、15人のメンバーが顔を揃えた。6句選句で句会の結果、最高は星川佳子さんの「抱卵の鶏のまるさや秋深し」の6点句。次席は野田冷峰さんの「あけび熟れ女子高生の高笑い」の5点句。次いで4点句には、須藤光迷さんの「餅負わせ歩めと囃す秋麗」、玉田春陽子さんの「秋深し今も機音残る町」、堤てる夫さんの「黒焦げの刈田を漁る群れカラス」の3句が並んだ。

続く3点句は9句、2点11句、1点23句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「秋深し」

抱卵の鶏のまるさや秋深し      星川 佳子

秋深し今も機音残る町        玉田春陽子

われ一語老妻一語秋深し       前島 巌水

「蟋蟀」

真夜中の蟋蟀に和す燗徳利      大澤 水牛

締切や闇の底よりつづれさせ     大澤 水牛

ちちろ虫大江戸線に辿りつく     大下 綾子

薬湯で蟋蟀をきく那須野かな     須藤 光迷

蟋蟀や仁王の足の土踏まず      玉田春陽子

「雑詠」

あけび熟れ女子高生の高笑い     野田 冷峰

餅負わせ歩めと囃す秋麗       須藤 光迷

黒焦げの刈田を漁る群れカラス    堤 てる夫

菜を間引く今年の秋を送りつつ    大澤 水牛

殻を割る恐竜の子や秋夕焼      須藤 光迷

ひと言を悔やみて眩し後の月     廣田 可升

参加者(出席)今泉而云、大澤水牛、大下綾子、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升、星川佳子、前島巌水(投句参加)嵐田双歩

(まとめ・てる夫)

 

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

錦秋の尾瀬を吟行

番町喜楽会と日経俳句会の有志17人が10月14、15両日、晩秋の尾瀬ヶ原を歩いた。二日間とも好天に恵まれ、宿の東電小屋から見上げる満天の星空、早朝の朝霧などこの季節ならではの尾瀬ヶ原をたっぷり味わった。数人が木道で転倒負傷したり体力消耗でダウン寸前に至るなど思わぬハプニングもあったが、無事に二日間の行程をこなし、帰京後のメール句会も滞りなく完遂した。

草紅葉の中を延々と続く木道、遠くには紅葉した燧ヶ岳と至仏山、それらが逆さに映る池塘、そこに浮かぶヒツジ草をじっくり見ながら晩秋の尾瀬を満喫した。

ドラマチックな錦秋の尾瀬吟行に参加したのは、水牛幹事長以下、嵐田双歩、井上啓一、今泉而云、大下綾子、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、廣田可升、星川佳子、野田冷峰。

帰京後の句会は3句以上5句を幹事にメール送信、幹事が選句表を取りまとめ参加者に送信、6句選句で上位3句に「天」「地」「人」を付ける方式で行った。その結果、最高は今泉而云さんの「山々の底に尾瀬あり星月夜」で24点という圧倒的な得点。次席は13点で高井百子さんの「助け合ふ連衆の輪や秋の尾瀬」、三席は12点で、廣田可升さんの「今ここに居る不思議さよ草黄葉」の句だった。上記以外の各人の代表句は次の通り。

鍵盤のごとき階踏めば秋       嵐田 双歩

霜の階てんの足跡てんてんと     井上 啓一

身に入むや夕風渡る草の原      今泉 而云

熊除けの鐘打ち鳴らす霧の中     大澤 水牛

うつくしきものを育み水澄めり    大下 綾子

夫婦かな紅葉きざはし扶けあふ    岡田 臣弘

木道にすってんころりん草紅葉    澤井 二堂

草紅葉歩幅大きく山ガール      杉山 智宥

木道の果ては朝霧至仏山       高井 百子

たすけ合ひいたはり合ひて秋惜しむ  高瀬 大虫

新芽出し大往生の水芭蕉       田中 白山

陽だまりに仲間を待ちて尾瀬の秋   谷川 水馬

裾ひろげ裾を重ねて山粧ふ      玉田春陽子

朝霧や眠りの深き尾瀬ヶ原      堤 てる夫

晩秋の尾瀬吟行や一列に       野田 冷峰

大宇宙尾瀬を蔽ひて夜寒かな     廣田 可升

霜とけて萱に雫のネックレス     星川 佳子

(まとめ 堤てる夫)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

三四郎句会第38回例会

三四郎句会第38回例会

「秋晴れ」と「蟷螂」を詠む

三四郎句会の平成27年10月例会(第三十八回)は、10月8日午後1時半から東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。出席は11人で、岡本崇さん、篠田義彦さんが欠席投句となった。岡本さんは欠席選句を行った。

兼題は「秋晴れ」と「蟷螂」で、選句の結果、河村有弘さんの「秋晴れの何処かふるさと置き忘れ」が最高点の5点を獲得した。河村さんは「秋晴れの伊那を井月酔ひ惑ふ」が4点、「迷ひあり秋晴れ眩しひとり旅」と「沈む陽を睨み蟷螂仁王立ち」が3点を得て、高得点句中に4句を並べる好成績だった。このほかに印南進さんの「秋晴れに出番少なき背広干す」、宇佐美論さんの「秋晴るる江戸散策の地図を手に」、岡本崇さんの「いわし雲墨を打ちたる杉丸太」の3句が4点を獲得した。3点以上の句は以下の通り。

 

秋晴れの何処かふるさと置き忘れ      河村 有弘

秋晴れに出番少なき背広干す        印南  進

秋晴るる江戸散策の地図を手に       宇佐美 論

いわし雲墨を打ちたる杉丸太        岡本  崇

秋晴れの伊那を井月酔ひ惑ふ        河村 有弘

夜嵐の連れて来たりし秋の晴        石黒 賢一

かまきりや忍者のさまの夜網戸       宇野木敦子

迷ひあり秋晴れ眩しひとり旅        河村 有弘

沈む陽を睨み蟷螂仁王立ち         河村 有弘

蟷螂の野に佇みて古武士かな        篠田 義彦

 

(記録報告 今泉而云)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

番町喜楽会第121回例会

番町喜楽会第121回例会

兼題「秋の燈」「蛇穴に入る」

横山恭子さん入会、鬼一さんが久々登場

番町喜楽会は10月3日(土)夕刻、千代田区九段下の割烹「味さと」に14人のメンバーを集めて10月例会を開催した。「味さと」での例会は二度目。この席には上智大学文学部教授(心理学)の横山恭子さんが紹介者の大下綾子さんとともに参加し、久しぶりに現れた加沼鬼一さんと共に選句の輪に加わった。

この日の兼題は「秋の燈」「蛇穴に入る」で、投句参加者3人を含む17人の投句総数は85句。6句選の句会の結果、最高は田中白山さんの「一軒に秋の灯一つ老いし町」の6点1句。次席は5点句で、谷川水馬さんの「秋の灯の色折りこめてだまし舟」と、廣田可升さんの「独り居の覚束なさよ秋灯」の2句。続く4点句は、高井百子さんの「穴惑ひ三十路女の正念場」、水馬さんの「山霧や大湖を呑みて動かざる」、玉田春陽子さんの「京の路地格子に細き秋ともし」、堤てる夫さんの「白鷺も鴉も群れて刈田風」の4句が並んだ。

次いで3点は5句、2点15句、1点29句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「秋の灯」

一軒に秋の灯一つ老ゐし町       田中 白山

秋の灯の色折りこめてだまし舟     谷川 水馬

独り居の覚束なさよ秋灯        廣田 可升

京の路地格子に細き秋ともし      玉田春陽子

笊揺れる八百屋の軒や秋灯       廣田 可升

「蛇穴に入る」

穴惑ひ三十路女の正念場        高井 百子

温め合ふ夢をさがして穴惑ひ      高瀬 大虫

石垣の穴に蛇入る古砦         高瀬 大虫

「雑詠」

山霧や大湖を呑みて動かざる      谷川 水馬

白鷺も鴉も群れて刈田風        堤 てる夫

曼珠沙華平将門跳梁す         井上 啓一

秋桜風に遊びて遊ばれて        井上 啓一

参加者(出席)嵐田双歩、今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、大下綾子、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、野田冷峰、星川佳子、前島巌水(選句参加)横山恭子(投句参加)井上啓一、徳永正裕、廣田可升     (記録・てる夫)

 

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

日経俳句会第142回例会

 

日経俳句会第142回例会

 

「月」「虫」で高点句が二十五句も

 

日経俳句会の平成27年度第8回例会(通算142回)は9月16日(水)午後6時半、千代田区内神田の日経広告研究所会議室に19人の会員が出席して行われた。兼題は「月(つき、名月・十五夜など可)「虫(むし、虫時雨、個別の虫も可)」で、投句参加14人を加えて、投句総数は161句にのぼった。

選句7句の結果、最高は7点で大澤水牛さんの「雲くぐりまた雲くぐる月の舟」の1句。次席は横井定利さんの「お角力が自転車で行く赤とんぼ」の6点句。三席5点句は、高瀬大虫さんの「貌見れば昔のままの蝗かな」と、廣上正市さんの「黙といふ会話ありけり月今宵」の2句。

続く4点句は8句を数え、3点句は13句に上った。3点句までの高点句は25句。以下2点は22句、1点43句。兼題別の高点句は次の通り。

「月」

雲くぐりまた雲くぐる月の舟        大澤 水牛

黙といふ会話ありけり月今宵        廣上 正市

一時は月とらへたり大欅          大倉悌志郎

月の舟朽ちゆく街を渡り行く        大沢 反平

読み終へし手紙月下にまた開く       嵐田 双歩

名月を待ちて始まる影絵かな        大熊 万歩

鰡跳んで運河に揺るる月の陰        大倉悌志郎

薄雲の袖に隠れる月の顔          高石 昌魚

独り野に月の光の肌ざわり         谷川 水馬

遅月や季寄せ転がる枕元          谷川 水馬

物干しにきやりーぱみゅぱみゅ聴く良夜   横井 定利

「虫」

貌見れば昔のままの鰉かな         高瀬 大虫

古城址に武者の宴や虫しぐれ        大倉悌志郎

明日無しと思ひつめてや夜半の虫      大澤 水牛

虫の音や古りし頭巾の六地蔵        高石 昌魚

庭の虫戸を繰る音を覚えたり        堤 てる夫

虫の音に雨やむを知る夜半の床       星川 佳子

夜の気を鋭く研ぐや虫の声         大熊 万歩

虫の音や酸味効きたる向付         金田 青水

虫の音を聴きに二度目の湯浴みかな     澤井 二堂

「雑詠」

お角力が自転車で行く赤とんぼ       横井 定利

焼き栗をポッケにパリの蚤の市       須藤 光迷

むかご飯尼も一献般若湯          大倉悌志郎

山越えて義民の里や蕎麦の花        堤 てる夫

ベトナムの寺の痩猫秋簾          星川 佳子

 

参加者(出席)嵐田双歩、井上庄一郎、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大下綾子、岡田臣弘、澤井二堂、鈴木好夫、杉山智宥、高石昌魚、高瀬大虫、堤てる夫、直井正、野田冷峰、流合研士郎、廣上正市、星川佳子、水口弥生

(投句参加)池村実千代、植村博明、大熊万歩、大沢反平、加藤明男、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、谷川水馬、徳永正裕、藤野十三妹、藤村詠悟、横井定利

(記録・てる夫)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

酔吟会118回例会

 

第118回酔吟会 「秋の空」「相撲」を詠む

酔吟会の9月例会(通算118回)は9月12日(土)午後1時から千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開催、13人が出席、投句参加が3人だった。兼題は「秋の空」と「相撲」で投句総数は80句。7句選句の結果、最高は6点、大澤水牛さんの「泰平の街ひと呑みに秋出水」と、野田冷峰さんの「つまづけば呼ばるる思ひ秋彼岸」の2句。次席は玉田春陽子さんの「身の丈に風を誘ふや草の花」の5点1句。三席は4点句、今泉而云さんの「手に受けてずしりと露のトマトかな」と、春陽子さんの「優勝に子山羊一頭草相撲」「吾亦紅客なき夜のカウンター」の2句の計3句が並んだ。

この句会で、今泉恂之介さんは俳号「而雲」を「而云」と字画の少ない表記に改めた。読みは「じうん」と変わらない。続く3点句は8句、2点11句、1点17句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「秋の空」

なぜここに嫁いで来たか秋の空     高井 百子

五句できて肘枕して秋の空       谷川 水馬

内股で水飲む麒麟秋の空        谷川 水馬

「相撲」

優勝に子山羊一頭草相撲        玉田春陽子

大関は弟弟子よ脊を洗ふ        今泉 而云

また負けて人気力士の眉間皺      大澤 水牛

凡凡とはや九月場所巡りくる      久保田 操

「雑詠」

泰平の街ひと呑みに秋出水       大澤 水牛

つまづけば呼ばるる思ひ秋彼岸     野田 冷峰

身の丈に風を誘ふや草の花       玉田春陽子

手に受けてずしりと露のトマトかな   今泉 而云

吾亦紅客なき夜のカウンター      玉田春陽子

また一つ廃屋増えてキリギリス     大沢 反平

称名寺月の出を待つ池の端       藤村 詠悟

参加者(出席)大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田臣弘、片野涸魚、久保田操、澤井二堂、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰(投句参加)今泉而云、藤野十三妹、藤村詠悟

(記録・てる夫)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

番町喜楽会第120回例会

番町喜楽会第120回例会

今泉さん、俳号を而雲から「而云」に変える

番町喜楽会の平成27年9月例会(通算120回)は9月7日(月)午後6時半、千代田区九段下の区立生涯学習館で開かれた。兼題は「爽やか」「露」で12人が出席、4人が投句参加した。投句総数は80句。選句6句で句会を進めた結果、最高は今泉而云さんの「函館は海の際まで星月夜」の7点句だった。次席は玉田春陽子さんの「爽やかに目礼かはす巫女と巫女」の5点句。続く三席は4点で、而云さんの「私もう人妻ですと爽やかに」、大澤水牛さんの「爽やかな笑顔に席を譲らるる」と「朝露に茄子の紫光りけり」の2句、須藤光迷さんの「爽やかや白煙うすき登窯」「ふくめ煮の芋つややかに赤絵皿」「箔剥げし阿弥陀三尊つくつくし」の三句と、春陽子さんの「爽やかや襷紫紺の弓道部」の計7句が並んだ。

続く3点は7句あったが、ここにも而云、水牛、光迷3氏の作品があり、3点以上の高点句計16句の内、而云、水牛、光迷、春陽子4氏の作品が合計12句を占めた。以下、2点8句、1点20句。なお、今泉而雲さんが「雲という字の雨冠が何となく重苦しいので『而云』とします」と改名宣言した。なるほど「而うして雲となる」よりは「而うして云う」の方が素直な感じがするようだし、面白い。

この日の兼題別の高点句は次の通り。

「爽やか」

爽やかに目礼かはす巫女と巫女    玉田春陽子

私もう人妻ですと爽やかに      今泉 而云

爽やかな笑顔に席を譲らるる     大澤 水牛

さわやかや白煙うすき登窯      須藤 光迷

爽やかや襷紫紺の弓道部       玉田春陽子

「露」

朝露に茄子の紫光りけり       大澤 水牛

一番機動くや露の滑走路       今泉 而云

露葎素足の百度参りかな       大澤 水牛

白露や淡海をわたる鐘の音      須藤 光迷

朝露や港の丘の方位石        谷川 水馬

急峻の上田本城露葎         堤 てる夫

芝の先一本ごとの露の玉       前島 巌水

「雑詠」

函館は海の際まで星月夜       今泉 而云

ふくめ煮の芋つややかに赤絵皿    須藤 光迷

箔剥げし阿弥陀三尊つくつくし    須藤 光迷

しどけなく剥ける白桃よるの厨    星川 佳子

参加者(出席)今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升。(投句参加)嵐田双歩、井上啓一、星川佳子、前島巌水

(記録・てる夫)

 

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

三四郎句会第37回例会

三四郎句会の平成27年8月例会(第37回)は、20日午後1時半から東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。出席は10人で、岡本崇さん、印南さんが欠席投句・選句参加、篠田義彦さんは出席予定だったが、直前の体調不良で欠席した。

兼題は「秋の声」と「曼殊沙華」で、選句の結果、渡邉信さんの「木漏れ日に苔むす古刹秋の声」が5点を獲得して最高点。続いて岡本崇さんの2句「ひたひたと瀬戸は海より秋の声」「緋の目高甕の水面の雲に乗り」など計3句が4点で続いた。3点以上の兼題別高点句は以下の通り。

『秋の声』

木漏れ日に苔むす古刹秋の声       渡邉  信

ひたひたと瀬戸は海より秋の声      岡本  崇

刀剣の間の静寂 (しじま) より秋の声   今泉恂之介

弥勒像思惟の指先秋の声         深瀬 久敬

能登の海秋の声する千枚田        渡邉  信

みみず鳴く夜の庭にも秋の声       吉田 正義

日の落ちる時のすきまに秋の声      石黒 賢一

待ちわびる便りもなくて秋の声      宇佐美 諭

『曼珠沙華』

夕陽燃ゆトプカピ宮や曼珠沙華      河村 有弘

流鏑馬の的散る先や曼珠沙華       印南  進

『雑詠』

緋の目高甕の水面の雲に乗り       岡本  崇

(記録・報告 今泉恂之介)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

日経俳句会第141回例会を開催

連続猛暑日記録を残した平成27年8月。千代田区内神田の日経広告研究所会議室で19日夕刻開かれた日経俳句会8月例会(通算141回)には、出席20人、投句参加12人計32人の参加があった。

兼題は「処暑(しょしょ)」「終戦日(敗戦忌)」で、投句総数は156句。7句選句の結果、最高は大熊万歩さんの「蝉の殻爪の先まで光満つ」の9点句。次席は杉山智宥さんの「寝て疲れ起きて疲れて処暑となる」の7点句。三席には、澤井二堂さんの「今朝もまたラジオ体操終戦日」、谷川水馬さんの「利き酒のほどよく醒めて処暑の風」、村田佳代さんの「ジャズ祭の正午の静けさ終戦日」の6点3句が並んだ。

次いで5点句は、大沢反平さんの「道白し昼月白し広島忌」と、水馬さんの「引き揚げを語る母亡き終戦日」の2句。続く4点句は6句、3点句は12句、2点25句、1点28句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「処暑」

寝て疲れ起きて疲れて処暑となる    杉山 智宥

利き酒のほどよく醒めて処暑の風    谷川 水馬

輪郭のやや衰へし処暑の蔭       大熊 万歩

悼む日を幾つかこなし処暑の風     廣上 正市

処暑の子の宿題帳の捗らず       嵐田 双歩

Tシャツの薄れし色や処暑の風     大熊 万歩

香り立つクロワッサンや処暑の朝    須藤 光迷

遠き日のコーラス合宿処暑の寺     高瀬 大虫

里帰り処暑の昼寝や畳拭く       水口 弥生

「終戦日(敗戦忌)」

今朝もまたラジオ体操終戦日      澤井 二堂

ジャズ祭の正午の静けさ終戦日     村田 佳代

引き揚げを語る母亡き敗戦忌      谷川 水馬

敗戦忌義手の奏でる手風琴       高瀬 大虫

米国で娘安産終戦忌          澤井 二堂

腹の子に手を添え語る終戦日      徳永 正裕

なほ固く締める蛇口や終戦日      廣上 正市

物置の黒き飯盒終戦日         星川 佳子

「雑詠」

蝉の殻爪の先まで光満つ        大熊 万歩

道白し昼月白し広島忌         大沢 反平

あやかしの憲法論議蚯蚓鳴く      嵐田 双歩

縄文の壷の中より秋の声        今泉恂之介

陽を受けて凛と銀座の白絣       水口 弥生

解像度上がり台風眼の深き       高瀬 大虫

年齢はただの数字と生御霊       星川 佳子

繋ぐ手の願ひあるらし星流る      水口 弥生

 

参加者(出席)嵐田双歩、井上庄一郎、今泉恂之介、植村博明、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、澤井二堂、鈴木好夫、杉山智宥、高石昌魚、高瀬大虫、谷川水馬、徳永正裕、直井正、野田冷峰、流合研士郎、星川佳子、水口弥生、横井定利

(投句参加)池村実千代、大石柏人、大熊万歩、岡田臣弘、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、堤てる夫、廣上正市、藤村詠悟、村田佳代

(記録 堤てる夫)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment

番町喜楽会第119回例会

番町喜楽会第119回例会

 

関東・甲信地方で猛暑日連続記録を更新する中、八月一日(土)午後五時半、千代田区九段の割烹「味さと」を会場に番町喜楽会八月例会(通算百十九回)が開かれた。十三人出席、二人投句参加で、兼題は「原爆忌(げんばくき)」「片蔭(かたかげ)」と時季もの。投句総数七十五句、選句六句で進めた結果、最高は五点で、須藤光迷さんの「湧水に映る髭面蝉時雨」と田中白山さんの「広島忌七つの川の静かなり」の二句。次席は大澤水牛さんの「梅干して一笊ごとの大休止」の四点一句。

三席三点は今泉而雲さんの「青空の深さこよなき長崎忌」、高井百子さんの「人の背を片蔭にして交差点」、星川佳子さんの「秒針の動くをみつめ原爆忌」の三句。三点以上の高点句は、合計六句に止まった。その反動か、二点がなんと二十二句、一点十三句がひしめき合った。猛暑の異常気象が句会に熱旋風を吹き込んだ? 兼題別の高点句六句は次の通り。

「原爆忌」

広島忌七つの川の静かなり      田中 白山(五点)

青空の深さこよなき長崎忌      今泉 而雲(三点)

秒針の動くをみつめ原爆忌      星川 佳子(三点)

「片蔭」

人の背を片蔭にして交差点      高井 百子(三点)

「雑詠」

湧水に映る髭面蝉時雨        須藤 光迷(五点)

梅干して一笊ごとの大休止      大澤 水牛(四点)

 

参加者(出席)嵐田双歩、今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、廣田可升、星川佳子、前島巌水(投句参加)高井百子、野田冷峰

(まとめ・てる夫)

 

Posted in 句会報告 | Leave a comment