日経俳句会平成27年度年次総会を開催

 

金丸会長挨拶「堅実な活動、永続へ努力」

活動報告、会計報告、新年度幹事会人事などを了承

 

日経俳句会は12月16日(水)午後5時、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で、平成27年度年次総会を開催、28人が出席し、年間活動報告、会計報告、新年度の幹事会メンバー選出を行った。

年次総会ではまず大澤水牛幹事長が一年間の活動報告を行った。例会活動、合同句会、吟行大会などは例年通り順調に実施したものの、年間2回の会報発行が1回となり、毎月発行の月報が9回発行にとどまった。俳句会の組織・体制上の問題解決を28年度の課題として持ち越すことになったと総括した。

続いて星川佳子会計担当幹事から平成27年度の会計報告(仮締め)が行われ、次期繰越金もあって会の財政は健全であると報告された。次ぎに新年度の役員選出に移ったが、立候補者が無く、金丸会長以下現メンバーが引き続き幹事会を構成することを全会一致で決めた。

締め括りに、今年3月、高橋淳(ヲブラダ)会長の後を受け第3代会長に就いた金丸泰輔氏(日経編集局次長兼文化部長)が挨拶、日経俳句会の堅実、順調な活動を評価するとともに、職務として俳壇・歌壇の紙面を見ている立場から「日経俳句会の作品の水準は高い。この活動が永続するよう私も頑張ります」と強調した。

年次総会の後、「第11回日経俳句会賞」贈賞式、平成27年度下期合同句会、懇親会が開かれた。

(記録報告 堤てる夫)

 

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番町喜楽会第123回例会

 

「年忘れ」「白菜」を兼題に盛大な忘年句会

 

平成27年を締め括る番町喜楽会の12月例会(通算123回)が12月5日(土)午後6時半、千代田区九段北の割烹「味さと」の二階を借り切って開かれた。兼題は「年忘れ」「白菜」で、出席15人、投句参加1人の投句総数80句。6句選句の結果、最高は高瀬大虫さんの「雑踏に一人吟行三の酉」の7点句。次席は6点で、大澤水牛さんの「よき人に囲まれてをり年忘れ」と、須藤光迷さんの「年忘れ喜寿も傘寿も健啖家」の2句が並んだ。三席5点も、今泉而云さんの「忘年会来たぞクラスの原節子」と、玉田春陽子さんの「白菜を赤城颪の端に干す」の2句。続く4点は、須藤光迷さんの「裏返すお好み焼きや隙間風」、春陽子さんの「白菜に重石のぐずる一夜かな」、廣田可升さんの「果てのなきテロル空爆虎落笛」の3句。3点は4句、以下2点10句、1点22句と続いた。

句会の席はそのまま懇親会の場となり、刺身、焼物、寄せ鍋を前に、年忘れの歓談が続いた。この日の兼題別高点句(3点以上)は次の通り。

「年忘れ」

よき人に囲まれてをり年忘れ     大澤 水牛

年忘れ喜寿も傘寿も健啖家      須藤 光迷

忘年会来たぞクラスの原節子     今泉 而云

「白菜」

白菜を赤城颪の端に干す       玉田春陽子

白菜に重石のぐずる一夜かな     玉田春陽子

新弟子の白菜切るや左四つ      廣田 可升

「雑詠」

雑踏に一人吟行三の酉        高瀬 大虫

裏返すお好み焼きや隙間風      須藤 光迷

果てのなきテロル空爆虎落笛     廣田 可升

洛北の時雨を縫ひて一の宮      谷川 水馬

年の瀬や介護ベッドにあるひとり   堤 てる夫

木蓮の輝く冬芽ひとつずつ      堤 てる夫

 

参加者(出席)嵐田双歩、井上啓一、今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、野田冷峰、廣田可升、星川佳子、前島巌水、(投句参加)徳永正裕。  (まとめ・てる夫)

 

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三四郎句会庭園美術館吟行

 

アールデコの建築と小春日の庭園にくつろぐ

三四郎句会は11月19日(木)午後1時から、東京・港区の東京都庭園美術館で第2回吟行会を行った。7人が参加し、松や紅葉の木の並ぶ庭園、旧朝香宮邸のアールデコ建築、開催中のオットー・クンツリ展(宝飾美術)を見て回り、約3時間で終了。その後、JR目黒駅近くのレストランで2句投句の句会と合評会を行った。時期は初冬だったが、温暖な晩秋を思わせる天候のため、秋の季語も使えることにした。参加者の代表句は以下の通り。

 

落葉踏む音の響きし足の裏       宇佐美 諭

日に映えていろは紅葉の赤緑      宇野木敦子

雨上がり紅葉あでやかアールデコ    竹居 照芳

アールデコラインのアーチ冬の松    深瀬 久敬

枯芝に落葉を拾う子のありて      渡邉  信

冬天へ龍の如くに松の肌        今泉 而云

冬の陽にうたたねしたき館かな     印南  進

(まとめ 今泉而云)

 

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日経俳句会第144回例会

 

「芭蕉忌」「山茶花」に33人から159句

 

日経俳句会の例会としては本年最後となる第10回(通算144回)が11月18日午後6時半から千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開かれた。出席者18人、投句参加者15人で、「芭蕉忌」「山茶花」に159句が寄せられた。選句の結果、廣上正市さんの「初時雨けふを最後の同期会」の8点が最高で、次席は大沢反平さんの「山茶花や少し幸せ喜寿の朝」の6点句だった。三席5点句は池村実千代さんの「板塀に山茶花のぞく根津のみち」、井上庄一郎さんの「初時雨音なく町を包みけり」、今泉而云さんの「ほうじ茶も空也最中も翁の忌」の4句。続く4点は9句、3点も9句、以下2点21句、1点46句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「芭蕉忌」

ほうじ茶も空也最中も翁の忌       今泉 而雲

時雨忌や間口の広き米穀店        大下 綾子

吟行といふ徘徊や翁の忌         金田 青水

芭蕉忌や近江に続く伊賀の路       須藤 光迷

時雨忌を日がな一日川を見て       横井 定利

芭蕉忌や天地のあはれ少し知り      大倉悌志郎

芭蕉忌や池三めぐりの苦吟かな      澤井 二堂

煮売り屋にしぐれ煮買うも芭蕉の忌    徳永 正裕

「山茶花」

山茶花や少し幸せ喜寿の朝        大沢 反平

板塀に山茶花のぞく根津のみち      池村実千代

山茶花や面を小脇に剣士たち       須藤 光迷

恋知りし山茶花と見ゆ隠し紅       高瀬 大虫

山茶花や園児らバスに競ひ乗る      流合研士郎

山茶花やおしゃべり終はる気配なし    嵐田 双歩

山茶花や花びらにひく薄き紅       井上庄一郎

闇の庭白き山茶花こぼれたり       大熊 万歩

「雑詠」

初時雨けふを最後の同期会        廣上 正市

初時雨音なく町を包みけり        井上庄一郎

祈りをる使徒のごとくやラガーマン    嵐田 双歩

落ち葉掃く認知のひとのをりにけり    廣上 正市

二人して築くは栗の殻の山        須藤 光迷

すれ違ふ人の残り香冬桜         大沢 反平

干し上ぐる大根すだれ奥穂高       谷川 水馬

ざる一枚熱燗二合翁の忌         横井 定利

 

参加者(出席)今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、流合研士郎、廣上正市、星川佳子、横井定利(投句参加)嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、直井正、藤野十三妹、藤村詠悟、水口弥生       (まとめ・堤てる夫)

 

 

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酔吟会第119回例会

 

「木の葉髪」と「文化の日」を詠む

 

酔吟会の平成27年11月例会(通算119回)が11月14日(土)午後1時から千代田区内神田の日経広告研究所会議室(MIFビル)で開かれた。12人が出席、6人が投句参加、投句総数は86句だった。

兼題は「木の葉髪」と「文化の日」。7句選句で句会を行ったところ票が極端に割れ、最高点が5点で、玉田春陽子さんの「まだ恋の一つや二つ木の葉髪」という句だけ。次席は4点句が無く、3点句がずらずらと8句もひしめき合う「団栗の背比べ句会」の様相を呈した。兼題が二題とも難しかったせいとの意見もあったが、「木の葉髪」など中々の句があり、「やはり実力伯仲のせいだ」という自画自賛的結論に落ち着いた。以下、2点13句、1点が27句で、総投句数の6割近くに点が入る結果となり、やはり実力接近が証明されたようである。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「木の葉髪」

まだ恋の一つや二つ木の葉髪       玉田春陽子

つむじ見ゆ小さき妻の木の葉髪      大澤 水牛

これやこのこんがらがるも木の葉髪    今泉 而云

五人の子育てし母や木の葉髪       徳永 正裕

木の葉髪銀座トラヤでニューハット    澤井 二堂

わだかまり日に日に解けて木の葉髪    高井 百子

「文化の日」

路地裏に声一つなき文化の日       久保田 操

「雑詠」

沖合の雲の重さや冬初め         大沢 反平

連山に秋日果てゆく辰野の湯       久保田 操

参加者(出席)今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田臣弘、片野涸魚、澤井二堂、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、野田冷峰。(投句参加)大石柏人、久保田操、徳永正裕、藤野十三妹、藤村詠悟、星川佳子。       (まとめ・大澤水牛)

 

 

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日経俳句会第143回(10月例会)

 

「天高し」と「秋草」に百六十二句

最高の六点に四句が並ぶ

 

日経俳句会の平成27年第9回例会(通算143回)が10月21日(水)午後6時半から千代田区内神田の日経広告研究所会議室(MIFビル)で開かれた。この日は出席19人に対して投句参加者が15人で、投句総数は162句と相変わらずの賑わい。兼題は「天高し」と「秋草」の二題。7句選句で句会を行った結果、最高点が6点で、「天高し草投げ上げる象の鼻 万歩」「秋の灯のふつと消えたり百二歳 水牛」「自販機のコインの響く夜寒かな 臣弘」「安曇野の秋草挿して蕎麦処 悌志郎」の四句が並んだ。次席の5点は「天高く速き疎水の南禅寺 好夫」「天高しゆるゆる戻る蛸の足 光迷」「売れ残る墓苑の幟秋深し 反平」「無造作に秋草と言ひ束ねたる 水牛」と、これまた4句が押しくらまんじゅう。三席4点句は「戦国の石垣しかと天高し 正裕」、「抗わず引き抜かれたり秋の草 而云」「地蔵撫で秋草撫でて風去りぬ 研士郎」の3句。続く3点は13句、2点22句、1点46句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「天高し」

天高し草投げ上げる象の鼻        大熊 万歩

天高く速き疎水の南禅寺         鈴木 好夫

天高しゆるゆる戻る蛸の足        須藤 光迷

戦国の石垣しかと天高し         徳永 正裕

秋高し山下りる牛乳張りて        徳永 正裕

天高し雲をかすめる観覧車        久保田 操

天高しラグビーボール宙を裂く      水口 弥生

「秋草」

安曇野の秋草挿して蕎麦処        大倉悌志郎

無造作に秋草と言ひ束ねたる       大澤 水牛

抗わず引き抜かれたり秋の草       今泉 而云

地蔵撫で秋草撫でて風去りぬ       流合研士郎

信号機撤去の告示秋の草         廣上 正市

さわさわと挽歌の調べ秋の草       直井  正

廃線や潮の匂ひと秋の草         加藤 明男

「雑詠」

秋の灯のふつと消えたり百二歳      大澤 水牛

自販機のコインの響く夜寒かな      岡田 臣弘

売れ残る墓苑の幟秋深し         大沢 反平

山峡に夜の鳴る音秋は染む        藤野十三妹

月天心人の心の深き井戸         藤野十三妹

染め抜きの赤き幟やりんご狩り      谷川 水馬

シャシャシュシュととぐ音軽し今年米   加藤 明男

駄菓子屋の硝子に釣瓶落としかな     須藤 光迷

秋桜育ち過ぎたる貸農園         杉山 智有

秋澄むや会社でいれるハーブティー    星川 佳子

 

参加者(出席)嵐田双歩、井上庄一郎、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、谷川水馬、徳永正裕、直井正、野田冷峰、流合研士郎、廣上正市、星川佳子。(投句参加)池村実千代、植村博明、大石柏人、大熊万歩、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、藤野十三妹、藤村詠悟、水口弥生、横井定利。       (まとめ・大澤水牛)

 

 

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番町喜楽会第122回例会開催

番町喜楽会第122回例会

「秋深し」「蟋蟀」で星川さん、野田さん高点句

番町喜楽会は11月2日(月)午後6時半、千代田区九段下の区立生涯学習館で、第122回例会を開催した。兼題は「秋深し」「蟋蟀」で、連休谷間の中、15人のメンバーが顔を揃えた。6句選句で句会の結果、最高は星川佳子さんの「抱卵の鶏のまるさや秋深し」の6点句。次席は野田冷峰さんの「あけび熟れ女子高生の高笑い」の5点句。次いで4点句には、須藤光迷さんの「餅負わせ歩めと囃す秋麗」、玉田春陽子さんの「秋深し今も機音残る町」、堤てる夫さんの「黒焦げの刈田を漁る群れカラス」の3句が並んだ。

続く3点句は9句、2点11句、1点23句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「秋深し」

抱卵の鶏のまるさや秋深し      星川 佳子

秋深し今も機音残る町        玉田春陽子

われ一語老妻一語秋深し       前島 巌水

「蟋蟀」

真夜中の蟋蟀に和す燗徳利      大澤 水牛

締切や闇の底よりつづれさせ     大澤 水牛

ちちろ虫大江戸線に辿りつく     大下 綾子

薬湯で蟋蟀をきく那須野かな     須藤 光迷

蟋蟀や仁王の足の土踏まず      玉田春陽子

「雑詠」

あけび熟れ女子高生の高笑い     野田 冷峰

餅負わせ歩めと囃す秋麗       須藤 光迷

黒焦げの刈田を漁る群れカラス    堤 てる夫

菜を間引く今年の秋を送りつつ    大澤 水牛

殻を割る恐竜の子や秋夕焼      須藤 光迷

ひと言を悔やみて眩し後の月     廣田 可升

参加者(出席)今泉而云、大澤水牛、大下綾子、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升、星川佳子、前島巌水(投句参加)嵐田双歩

(まとめ・てる夫)

 

 

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錦秋の尾瀬を吟行

番町喜楽会と日経俳句会の有志17人が10月14、15両日、晩秋の尾瀬ヶ原を歩いた。二日間とも好天に恵まれ、宿の東電小屋から見上げる満天の星空、早朝の朝霧などこの季節ならではの尾瀬ヶ原をたっぷり味わった。数人が木道で転倒負傷したり体力消耗でダウン寸前に至るなど思わぬハプニングもあったが、無事に二日間の行程をこなし、帰京後のメール句会も滞りなく完遂した。

草紅葉の中を延々と続く木道、遠くには紅葉した燧ヶ岳と至仏山、それらが逆さに映る池塘、そこに浮かぶヒツジ草をじっくり見ながら晩秋の尾瀬を満喫した。

ドラマチックな錦秋の尾瀬吟行に参加したのは、水牛幹事長以下、嵐田双歩、井上啓一、今泉而云、大下綾子、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、廣田可升、星川佳子、野田冷峰。

帰京後の句会は3句以上5句を幹事にメール送信、幹事が選句表を取りまとめ参加者に送信、6句選句で上位3句に「天」「地」「人」を付ける方式で行った。その結果、最高は今泉而云さんの「山々の底に尾瀬あり星月夜」で24点という圧倒的な得点。次席は13点で高井百子さんの「助け合ふ連衆の輪や秋の尾瀬」、三席は12点で、廣田可升さんの「今ここに居る不思議さよ草黄葉」の句だった。上記以外の各人の代表句は次の通り。

鍵盤のごとき階踏めば秋       嵐田 双歩

霜の階てんの足跡てんてんと     井上 啓一

身に入むや夕風渡る草の原      今泉 而云

熊除けの鐘打ち鳴らす霧の中     大澤 水牛

うつくしきものを育み水澄めり    大下 綾子

夫婦かな紅葉きざはし扶けあふ    岡田 臣弘

木道にすってんころりん草紅葉    澤井 二堂

草紅葉歩幅大きく山ガール      杉山 智宥

木道の果ては朝霧至仏山       高井 百子

たすけ合ひいたはり合ひて秋惜しむ  高瀬 大虫

新芽出し大往生の水芭蕉       田中 白山

陽だまりに仲間を待ちて尾瀬の秋   谷川 水馬

裾ひろげ裾を重ねて山粧ふ      玉田春陽子

朝霧や眠りの深き尾瀬ヶ原      堤 てる夫

晩秋の尾瀬吟行や一列に       野田 冷峰

大宇宙尾瀬を蔽ひて夜寒かな     廣田 可升

霜とけて萱に雫のネックレス     星川 佳子

(まとめ 堤てる夫)

 

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三四郎句会第38回例会

三四郎句会第38回例会

「秋晴れ」と「蟷螂」を詠む

三四郎句会の平成27年10月例会(第三十八回)は、10月8日午後1時半から東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。出席は11人で、岡本崇さん、篠田義彦さんが欠席投句となった。岡本さんは欠席選句を行った。

兼題は「秋晴れ」と「蟷螂」で、選句の結果、河村有弘さんの「秋晴れの何処かふるさと置き忘れ」が最高点の5点を獲得した。河村さんは「秋晴れの伊那を井月酔ひ惑ふ」が4点、「迷ひあり秋晴れ眩しひとり旅」と「沈む陽を睨み蟷螂仁王立ち」が3点を得て、高得点句中に4句を並べる好成績だった。このほかに印南進さんの「秋晴れに出番少なき背広干す」、宇佐美論さんの「秋晴るる江戸散策の地図を手に」、岡本崇さんの「いわし雲墨を打ちたる杉丸太」の3句が4点を獲得した。3点以上の句は以下の通り。

 

秋晴れの何処かふるさと置き忘れ      河村 有弘

秋晴れに出番少なき背広干す        印南  進

秋晴るる江戸散策の地図を手に       宇佐美 論

いわし雲墨を打ちたる杉丸太        岡本  崇

秋晴れの伊那を井月酔ひ惑ふ        河村 有弘

夜嵐の連れて来たりし秋の晴        石黒 賢一

かまきりや忍者のさまの夜網戸       宇野木敦子

迷ひあり秋晴れ眩しひとり旅        河村 有弘

沈む陽を睨み蟷螂仁王立ち         河村 有弘

蟷螂の野に佇みて古武士かな        篠田 義彦

 

(記録報告 今泉而云)

 

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番町喜楽会第121回例会

番町喜楽会第121回例会

兼題「秋の燈」「蛇穴に入る」

横山恭子さん入会、鬼一さんが久々登場

番町喜楽会は10月3日(土)夕刻、千代田区九段下の割烹「味さと」に14人のメンバーを集めて10月例会を開催した。「味さと」での例会は二度目。この席には上智大学文学部教授(心理学)の横山恭子さんが紹介者の大下綾子さんとともに参加し、久しぶりに現れた加沼鬼一さんと共に選句の輪に加わった。

この日の兼題は「秋の燈」「蛇穴に入る」で、投句参加者3人を含む17人の投句総数は85句。6句選の句会の結果、最高は田中白山さんの「一軒に秋の灯一つ老いし町」の6点1句。次席は5点句で、谷川水馬さんの「秋の灯の色折りこめてだまし舟」と、廣田可升さんの「独り居の覚束なさよ秋灯」の2句。続く4点句は、高井百子さんの「穴惑ひ三十路女の正念場」、水馬さんの「山霧や大湖を呑みて動かざる」、玉田春陽子さんの「京の路地格子に細き秋ともし」、堤てる夫さんの「白鷺も鴉も群れて刈田風」の4句が並んだ。

次いで3点は5句、2点15句、1点29句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「秋の灯」

一軒に秋の灯一つ老ゐし町       田中 白山

秋の灯の色折りこめてだまし舟     谷川 水馬

独り居の覚束なさよ秋灯        廣田 可升

京の路地格子に細き秋ともし      玉田春陽子

笊揺れる八百屋の軒や秋灯       廣田 可升

「蛇穴に入る」

穴惑ひ三十路女の正念場        高井 百子

温め合ふ夢をさがして穴惑ひ      高瀬 大虫

石垣の穴に蛇入る古砦         高瀬 大虫

「雑詠」

山霧や大湖を呑みて動かざる      谷川 水馬

白鷺も鴉も群れて刈田風        堤 てる夫

曼珠沙華平将門跳梁す         井上 啓一

秋桜風に遊びて遊ばれて        井上 啓一

参加者(出席)嵐田双歩、今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、大下綾子、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、野田冷峰、星川佳子、前島巌水(選句参加)横山恭子(投句参加)井上啓一、徳永正裕、廣田可升     (記録・てる夫)

 

 

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