三四郎句会第42回例会

 

参加14人で「薄暑」「郭公」を詠む

石丸雅博さんが入会

 

三四郎句会の平成28年5月例会(通算42回)は12日午後1時半から東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。篠田義彦氏は長期の休会、岡本崇、田村豊生、印南進の三氏は病後リハビリ中などで今回も欠席投句、欠席選句を行った。今回から入会の石丸雅博氏が加わり、出席者は11人。欠席投句、選句を加えると句会参加は14人となった。兼題は「薄暑」「郭公」。

選句の結果、最高点の5点は「江戸川の空を裁つごと夏燕」(岡本崇)の一句。「雪抱く山を遠くに桃の花」(宇野木敦子)、「病窓に強き光や薄暑知る」(田村豊生)の2句が4点で並んだ。「濃淡の木々に薄暑や立石寺」(吉田正義)など7句が3点を獲得した。兼題別3点以上の句は以下の通り。

「薄暑」

病窓に強き光や薄暑知る      田村 豊生

山寺に薄暑招くや芭蕉の碑     吉田 正義

濃淡の木々に薄暑や立石寺     吉田 正義

乗り換へを違へて戻る駅薄暑    今泉 而云

座布団の少し膨れる薄暑かな    宇佐美 諭

心音の聞こえるほどの薄暑かな   宇佐美 諭

城登る雲を眼下に薄暑かな     宇野木敦子

「郭公」

郭公の声に腰上ぐ老農夫      田村 豊生

「雑詠」

江戸川の空を裁つごと夏燕     岡本  崇

雪抱く山を遠くに桃の花      宇野木敦子

 

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番町喜楽会第127回例会

 

大型連休の谷間、参加19人で「立夏」「祭」

池内健治さんが入会

 

番町喜楽会の平成28年5月の例会(通算第127回)は、2日(月)午後6時半から九段下の千代田区立生涯学習館で開催された。日中の気温は21℃を超え、兼題の「立夏」まで三日を残して早くも初夏の陽気。もうひとつの兼題は「祭」で、こちらは三社祭まであと10日というところ。大型連休の谷間という日程もなんのその、16人が出席、3人が投句参加した。また、高井百子会長のかつての職場、産能大学の同僚教授池内健治さんが入会した。

句会は投句5句、選句6句で行った。最高は8点で、廣田可升さんの色気があり元気いっぱいの句「負けん気の後ろ姿や祭髪」、次席は6点で田中白山さんの健康への祈りの籠った句「退院のあとの外来更衣」、三席は5点で高瀬大虫さんの爽快な夏の到来を告げる「薄掛けの目覚め心地や今朝の夏」だった。以下、4点が「頼もしや親父こえたる祭足袋 春陽子」など3句、3点が「朝バスの窓より入れる立夏風 正裕」など7句。2点11句、1点が33句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「立夏」

薄掛けの目覚め心地や今朝の夏      高瀬 大虫

樹海から立夏の空の見え隠れ          嵐田 双歩

夏立つや小便小僧反り返る        谷川 水馬

夏来る噴煙への字浅間山                     玉田春陽子

朝バスの窓より入れる立夏風          徳永 正裕

赤ワイン少し冷やして夏来る          徳永 正裕

「祭」

負けん気の後ろ姿や祭髪             廣田 可升

頼もしや親父こえたる祭足袋                   玉田春陽子

婦人部のありて祭のつつがなし        星川 佳子

祭り後恋の後にも似たりけり               斉山 満智

「雑詠」

退院のあとの外来更衣                        田中 白山

卯の花や旧家の蔵に喫茶店                     玉田春陽子

湯の町の川を跨げり鯉幟         須藤 光迷

 

参加者

(出席)嵐田双歩、井上啓一、池内健治、今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升、星川佳子、前島厳水 (投句参加)斉山満智、谷川水馬、山口斗詩子

(選句参加)大下綾子

(報告 須藤光迷)

 

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日経俳句会第148回例会

 

中村哲さんが入会

 

日経俳句会は4月20日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で4月例会(通算148回)を開いた。句会の数日前、熊本地震が発生、大きな余震も心配される中、「霞」「菜飯」の兼題に、35人の会員から166句の投句があった。当日の出席者は20人、投句参加者は16人だった。この日は、新入会の中村哲さんが出席し、選句に参加した。

7句選の結果、最高の7点に池村実千代さんの「フランスの塩をひとふり菜飯かな」、植村博明さんの「霞より現れ出たる陸上部」、髙石昌魚さんの「諍ひも失せて菜飯の箸二膳」、廣上正市さんの「指揮棒のぴたりと止まり卒業す」の4句が並ぶ珍しい結果となった。次席の6点は「タンカーの重き汽笛や春霞 水馬」が入り三席の5点句は「鉄塔の手に手を取って花霞 博明」、「仏前に微かに湯気の菜飯かな 操」「俎板の音の残れる菜飯かな 正市」、「山霞風力発電機にて混ぜる 佳子」の4句が並んだ。高得点句が多かったためか、4点句が5句といつもに比べて少なく、3点8句、2点28句、1点44句という結果になった。兼題別3点以上の高点句は以下の通り。

「霞」

霞より現れ出たる陸上部             植村 博明

タンカーの重き汽笛や春霞            谷川 水馬

山霞風力発電機にて混ぜる            星川 佳子

父と娘のこゑやはらかに夕霞           金田 青水

弧舟あり西湖をまたぐ春霞            大沢 反平

春霞行先表示長きバス              大下 綾子

「菜飯」

フランスの塩をひとふり菜飯かな         池村実千代

諍ひも失せて菜飯の箸二膳            髙石 昌魚

仏前に微かに湯気の菜飯かな           久保田 操

俎板の音の残れる菜飯かな            廣上 正市

海風や菜めしに混じる黄の蕾           高瀬 大虫

坊っちゃんの菜飯ぞなもし温泉街         高橋ヲブラダ

青くさき正論やよし菜飯食ふ           德永 正裕

ルッコラの菜飯に舅苦笑い            中嶋 阿猿

菜飯食ふさびしいときは笑いけり         野田 冷峰

「雑詠」

指揮棒のぴたりと止まり卒業す          廣上 正市

鉄塔の手に手を取って花霞            植村 博明

花の塵舗道に描く青海波             大熊 万歩

桜蘂降る下町の空広し              大下 綾子

春雨や広重の雨モネの雨             谷川 水馬

花恋し万朶の道の果ててなほ           德永 正裕

戦はぬことへの決意春の夜            中嶋 阿猿

 

参加者(出席)嵐田双歩、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、岡田臣弘、澤井二堂、杉山宥智、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、星川佳子、水口弥生。(投句参加)池村実千代、和泉田守、井上庄一郎、植村博昭、大熊万歩、大沢反平、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、中沢義則、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、横井定利

(まとめ・嵐田双歩)

 

 

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英尾先生墓参・滝山城址吟行を開催

 

桜五千本の花吹雪に酔う

 

4月9日(土)、日経俳句会は恒例の村田英尾先生の墓参・桜吟行を実施した。花曇りの中、時折陽射しに恵まれる絶好の吟行日和、集合場所のJR高尾駅北口に集まったのは、大澤水牛幹事長、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、徳永正裕、星川佳子、野田冷峰に番町喜楽会の田中白山と幹事堤てる夫の9人。

まずは路線バスで都立八王子霊園へ向かい、日経俳句会創設者英尾先生のお墓参り。先生没後3年を経た平成20年4月、霊園と近くの「多摩森林科学園」を訪れたのが第1回で、それから既に8年、先生が亡くなられて11年になる。初回以来、墓参後は森林科学園の「桜保存林」へ行くのが慣例になっていたが、今回は趣向を変えて、北条氏照の居城だった「滝山城址公園」に足を伸ばした。霊園からタクシーに分乗して30分ほど、滝山街道沿いの登山口から標高160㍍ほどの三の丸、二の丸、中の丸を目指す。

この滝山城址公園は5千本の桜の名所だけに花見客、ハイカーが目立つ。千畳敷址で昼食。保存林と違って「飲酒可」なのが嬉しい。風が出て桜吹雪は「舞う」より「飛ぶ」感じ。山城北側にある多摩川を見下ろす眺望を中の丸から楽しむ。鶯が飛び鳴くという、おまけ付きの展望だった。帰途は麓の滝山街道「純心学園」前から京王バスで八王子駅北口に戻った。仕上げの懇親会は北口周辺の花街黒塀横丁などをさらっと見て、へぎそばの「笹禅」でテーブルを囲んだ。

吟行句会は慣例の「メール句会」、5句投句、5句選句で「天地人」「入選」を選ぶ方式を踏襲。選句には吟行には参加しなかった今泉而云さんが飛び入りで加わった。

その結果は、最高点が徳永正裕さんの「谷に落ち谷より上がる花吹雪」でダントツの18点だった。次席は堤てる夫さんの「古戦場遥か眼下に春の川」の10点、三席がやはり徳永さんの「酔いほのか昼寝に誘う花筵」の9点、次いで本日の副幹事として地元案内を買って出てくれた杉山智宥さんが「多摩川の春きらめいて中の丸」の句で8点獲得し面目を保った。その他、句会で人気を集めた参加者の代表作は次の通り。

鶯の稽古積んだる谷渡り        大澤 水牛

茣蓙のべて浅き夢路へ山笑ふ      岡田 臣弘

桜散る花びら添へてむすび喰ふ     澤井 二堂

花吹雪千畳敷に昼の酒         杉山 智宥

芽柳の花街の路地狭かりき       田中 白山

英尾忌の十一年目の桜かな       堤 てる夫

精気満つ九本桜の異形かな       徳永 正裕

一叢の関東破れ傘一家         星川 佳子

山桜背伸びしてをり五千本       野田 冷峰

(報告者 堤てる夫・大澤水牛)

 

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番町喜楽会第126回例会

 

「春深し」と「燕」を詠む

星川さん、番喜会史上初の天地人独占

 

番町喜楽会の平成28年4月例会(通算126回)は、4月2日(土)午後6時から九段下の割烹「味さと」で、「春深し」と「燕」を兼題として行われた。

曇天で少し肌寒い一日ではあったが、昼間は千鳥ヶ淵などでお花見を楽しんだ人たちもいて、定刻には出席予定者13名が集まった。今回は欠席投句が多く井上、斉山、堤、星川、前島の五氏にのぼった。また斉山弥生さんが俳号を満智と定めての初投句となった。

投句5句、選句6句で句会を進めた結果、星川佳子さんの「春深しひっそり閑と父母の家」が六点を獲得して首位(天)。同じく星川さんの「燕ゆく卯建並びし宿場町」が5点で次席(地)を占め、さらに「頬杖で何やら言うて春深し」が4点の三席(人)となり、番町喜楽会句会史上初の天地人独占のグランドスラムを達成した。

また、三席4点句には徳永正裕さんの「石橋の反りやはらかに竹の秋」が入った。以下、3点句が7句、2点句が20句、1点句が24句という結果になった。

欠席投句を含め投句合計は90句だった。

兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「春深し」

春深しひっそり閑と父母の家          星川 佳子

頬杖で何やら言うて春深し           星川 佳子

休耕田見守る羅漢春深し            谷川 水馬

春深し子らかしましき貸農園          谷川 水馬

春深し不意に鳴り出すオルゴール        嵐田 双歩

アオザイの裾風に揺れ春深し          野田 冷峰

「燕」

燕ゆく卯建並びし宿場町            星川 佳子

落ちるなよ命満杯つばめの巣          斉山 満智

「雑詠」

石橋の反りやはらかに竹の秋          徳永 正裕

鯛焼を供え彼岸を終えにけり          須藤 光迷

芽柳の水面華やぐ薄緑             山口斗詩子

 

〈参加者〉(出席十三名)嵐田双歩、今泉而雲、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升、山口斗詩子(投句参加五名)井上啓一、斉山満智、堤てる夫、星川佳子、前島厳水

(報告 谷川水馬)

 

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第41回三四郎句会

 

参加13人で「水温む」「雛祭」を詠む

 

三四郎句会の平成28年3月例会が17日午後1時半から東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。この日は急用、旅行などによる欠席者が増え、出席者は7人にとどまったが、6人から投句・選句があり、投句・選句参加者は13人となった。兼題は「水温む」と「雛祭」。

選句の結果、河村有弘さんの「うつろひを見た面差しや古ひいな」「嫁ぐ子へアルバム添えて納め雛」、岡本崇さんの「揚げ舟に木槌の音や水温む」の3句が最高点の4点に並んだ。続く3点には「退院の和らぐ海や水温む」(印南進)「息子泣く雛の祭のバースデー」(渡邉信)などの5句が続いた。

 

3点以上獲得した高点句は次の通り。

うつろひを見た面差しや古ひいな       河村 有弘

嫁ぐ子へアルバム添えて納め雛        河村 有弘

揚げ舟に木槌の音や水温む          岡本 崇

息子泣く雛の祭のバースデー         渡邉 信

退院の和らぐ海や水温む           印南 進

奥座敷ガラス戸越しの雛飾り         深瀬 久敬

池の鴨シンクロナイズド水温む        竹居 照芳

灯を消してのち秘めやかな雛の声       今泉 而云

(報告 今泉而云)

 

 

 

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六義園吟行を開催

 

名園の大辛夷、枝垂れ桜に酔う

 

日経俳句会・番町喜楽会は3月23日(水)の昼下がり、文京区本駒込の特別名勝「六義園」で、花見吟行を催した。参加者は大澤水牛、今泉而云両氏のほか嵐田双歩、大下綾子、岡田臣弘、久保田操、杉山智宥、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、徳永正裕各氏に堤てる夫(吟行幹事)の13人。花曇りながら日差しにも恵まれる中、三分咲きの枝垂れ桜、満開の大辛夷を観賞、老中柳沢吉保が築造した約二万六千坪、回遊式築山泉水庭園を夕暮れ近くまで巡った。

夕食を兼ねた懇親会は徒歩圏にあるイタリア料理店。呑み放題のビール、ワインで喉を潤して2時間、冷たい夜風に酔いを醒ましながらそれぞれに帰途についた。六義園はこの日から夜間照明を点灯、夜桜を観に戻った熱心な人も数人いた。

吟行句会はメールで投句3〜5句、選句5句で行い「天=5点」「地=3点」「人=2点」「入選1点」で採点した。その結果、最高点は「天」を三つ集めた水牛さんの「百千の胡蝶吐き出す大辛夷」の18点。次席は智宥さんの「染井から一歩今年の花巡り」が16点。三席は而云さんの「曇りのち晴れて万余の花辛夷」が13点だった。吟行参加者の人気を集めた作品は以下の通り。

 

夜は夜の顔持つ枝垂れ桜かな     嵐田 双歩

いくたびの春ぞ躑躅の茶屋柱     今泉 而云

三分咲き糸桜良し燗の良し      大澤 水牛

没日中峠より見ゆ大辛夷       大下 綾子

夕桜百四の母へみせたやな      岡田 臣弘

行く鴨の名残を惜しむ水辺かな    久保田 操

名園の枝垂れ桜よ頭が高い      杉山 智宥

糸桜横目に酒徒と甘党と       須藤 光迷

三分咲き枝垂れ桜は絹の色      高井 百子

うらなりの辛夷一隅照らしをり    谷川 水馬

残りたる齢に沁みる花見かな     玉田春陽子

六義園茶室の縁に桜びと       堤 てる夫

ゲートルの女庭師や松の花      徳永 正裕

 

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日経俳句会第147回例会

 

「龍天に登る」と「田楽」を兼題に35人から171句

 

日経俳句会は3月16日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所(MIFビル)会議室で三月例会(通算147回)を開いた。「龍天に登る」「田楽」という手の込んだ兼題にもかかわらず、35人の会員から171句の投句があり、活気溢れる会になった。当日の出席者は23人。

いつものように投句5句、選句7句(欠席者選句5句)で進め、最高点の7点は杉山宥智さんの「龍天に武州上州土埃」が選ばれた。続く6点句は加藤明男さんの「龍天に登るロックのコンサート」、金田青水さんの「登り来る龍に出遭ふや宇宙船」、星川佳子さんの「田楽やとぼけ上手になりし父」の3句。5点句も3句で、「重力波なるものの音龍天に」(中嶋阿猿さん)、「田楽の串振りかざす議論好き」(植村博明さん)、「やはらかな一雨去つて初桜」(嵐田双歩さん)。

4点句は9句あり、3点は15句 、2点は17句、1点は43句。兼題別3点句以上の高点句は以下の通り。

「龍天に登る」

龍天に武州上州土埃         杉山 宥智

龍天に登るロックのコンサート    加藤 明男

登り来る龍に出遭ふや宇宙船     金田 青水

重力波なるものの音龍天に      中嶋 阿猿

龍天に眠るゴジラは海の底      嵐田 双歩

龍天に逢瀬は虹の消ゆるまで     大倉悌志郎

竜天に背伸び競ふやチューリップ   澤井 二堂

雷神にやあと手を挙げ龍天へ     須藤 光迷

龍天に沖に揺れをる摩天楼      流合研士郎

龍天に水使う手の緩みけり      流合研士郎

法堂に鳴き声残し龍天に       大熊 万歩

龍天に昇る心地の退院日       髙石 昌魚

振り仰ぐなんじゃもんじゃや龍天に  徳永 正裕

龍天に土蔵にのこる火事のあと    星川 佳子

「田楽」

田楽やとぼけ上手になりし父     星川 佳子

田楽の串振りかざす議論好き     植村 博明

田楽や織部の皿にかしこまる     植村 博明

さ緑の木の芽でんがく新所帯     徳永 正裕

田楽で幾何学語る一人酒       中嶋 阿猿

田楽や秩父はいつも山の影      嵐田 双歩

田楽や酔ひて爺さまの鷺の舞ひ    今泉 而云

田楽や学会抜けて南禅寺       鈴木 好夫

田楽や古りに古りたる塗りの盆    須藤 光迷

生湯葉に生麩田楽先斗町       谷川 水馬

「雑詠」

やはらかな一雨去つて初桜      嵐田 双歩

配膳に紙の雛の置かれをり      廣上 正市

閻魔様に追返されて七日粥      大倉悌志郎

お下がりの着物ほどきて吊るし雛   谷川 水馬

宿坊や五人がかりの松手入      谷川 水馬

日脚伸ぶ坂の途中の長き椅子     廣上 正市

初蝶や下校の子等は冒険家      星川 佳子

 

参加者(出席)嵐田双歩、和泉田守、井上庄一郎、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、沢井二堂、杉山宥智、鈴木好夫、高石昌魚、高瀬大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中嶋阿猿、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、星川佳子、水口弥生、横井定利(投句参加)池村実千代、植村博昭、大熊万歩、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、須藤光迷

(まとめ・廣上正市)

 

 

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第121回酔吟会例会を開催

 

出席15人で「彼岸」「レタス」を詠む

 

第121回酔吟会は平成28年3月12日午後1時から内神田・鎌倉橋交差点そばのMIFビル8階、日経広告研究所会議室で開かれた。この日の兼題は「彼岸」「レタス」で、投句5句、選句7句で句会を行った。

三月とはいえ真冬のような寒さの中、俳句愛好者は熱心で15人が出席した。投句参加は大石拍人、藤野十三妹、野田冷峰の3氏だった。

選句・披講の結果は最高点が5点で2句、次いで4点が1句と高得点句が少なかったが、3点句になると13句と増え、2点句が15句、1点句が22句と多かった。投句総数が90句で、点の入った句が合計53句と過半数を超える接戦となった。3点以上の高得点句は以下の通り。

「彼岸」

ふんわりと山彦帰る彼岸かな       谷川 水馬

老いること知らぬ鳥たち入り彼岸     今泉 而雲

どこからか母の声する彼岸かな      片野 涸魚

兵馬俑彼岸を此岸に作り置き       澤井 二堂

入り潮の運河の匂い彼岸かな       徳永 正裕

大叔母のぼたもちありし入彼岸      星川 佳子

入彼岸仏前隅に宝くじ          玉田春陽子

「レタス」

無造作にレタスちぎりて名無し鍋     大澤 水牛

萵苣の株喰らふマナティーガラス越し   谷川 水馬

萵苣巻いてソウルの夜はふけにけり    星川 佳子

「雑詠」

啓蟄や妻いっぱしの政治論        大沢 反平

朝歩きレタスサンドの喫茶店       徳永 正裕

やり直しきかぬ人生春一番        片野 涸魚

かなしみの記念日多き弥生かな      片野 涸魚

リベンジを誓ひし絵馬へ春きたらむ    岡田 臣弘

(報告 澤井二堂)

 

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第125回番町喜楽会例会を開催

 

「春雨」と「蝶」を詠む

齊山弥生さん加入、出席18人の大盛況

 

番町喜楽会の平成28年3月例会(通算百125回)は、3月7日(月)午後6時半から、「春雨」と「蝶」を兼題として九段下の千代田区立生涯学習館で開催された。朝方から降っていた雨が、夕方にはやみ風も温かくなって、春を感じさせる陽気となった。高井百子会長の友人、齊山弥生さんが初参加、出席者は18人と会場となった会議室はギシギシの状態。

投句5句、選句6句の結果、野田冷峰さんの「石仏もくちびるゆるむ春の雨」が8点を獲得して首位に。玉田春陽子さんの「採れたての春を並べて朝の市」が7点で次席、谷川水馬さんの「春雨や小三治聴きて肘枕」と広田可升さんの「蝶ひらりあの日の嘘ももう時効」の2句が5点で三席に並んだ。以下、4点が5句、3点が6句と高点句が15句の大賑わい、2点は11句、1点は33句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

『春雨』

石仏もくちびるゆるむ春の雨    野田 冷峰

春雨や小三治聴きて肘枕      谷川 水馬

春の雨干されしままのレオタード  徳永 正裕

春雨にゆるりほころぶ紫木蓮    大澤 水牛

ジーンズの藍よみがへる春の雨   大下 綾子

春雨や千年楠を傘として      徳永 正裕

春雨のまあるく服にとまりけり   星川 佳子

『蝶』

蝶ひらりあの日の嘘ももう時効   広田 可升

蝶来たる今日は何着て行こうかな  今泉 而雲

向き合ふて道を譲らぬ小蝶かな   谷川 水馬

初蝶やナプキン立ててテラス席   玉田春陽子

初蝶の空の青さに溶けにけり    前島 厳水

『雑詠』

採れたての春を並べて朝の市    玉田春陽子

たらの芽の苦みたしかに朝の粥   山口斗詩子

笹やぶに節の決まらぬ初音かな   谷川 水馬

 

<参加者>(出席)嵐田双歩、今泉而雲、大澤水牛、大下綾子、齊山弥生、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、広田可升、星川佳子、前島厳水、横山恭子(投句参加)井上啓一、山口斗詩子

(まとめ 須藤光迷)

 

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