第121回酔吟会例会を開催

 

出席15人で「彼岸」「レタス」を詠む

 

第121回酔吟会は平成28年3月12日午後1時から内神田・鎌倉橋交差点そばのMIFビル8階、日経広告研究所会議室で開かれた。この日の兼題は「彼岸」「レタス」で、投句5句、選句7句で句会を行った。

三月とはいえ真冬のような寒さの中、俳句愛好者は熱心で15人が出席した。投句参加は大石拍人、藤野十三妹、野田冷峰の3氏だった。

選句・披講の結果は最高点が5点で2句、次いで4点が1句と高得点句が少なかったが、3点句になると13句と増え、2点句が15句、1点句が22句と多かった。投句総数が90句で、点の入った句が合計53句と過半数を超える接戦となった。3点以上の高得点句は以下の通り。

「彼岸」

ふんわりと山彦帰る彼岸かな       谷川 水馬

老いること知らぬ鳥たち入り彼岸     今泉 而雲

どこからか母の声する彼岸かな      片野 涸魚

兵馬俑彼岸を此岸に作り置き       澤井 二堂

入り潮の運河の匂い彼岸かな       徳永 正裕

大叔母のぼたもちありし入彼岸      星川 佳子

入彼岸仏前隅に宝くじ          玉田春陽子

「レタス」

無造作にレタスちぎりて名無し鍋     大澤 水牛

萵苣の株喰らふマナティーガラス越し   谷川 水馬

萵苣巻いてソウルの夜はふけにけり    星川 佳子

「雑詠」

啓蟄や妻いっぱしの政治論        大沢 反平

朝歩きレタスサンドの喫茶店       徳永 正裕

やり直しきかぬ人生春一番        片野 涸魚

かなしみの記念日多き弥生かな      片野 涸魚

リベンジを誓ひし絵馬へ春きたらむ    岡田 臣弘

(報告 澤井二堂)

 

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第125回番町喜楽会例会を開催

 

「春雨」と「蝶」を詠む

齊山弥生さん加入、出席18人の大盛況

 

番町喜楽会の平成28年3月例会(通算百125回)は、3月7日(月)午後6時半から、「春雨」と「蝶」を兼題として九段下の千代田区立生涯学習館で開催された。朝方から降っていた雨が、夕方にはやみ風も温かくなって、春を感じさせる陽気となった。高井百子会長の友人、齊山弥生さんが初参加、出席者は18人と会場となった会議室はギシギシの状態。

投句5句、選句6句の結果、野田冷峰さんの「石仏もくちびるゆるむ春の雨」が8点を獲得して首位に。玉田春陽子さんの「採れたての春を並べて朝の市」が7点で次席、谷川水馬さんの「春雨や小三治聴きて肘枕」と広田可升さんの「蝶ひらりあの日の嘘ももう時効」の2句が5点で三席に並んだ。以下、4点が5句、3点が6句と高点句が15句の大賑わい、2点は11句、1点は33句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

『春雨』

石仏もくちびるゆるむ春の雨    野田 冷峰

春雨や小三治聴きて肘枕      谷川 水馬

春の雨干されしままのレオタード  徳永 正裕

春雨にゆるりほころぶ紫木蓮    大澤 水牛

ジーンズの藍よみがへる春の雨   大下 綾子

春雨や千年楠を傘として      徳永 正裕

春雨のまあるく服にとまりけり   星川 佳子

『蝶』

蝶ひらりあの日の嘘ももう時効   広田 可升

蝶来たる今日は何着て行こうかな  今泉 而雲

向き合ふて道を譲らぬ小蝶かな   谷川 水馬

初蝶やナプキン立ててテラス席   玉田春陽子

初蝶の空の青さに溶けにけり    前島 厳水

『雑詠』

採れたての春を並べて朝の市    玉田春陽子

たらの芽の苦みたしかに朝の粥   山口斗詩子

笹やぶに節の決まらぬ初音かな   谷川 水馬

 

<参加者>(出席)嵐田双歩、今泉而雲、大澤水牛、大下綾子、齊山弥生、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、広田可升、星川佳子、前島厳水、横山恭子(投句参加)井上啓一、山口斗詩子

(まとめ 須藤光迷)

 

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日経俳句会第146例会

 

寒戻る夜、参加32人で「二月」「しゃぼん玉」を詠む

星川さんが最高の8点句

 

日経俳句会は2月17日(水)午後6時半、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で、二月例会(通算146回)を開いた。暖冬から急転、寒の戻りに見舞われたこの日の兼題は「二月」「しゃぼん玉」で、投句参加12人を加え総勢32人から156句が寄せられた。投句5句、7句選句の結果、最高は星川佳子さんの「庭先に色戻りたる二月かな」の8点句。次席は大澤水牛さんの「野菜種子蒔く指硬き二月かな」と、杉山智宥さんの「しゃぼん玉七人兄妹みな長寿」の6点2句。横井定利さんの「梅二月母の頬紅買ひに出る」の5点句が三席に入った。

続く4点句は、嵐田双歩さんの「手土産は空也最中と春の風」、高石昌魚さんの「しゃぼん玉吹く子壊す子後追ふ子」、徳永正裕さんの「朝刊のページの痩せも二月かな」、中嶋阿猿さんの「稲荷旗白抜き映えて梅二月」の4句が並んだ。以下3点11句、2点29句、1点53句。兼題別3点以上の高点句は次の通り。

「二月」

庭先に色戻りたる二月かな      星川 佳子

野菜種子蒔く指硬き二月かな     大澤 水牛

梅二月母の頬紅買ひに出る      横井 定利

朝刊のページの痩せも二月かな    徳永 正裕

稲荷旗白抜き映えて梅二月      中嶋 阿猿

フラミンゴみな片足の二月かな    今泉 而云

早春賦流れ二月の旅心        杉山 智宥

空欄の目立つ二月や日記帳      直井  正

「しゃぼん玉」

しゃぼん玉七人兄妹みな長寿     杉山 智宥

しゃぼん玉吹く子壊す子後追ふ子   高石 昌魚

声荒げ怒る男にしゃぼん玉      植村 博明

飛び立つをためらふもをりしゃぼん玉 大下 綾子

しゃぼん玉ぴくりと動く猫のひげ   加藤 明男

シャボン玉追ふ手追ふ足宇宙泳    堤 てる夫

父吹けば子の壊し行くしゃぼん玉   横井 定利

「雑詠」

手土産は空也最中と春の風      嵐田 双歩

春茜流るるままに余生なほ      高石 昌魚

雪解けて隙間のがさず福寿草     堤 てる夫

膝掛けに珈琲のしみ春浅し      徳永 正裕

 

参加者(出席)嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、大沢反平、大澤水牛、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、須藤光迷、高瀬大虫、堤てる夫、徳永正裕、中嶋阿猿、野田冷峰、流合研士郎、藤村詠悟、星川佳子、横井定利(投句参加)植村博明、大熊万歩、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、高石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、直井正、廣上正市、藤野十三妹

(まとめ・堤てる夫)

 

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番町喜楽会第124回例会

 

九段下「味さと」で月遅れの初句会

参加十九人で「春」「辛夷」を詠む

横山恭子さんが正式参加

 

番町喜楽会の平成28年初句会(通算124回)が2月6日(土)午後6時過ぎから、九段下の割烹「味さと」で開かれた。一月は日経俳句会と合同の新春恒例七福神吟行を行ったため、例会はこれが今年初めて。立春後三日目だが日中の最高気温9℃と、まだまだ春は名のみの寒さ。それでも16人が元気に勢揃い、所用で欠席投句の3人を加えて、参加19人で「春」と「辛夷」を詠み合った。この日から横山恭子さんが正式参加された。

投句5句、選句6句で句会を進めた結果、最高点は7点で、玉田春陽子さんの「魚河岸の春は西から東から」が選ばれ、参加者一同から盛大な拍手を浴びた。次席は5点で徳永正裕さんの「春の日の折鶴ふはと飛びにけり」、三席4点は「花辛夷画家にならむと東京へ 綾子」と「花辛夷山懐の養魚池 春陽子」の2句だった。以下、3点7句、2点17句、1点24句と続いた。兼題別の高点句(3点以上獲得)は次の通り。

『春』

魚河岸の春は西から東から       玉田春陽子

エレベーター隅田の春を硝子越し    今泉 而云

浅草にふたたびの春人力車       星川 佳子

高みより春の前方後円墳        星川 佳子

『辛夷』

花辛夷画家にならむと東京へ      大下 綾子

花辛夷山懐の養魚池          玉田春陽子

『雑詠』

春の日の折鶴ふはと飛びにけり     徳永 正裕

手を出せばそつと手が添ひ春うらら   廣田 可升

春風をつかむ諸手や乳母車       須藤 光迷

目刺焼く故郷の海は寂れけり      須藤 光迷

身の内の鬼払ふごと豆打てり      徳永 正裕

寒夕焼ひととき富士を立たせけり    大下 綾子

 

《参加者》(出席)嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大下綾子、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升、星川佳子、前島厳水、横山恭子。(投句参加)井上啓一、堤てる夫、山口斗詩子。

(報告 大澤水牛)

 

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日経俳句会第145回例会

 

初句会は「初詣」と「蜜柑」

中嶋阿猿さんが初参加

日経俳句会の平成28年度第1回例会(通算145回)が1月20日(水)午後6時半から千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開かれた。出席者は17人、投句参加者は15人。投句総数は159句だった。久しぶりの女性入会者、中嶋阿猿(本名愛)さんが初めて参加した。兼題は初句会にふさわしく「初詣」と「蜜柑」。7句選句の結果、大澤水牛さんの「海賊の島より届く大蜜柑」が断トツ9点を得た。続く6点が「連れ合いの願い洩れ聞く初詣 光迷」「読みさしの本に置かるる蜜柑かな 博明」の2句。5点が「願ふこと少なくなりし初詣 博明」と「深川は髷もちらほら初詣 佳子」。4点句は加藤明男さんの「蜜柑剥く喧嘩のあとの兄妹」をはじめ、「蜜柑」の兼題を中心に6句も出た。このほか、3点6句、2点21句、1点48句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「初詣」

連れ合いの願い洩れ聞く初詣       須藤 光迷

願ふこと少なくなりし初詣        植村 博明

深川は髷もちらほら初詣         星川 佳子

汗ばみて幣振る禰宜や初社        大澤 水牛

急かされてエプロンはずし初詣       池村実千代

三つ子用バギー現る初詣         今泉 而云

役者絵が招く成田や初詣         徳永 正裕

柏手が開く闇夜や初詣          流合研士郎

青竹の香のある神酒や初詣        廣上 正市

「蜜柑」

海賊の島より届く大蜜柑         大澤 水牛

読みさしの本に置かるる蜜柑かな     植村 博明

蜜柑剥く喧嘩のあとの兄妹        加藤 明男

もう半分まだ半分の蜜柑箱        須藤 光迷

生きるとは何ぞやなどと蜜柑むく     髙瀨 大虫

丁重に蜜柑の筋をとりし祖母       星川 佳子

傘寿には少し間のあり蜜柑剥く      横井 定利

蜜柑むくこともお互い自分流       今泉 而云

出勤の夫にみかんを持たせけり      大下 綾子

何もなきこと寿ぎて蜜柑喰う       中嶋 阿猿

「雑詠」

金糸張る雲の稜線初明かり        大沢 反平

釣舟の旗翩翻と二日かな         廣上 正市

買初が納豆豆腐といふ日常        金田 青水

冬の旅ボウイは星に還り行く       高橋ヲブラダ

個性とは歪みのことなり枯木立      中嶋 阿猿

(まとめ 廣上正市)

 

 

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第120回酔吟会例会

 

酔吟会は満20歳

酔吟会の平成28年幕開け句会は1月16日(土)午後1時から内神田・鎌倉橋交差点そばの日経広告研究所会議室で開かれた。平成8年(1996年)春に日経社会部OB12名で発足した酔吟会は、2ヵ月に1回の例会を重ね、今回が通算120回で、誕生満20歳ということになった。原文鶴主宰(元社会部長)、大留黃鶴幹事長はじめ発足時会員の5名が亡くなるなど、顔ぶれは大きく変わったが、現在は22名の陣容で旧に倍する活発な句会を行っている。

この日の兼題は「寒」と「熱燗」で、投句5句、選句7句で句会を行った。日経俳句会や番町喜楽会などの姉妹句会が、参加人数の多さから事前投句・事前選句方式を採用しているのに対し、酔吟会だけは、句会当日に出席者が自作5句を短冊に記入投句(欠席投句は幹事が代行)する方式。集められた投句短冊を均等に出席者に配り、それを淸記用紙に清書し、順繰りに回して選句、一人ずつ自分の選んだ句を発表(披講)、合評会に移るという伝統的な方式を守っている。比較的時間に余裕のある土曜日午後なので、こういう昔ながらの句会が行えるわけで、忙しい世の中に珍しい句会が続いている。

選句・披講の結果は最高点が4点で5句並び、次席3点がなんと13句、2点句が三席ということになり8句出た。1点も20句あり、点の入った句が合計46句と、全投数80句の半数以上に及ぶ大混戦となった。

この中で、玉田春陽子さんが4点1句、3点3句、2点1句という「5打数5安打」の快挙、澤井二堂さんが4点2句と2点1句と気を吐き、片野涸魚さんと大沢反平さんが5句全てに得点という目出度い記録。

合評会も談論風発、水馬さんが「初句会ですから」と持ち込んだ静岡掛川の銘酒「開運」を屠蘇代わりに、新年らしい賑やかな句会となった。この日の句会で3点以上獲得した句を季語別に列挙すると以下の通り。

『寒』

寒の入り日だまり猫町たまり場所    澤井 二堂

寒ゆるく干柿不出来と便りくる     澤井 二堂

寒の雨東尋坊に突き刺さり       岡田 臣弘

六義園枝の先から寒に入る       大沢 反平

巻き癖の解けぬ暦や寒の入り      玉田春陽子

明日着る喪服吊すや寒の入り      玉田春陽子

手描き絵の寒中伺いまた嬉し      大平 睦子

申年や靴下紅く寒の内         谷川 水馬

寒の池米粒ほどの稚魚の口       星川 佳子

『熱燗』

熱燗と若狭へしこの付き具合      大澤 水牛

熱燗や昭和の顔の四人席        玉田春陽子

熱燗や夢のかけらを胸の底       玉田春陽子

老い上手さらりと生きて燗の酒     野田 冷峰

熱燗にざる一枚の旨さかな       久保田 操

『雑詠』

婆二人差しつ差されつ冬列車      堤 てる夫

燃やしたきもの多々ありきどんど焼き  片野 涸魚

冬椿慰霊に徹す天皇家         片野 涸魚

身のほどや小吉と出し初みくじ     大澤 水牛

(記録報告 大澤水牛)

 

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三四郎句会第40回例会

 

幕開け句会は十二人で「新年雑詠」

 

三四郎句会の平成28年1月例会(第40回)は、1月14日午後1時半から東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。参加者は12人(欠席投句・選句の岡本崇さんを含む。印南進さん、篠田義彦さんは欠席)。兼題は「新年雑詠」で、竹居照芳さんが「獅子頭はずして乙女笑顔見せ」(最高点の6点)、「見上ぐれば空掃き清む枯木立」(5点)で上位2席を占めた。吉田正義さんの「書初めの墨する音やしずかなり」、今泉而云さんの「払暁の床に正座や寒稽古」も5点を獲得。宇佐美論さんの「蒼白き大根の肌に通り雨」が4点で続いた。開催日は今年から奇数月となり、次回は3月17日(木)に決定(場所は同じ)。兼題は「水温む」と「雛祭」に決まった。1月例会の3点以上の句は以下の通り。

獅子頭はずして乙女笑顔見せ      竹居 照芳   (六点)

見上ぐれば空掃き清む枯木立      竹居 照芳   (五点)

書初めの墨する音やしずかなり     吉田 正義   (五点)

払暁の床に正座や寒稽古        今泉 而云   (五点)

蒼白き大根の肌に通り雨        宇佐美 論   (四点)

元旦の障子や松の影うつし       深瀬 久敬   (三点)

鑿打てば杉の香立ちぬ初仕事      今泉 而云   (三点)

(まとめ 今泉而云)

 

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雑司が谷七福神吟行を開催

 

日経俳句会・番町喜楽会合同で25人が参加

 

新年恒例の七福神吟行は、日経俳句会と番町喜楽会の合同行事として1月9日(土)午後、東京・豊島、文京両区にまたがる「雑司が谷七福神」を歩いた。町おこしを目指す地元商工会などが十年ほど前に始めた、どちらかと言えば新参の七福神巡りだが、大欅並木に歴史をとどめる「鬼子母神堂」や漱石、夢二ら著名人の墓がある「雑司ヶ谷霊園」など見所が少なくない。

「寒」とはとても言えない暖冬の日差しの中、八十路の大先輩四名はじめ全員が颯爽と「完歩」した。霊園そばにある知る人ぞ知る「家庭料理 風(ふう)」での新年会を兼ねた懇親会も大いに盛り上がり、両会の今年の活躍ぶりが早くも約束されたような感じであった。

締め括りは吟行後のメール句会、3~5句投句、選句5句で上位から順に「天5点」「地3点」「人2点」「入選1点」の点数配分を行った。その結果、最高点は大沢反平さんの「七福神小路小路に昭和あり」の22点だった。次席は高瀬大虫さんの「女子寮の忍び返しや寒椿」の20点。三席は廣田可升さんの「誰が置くや夢二の墓に冬の薔薇」の17点。

続いて嵐田双歩さんの「冬麗や都電とことこ雑司が谷」の14点、須藤光迷さんの「寒晴れや茅の輪くぐりて恵比寿神」の13点、高井百子さんの「恵比寿顔揃ひてけふの初笑ひ」の12点、片野涸魚さんの「戦なき世こそ大事と福参り」の11点、玉田春陽子さんの「また一つ老いを背中に初参」の10点と二ケタ得点が8句並んだ。上記以外の参加者の代表句は次の通り。

女子寮の門番は猫春隣          嵐田 双歩

遅い人笑ひて待つも福詣         池村実千代

真白なる豊島区役所寒に入る       井上 啓一

鐘楼に日は斜めなり冬桜         今泉 而云

のっけから団子頬張る福詣        大澤 水牛

友と行く余生豊かな福詣り        大沢 反平

にぎやかに集合写真寒夕焼        大下 綾子

きざはしの夕陽やさしや毘沙門天     岡田 臣弘

野良猫をはべらせて笑む弁才天      片野 涸魚

旗差しに導かれゆく福詣         久保田 操

ビルの隅腹もてあます布袋尊       澤井 二堂

様々な顔の都電や冬温し         須藤 光迷

道連れを追ひ越し越され七福神      高井 百子

民族の垣を払ひて宝船          高瀬 大虫

冬晴の六百年の大銀杏          田中 白山

連衆の笑顔力に福詣           谷川 水馬

薄紅はもてなしの色寒桜         玉田春陽子

寒林や東条英機ねむる墓         堤 てる夫

路地奥に年酒ありて無礼講        徳永 正裕

七福神スタンプラリー賑やかに      野田 冷峰

「まだ無い」という名の猫や冬の墓碑   廣田 可升

雑司ヶ谷箒欅に冬小松          藤村 詠悟

木曾節の競演となり新年会        星川 佳子

これがまあ漱石の墓冬の空        前島 厳水

福詣り終えてしもたや風の酒       山口斗詩子

 

参加者(日経俳句会)嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、岡田臣弘、片野涸魚、久保田操、澤井二堂、須藤光迷、高瀬大虫、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、藤村詠悟、星川佳子

(番町喜楽会)井上啓一、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、廣田可升、前島巌水、山口斗詩子

(まとめ 堤てる夫)

 

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日経俳句会平成27年下期合同句会

 

36人が参加、兼題「年の暮」で締め括る

 

日経俳句会は12月16日(水)の年次総会に引き続いて下期合同句会を開催した。兼題は「年の暮」一般で、出席27人、投句参加9人。事前に3句投句・4句選句をメールで処理する「迅速句会」で年納め。その結果、最高は澤井二堂さんの「煤払い小さき妻におだてられ」の6点句。一年前の下期合同句会に続き連続最高点の二堂さん、英尾賞受賞と重なってお目出度い年の瀬となった。次席は4点で9句、続く3点は12句と、拡散した。2点は19句、1点は28句あった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「年の暮」

煤払い小さき妻におだてられ       澤井 二堂

切り抜きの束積んであり年の際      和泉田 守

千両に鳥除けかぶす師走かな       井上庄一郎

尻餅に舌打ち重ね年の暮れ        植村 博明

年の瀬や豆腐ゆらりと鍋の海       大澤 水牛

年の尾や音立て踊る落し蓋        玉田春陽子

雑踏に異国語混ざる師走かな       流合研士郎

舫い綱切れし舟行く年の暮れ       藤野十三妹

東京にアジアの訛り年の暮れ       嵐田 双歩

年の瀬や嬉しなみだの多かりき      池村実千代

乗り慣れぬ路線を行くも師走かな     大下 綾子

独り居やいつもと同じ年の暮       加藤 明男

歳暮とて野良に釣果の五六匹       金田 青水

がら空きのプールで泳ぐ年の暮      高瀬 大虫

除夜の湯に浸かるいのちの有難し     高瀬 大虫

目をそらす体重計や年の暮        谷川 水馬

瑞兆の掛軸に替へ年暮れる        直井  正

健さんも文太もいない年の暮       野田 冷峰

ロボットに一声かけて年用意       横井 定利

「雑詠」

泥ねぎをつるんつるんとつつがなし    廣上 正市

石畳打ちて凍みこむ京の雨        藤野十三妹

石路の黄に午後の木洩れ日届きたり    今泉 而云

 

参加者(出席)嵐田双歩、和泉田守、井上庄一郎、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、片野涸魚、加藤明男、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、藤村詠悟、星川佳子、横井定利(投句参加)池村実千代、植村博明、大石柏人、大熊万歩、大下綾子、金田青水、久保田操、高石昌魚、高橋ヲブラダ。 (記録 堤てる夫)

 

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平成27年度日経俳句会賞決定

 

英尾賞に澤井二堂氏

俳句会賞、加藤、藤野、高井、杉山四氏

 

平成27年度日経俳句会賞(第11回)が決まり12月16日の年次総会のあと贈賞式を行った。日経俳句会賞英尾賞には澤井二堂氏の「親の役子の役終へて年惜しむ」の句が選ばれた。この句はちょうど1年前26年12月の年末合同句会で最高9点を得たもの。

日経俳句会賞は加藤明男、藤野十三妹、高井百子、杉山智宥4氏で、それぞれ金丸泰輔会長から賞状と記念品が贈られた。なお、澤井、杉山両氏は二度目の受賞。

 

平成27年度日経俳句会賞受賞作品

 

日経俳句会賞 英尾賞

親の役子の役終へて年惜しむ       澤井 二堂

 

日経俳句会賞

冬桜名もなき坂の薄化粧         加藤 明男

 

モンゴルの草原眩し馬の夏        藤野十三妹

 

なぜここに嫁いで来たか秋の空      高井 百子

 

落し物家まで届く春の宵         杉山 智宥

(記録報告 堤てる夫)

 

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