第55回三四郎句会例会

15人が参加し兼題「河童忌」などを詠む

田村さんが「天」を射止める

 

三四郎句会の2018年7月例会(第55回)は7月19日午後1時半から東京・神田錦町の宗保第2ビル内で行われた。久しぶりに出席が伝えられていた印南進さんが体調などから欠席となり、出席者は13人。欠席投句、選句の岡本崇さん、印南さんを加えて参加者は15人となった。選句の結果、田村豊生さんの「河童忌は蓮の葉さして墓詣り」が5点を獲得してトップとなった。深瀬久敬さんの「河童忌の昭和の映像むかうぎし」と今泉而云さんの「酔眼に龍之介忌の書棚かな」の二句が4点で続いた。

◇出席者 石黒賢一 石丸雅博 今泉而云 宇佐美諭  宇野木敦子 河村有弘  小泉基靖 後藤尚弘 竹居照芳 田村豊生  深瀬久敬 吉田正義 渡邉信=十三人。◇欠席投句選句者 印南進 岡本崇=二人

 

 

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番町喜楽会第153回例会

 

猛暑続く中、「終戦記念日」と「鰯」を詠む

春陽子さん、「打ち水」で7点獲得

 

番町喜楽会は平成30年8月例会(通算153回)を、8月4日(土)午後6時から九段下の九段生涯学習館で開いた。今回の兼題は「終戦記念日(終戦日)」と「鰯」。投句者は20名で、投句数は合計100句。そのうち14名が会場に集まり句会を始めた。いつものように投句5句・選句6句で披講の結果、玉田春陽子さんの「打ち水のしまいの水を風に打つ」が7点でトップに輝いた。また、星川水兎さんの「裏書きの残る写真や終戦日」の5点句、廣田可升さんの「隻腕のキューピー人形敗戰忌」、斉山満智さんの「理不尽も泡と飲み干すビヤホール」、大澤水牛さんの「ゴーヤばかりぐんぐん伸びる酷暑かな」の4点句3句が続いた。以下、3点句8句、2点16句、1点句が32句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「終戦記念日(終戦日)」

裏書きの残る写真や終戦日        星川 水兎

隻腕のキューピー人形敗戰忌       廣田 可升

何もかも忘れる怖さ終戦日          斉山     満智

電灯を点けっ放しや終戦日        田中 白山

「鰯」

鰯割く叔父の墓標はニューギニア     須藤 光迷

鰯煮るアルマイト鍋母譲り        谷川 水馬

ざくざくと生姜をのせて鰯煮る      星川 水兎

「当季雑詠」

打ち水のしまいの水を風に打つ      玉田春陽子

ゴーヤばかりぐんぐん伸びる酷暑かな   大澤 水牛

理不尽も泡と飲み干すビヤホール     斉山 満智

一匹の鳴き蝉時雨始まりぬ        田中 白山

猛暑などなにするものぞ猫じゃらし    谷川 水馬

奥社まで二粁の看板夏木立        廣田 可升

 

《参加者》

【出席十四人】今泉而云、大澤水牛、斉山満智、塩田命水、須藤光迷、田中白山、

谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、野田冷峰、廣田可升、前島幻水。【投句参加六人】嵐田双歩、池内的中、澤井二堂、高井百子、星川水兎、山口斗詩子。      (報告・谷川水馬)

 

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日経俳句会第170回例会

 

33人が「夕焼」「蛇」を詠む

兼題にずらり高点句

 

日経俳句会は平成30年度7月例会(通算170回)を7月18日(水)に千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。全国的に猛暑が続き、関東も35度を超す暑さ。外出を控えた人もいて、出席は17人といつもより少なかったが、合評会では熱い議論が展開され、盛り上がった句会となった。兼題は「夕焼」と「蛇」。33人から99句の投句があり、5句選の結果、最高9点は「夕焼に突っ込んで行く中央線 悌志郎」、次席は8点で「クレーンの首伸びきって大夕焼 三薬」だった。三席6点には「誰も居ぬ鰊御殿の夕焼かな 正市」「蛇のゐて視る子逃げる子石打つ子 昌魚」、「沙羅咲くも散り敷くもよし樹木葬 而云」の3句が並んだ。さらに5点句には「大夕焼父のやうやく保護されて 双歩」「打たれたる蛇遠巻きに湯治客 悌志郎」が入り、兼題句に高得点句が多かった。以下4点7句、3点10句、2点10句、1点32句で、全体の三分の二の句に点が入った。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「夕焼」

夕焼に突っ込んで行く中央線      大倉悌志郎

クレーンの首伸びきって大夕焼     杉山 三薬

誰も居ぬ鰊御殿の夕焼かな       廣上 正市

大夕焼父のやうやく保護されて     嵐田 双歩

逆上がりすれば夕焼宙に舞ふ      植村 博明

夕焼けや通園袋ふくらみて       向井 ゆり

肩掛けの車掌かばんや旅夕焼      大熊 万歩

鯨待つ木更津橋の大夕焼        金田 青水

夕焼や今日の仕舞ひと投網打つ     谷川 水馬

日曜の愁ひ包みて夕焼ける       中嶋 阿猿

「蛇」

蛇のゐて視る子逃げる子石打つ子    高石 昌魚

打たれたる蛇遠巻きに湯治客      大倉悌志郎

草刈機に蛇飛びかかり切られけり    嵐田 双歩

蛇嫌ひお前もさうか人嫌ひ       大沢 反平

蛇の消ゆ一筆書きと句読点       加藤 明男

木漏日とあそぶ小蛇に出会ひたり    金田 青水

水面へと蛇滑り出る昼の淵       中村  哲

「当季雑詠」

沙羅咲くも散り敷くもよし樹木葬    今泉 而云

サンダルのはみ出す指や夏来る     植村 博明

目高飼い増えて玄関居間二階      鈴木 好夫

烏瓜咲いてシナプスつながりし     星川 水兎

凌霄花二階を閉ざす館かな       大熊 万歩

新宿をたたき洗ひて夕立去る      大倉悌志郎

隧道の涼風連れて天城越え       中村  哲

《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三薬、高石昌魚、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中嶋阿猿、中村哲、星川水兎、向井ゆり。(投句参加)井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大倉悌志郎、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、鈴木好夫、高橋ヲブラダ、野田冷峰、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、横井定利。      (報告・中村哲)

 

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酔吟会第135回例会

 

「コッペパン」の水馬句が5点、水牛、静舟、百子、木葉4点で続く

酷暑のなか12人が出席、投句参加6人

 

酔吟会は7月14日(土)午後1時から、東京・内神田の日経広告研究所会議室で今年4回目となる7月例会(通算135回)を開催した。兼題は「雲の峰」と「浴衣」で、18人から計90句の投句があった。連日の猛暑日の中、出席者は12人、投句参加者は6人。「暑さ凌ぎ」代として選句はいつもの6句選を1句増やし、7句選の特別振舞い。だからという訳でもあるまいが、最高の5点句は「峰雲の子雲孫雲コッペパン」の水馬句が輝いたほか、4点句に4人が勢揃いする大賑わい。水牛さん「買ひ出しの道遠かりし雲の峰」、静舟さん「浴衣地の縫い目辿れば祖母の顔」、百子さん「雨の音あちこち違ふ夏木立」、木葉さん「雷電の墓に詣でり雲の峰」と並んだ。続く3点にも佳句続々で計7句、2点12句、1点18句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「雲の峰」

峰雲の子雲孫雲コッペパン    谷川 水馬

買ひ出しの道遠かりし雲の峰   大澤 水牛

雷電の墓に詣でり雲の峰     徳永 木葉

突堤で喇叭の稽古雲の峰     大沢 反平

画用紙の白を生かして雲の峰   高井 百子

十津川を渡れば古道雲の峰    野田 冷峰

始まりはいつも気づかず雲の峰  星川 水兎

「浴衣」

浴衣地の縫い目辿れば祖母の顔  工藤 静舟

大きめの宿の浴衣の妻に酌    嵐田 双歩

ぎこちなき下駄のはこびや初浴衣 玉田春陽子

「雑詠」

雨の音あちこち違ふ夏木立    高井 百子

いつよりか片蔭伝ふやうになり  片野 涸魚

参加者(出席)嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、片野涸魚、久保田操、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、野田冷峰。(投句参加)工藤静舟、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、徳永木葉、星川水兎。

(まとめ・てる夫)

 

 

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番町喜楽会第152回例会報告

 

「夏の月」と「トマト」を詠む

春陽子さん、「西瓜」で断トツの9点句

 

番町喜楽会の平成30年7月例会(通算第152回)は、2日午後6時半から「夏の月」と「トマト」を兼題として、東京・九段下の千代田区立生涯学習館で行われた。投句5句、選句6句の結果、玉田春陽子さんの「亡き人も入れて等分西瓜切る」が9点で断トツ、次点は5点で斉山満智さんの「美しく老いる道なし夏の月」と春陽子さんの「海に裾浸す鳥海夏の月」が並んだ。兼題の「トマト」には35句の投句があったが、今泉而云さんの「学校のトマトに水を遣りにゆく」という口語調の作品が4点で唯一の高点句で、3点句は無し、2点が7句、1点句が8句で、半数以上の19句には点が入らないという珍しい結果になった。全投句の中の4点は4句、3点は5句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「夏の月」

美しく老いる道なし夏の月     斉山 満智

海に裾浸す鳥海夏の月       玉田春陽子

潮騒を枕に浜の月涼し       嵐田 双歩

夏の月船が船曳く隅田川      玉田春陽子

窓開けて招きいれたり夏の月    星川 水兎

「トマト」

学校のトマトに水を遣りにゆく   今泉 而云

「雑詠」

亡き人も入れて等分西瓜切る    玉田春陽子

ヒーローの仮面行き交ふ夏祭り   塩田 命水

梅雨明けや鯨ジャンプす東京湾   堤 てる夫

丘々にデイゴ燃え立つ慰霊の日   中村  哲

夏の夜の父と話のけり付かず    澤井 二堂

くちなしの匂ふばかりの夜風かな  廣田 可升

【参加者】(出席16人)嵐田双歩、池内的中、今泉而云、大澤水牛、斉山満智、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰、廣田可升、前島幻水。(投句参加4人)大下綾子、澤井二堂、中村哲、星川水兎。     (報告・須藤光迷)

 

 

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NPO法人双牛舎第11回総会・第10回俳句大会を開催

 

日経俳句会、番町喜楽会、三四郎句会から34名が参加

俳句の普及振興を事業目的とするNPO法人双牛舎は6月30日(土)、東京・二番町の東京グリーンパンレスのレストラン「ジャルダン」で第11回年次総会を開催し、メンバーである日経俳句会、番町喜楽会、三四郎句会の会員34名が参加した。大澤水牛代表理事が一年を総括する挨拶を行い、堤てる夫理事が今後の双牛舎の新体制や「わたしの俳句館」の運営状況などについて報告した。続いて、昨年度俳句大会の上位入賞者に赤池渓舟先生揮毫の短冊が贈呈され、その後は恒例の「俳句大会」が開催され、総会は大いに盛り上がった。

俳句大会は第2回総会から実施され、10回目の今回は、「蛍」の兼題句と雑詠句の計2句を事前に投句、会場に掲示された大型選句一覧表に「選句シール」を5句ずつ貼付する方式で選句した。投句総数は88句。

最高の「天」賞に輝いたのは、石丸雅博さんの「寝間までも蛍飛び交ふ母の里」と、金田青水さんの「旧道や蜥蜴きらめく土の壁」の9点句2句。「地」賞は8点で嵐田双歩さんの「蟻の来て斃れし蟻を運びけり」。「人」賞は印南進さんの「老夫婦十薬咲くに任せたり」、澤井二堂さんの「蛍篭五匹もらいて道灯り」、竹居照芳さんの「蛍見た疎開の昭和二十年」、廣田可升さんの「いっせいに水切るオール梅雨晴間」の7点句が続いた。「入選」は片野涸魚さんの「蚊帳の中君は蛍を放ちけり」、渡邉信さんの「漆喰の闇に画を描く蛍かな」の6点句2句だった。

陶芸にいそしんでいる須藤監事の陶芸作品や大澤代表理事の手造り梅干しや梅酒などが賞品として提供され、「天」「地」「人」「入選」の作者のみならず、高得点の方々に贈られた。今回の入賞作(天、地、人及び入選)は書家赤池溪舟さん揮毫の短冊として来年の俳句大会の席でそれぞれの作者に贈られる。

第10回俳句大会入賞作品は次の通り。

「天」

寝間までも蛍飛び交ふ母の里           石丸 雅博

旧道や蜥蜴きらめく土の壁               金田 青水

「地」

蟻の来て斃れし蟻を運びけり             嵐田 双歩

「人」

老夫婦十薬咲くに任せたり             印南  進

蛍篭五匹もらいて道灯り                澤井 二堂

蛍見た疎開の昭和二十年                竹居 照芳

いっせいに水切るオール梅雨晴間      廣田 可升

「入選」

蚊帳の中君は蛍を放ちけり              片野 涸魚

漆喰の闇に画を描く蛍かな              渡邉  信

(まとめ・谷川 水馬)

 

 

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日経俳句会上期合同句会開かる

「更衣」、「木下闇」を四十一人が詠む

底知れぬ嘘と忖度木下闇      光迷

連山を映し那須野の田植かな    哲

 

日経俳句会の平成30年度上期合同句会(通算26回)は6月20日、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開かれた。投句参加者は過去最高の41人。「更衣」と「木下闇」の兼題で3句投句、総数123句が集まった。この日は梅雨らしいじめじめした雨模様だったが、24人が出席賑やかな合評会となった。

全員5句の事前選句の結果、最高点は光迷さんの「底知れぬ嘘と忖度木下闇」と哲さんの「連山を映し那須野の田植かな」が8点で並んだ。次点は5月から酔吟会に参加した廣田可升さんの「赴任地に慣れしと便り更衣」と植村博明さんの「ポケットに古き名刺や衣更」の7点句。三席の6点は金田青水さんの「おもひでも併せて処分ころもがへ」など4句と高点句がばらけた印象だった。以下、5点3句、4点8句、3点7句、2点25句、1点33句だった。兼題別の高点句(3点句以上)は以下の通り。

「更衣」

ポケットに古き名刺や衣更       植村 博明

赴任地に慣れしと便り更衣       廣田 可升

おもひでも併せて処分ころもがへ    金田 青水

更衣ネイルアートは空模様       大熊 万歩

更衣いいねと妻の襟に触れ       岡田 鷹洋

樟脳のにほふ地下鉄更衣        徳永 木葉

八十一歳またユニクロの更衣      橫井 定利

女子男子体操服も更衣         嵐田 双歩

ポケットにマチネの切符更衣      廣田 可升

「木下闇」

底知れぬ嘘と忖度木下闇        須藤 光迷

走り根の幾畳鞍馬の木下闇       大下 綾子

木下闇天狗の背中見たやうな      中嶋 阿猿

首塚に英語の由来木下闇        嵐田 双歩

百選の水潺潺と木下闇         大倉悌志郎

妖精の囁く声す木下闇         片野 個魚

伸び縮む時間ありけり木下闇      星川 水兎

「当季雑詠」

連山を映し那須野の田植かな      中村  哲

点滴の落つるを眺め梅雨に入る     加藤 明男

薫風やしなやかに舞ふ太極拳      久保田 操

ごきぶりに生まれ変はるのだけは厭   嵐田 双歩

きゆうり揉みモロッコ産の蛸入れて   玉田春陽子

かき氷半分こして共白髪        中嶋 阿猿

冷し酒つぶやきいつしか怒髪天     杉山 三薬

夫婦には定年なきか七変化       須藤 光迷

半夏生蛸喰ふ慣らひ真田郷       高井 百子

夏足袋の夜の白さよ祇園町       徳永 木葉

参加者(出席)嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、岩田三代、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、高井百子、高石昌魚、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、廣田可升、藤野十三妹、星川水兎、向井ゆり、横井定利。(投句参加)和泉田守、井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大平睦子、片野個魚、加藤明男、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、中嶋阿猿、野田冷峰、流合研士郎、廣上正市、水口弥生、山口斗詩子     (報告 嵐田双歩)

 

 

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番町喜楽会第151回例会を開催

 

19名で「夏至」と「紫陽花」を詠む

投句の3分の2に点が入る大混戦

 

番町喜楽会の平成30年6月例会(通算151回)が、6月2日(土)午後6時から九段下の千代田区立生涯学習館で開かれた。兼題は「夏至」と「紫陽花」で、投句者は19名、投句総数は95句だった。この日の出席者は14名といつもより少なめだったが、句会はいつもと同じように活発な発言があり、盛り上がった。

句会はいつも通り投句5句、選句6句で行われたが、兼題が難しかったせいか、佳句が揃ったせいなのか、票が割れに割れた。最高点が5点で徳永木葉さんの「六月の闇に消えゆく嘘いくつ」のわずか1句。次席4点も高井百子さんの「絹さやの筋引く母の昼下がり」と廣田可升さんの「来ぬ人や不忍口に夏至の雨」の2句に止まった。以下、3点7句、2点16句、1点32句と、何と投句総数の3分の2に点が入るという乱戦であった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「夏至」

来ぬ人や不忍口に夏至の雨        廣田 可升

眉太く描きて夏至の女かな        今泉 而云

平成の最後の夏至やソーキ蕎麦      須藤 光迷

家中の蛇口を磨き夏至ひと日       玉田春陽子

「紫陽花」

強羅まで登山軌道に七変化        中村  哲

「雑詠」

六月の闇に消えゆく嘘いくつ       徳永 木葉

絹さやの筋引く母の昼下がり       高井 百子

初生りの親指ほどの胡瓜かな       大澤 水牛

捨てられぬ万年筆や五月闇        廣田 可升

古本屋ふえし谷中や山法師        星川 水兎

《参加者》【出席14人】嵐田双歩、大澤水牛、塩田命水、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、氷室冷峰、廣田可升、星川水兎、前島幻水。【投句参加5人】池内的中、今泉而云、斉山満智、澤井二堂、須藤光迷。   (報告・谷川水馬)

 

 

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高瀬大虫さんを偲ぶ会開催・5月14日

 

日本記者倶楽部に三句会、書の会、旧友ら42人が集う

 

3月17日に急逝した高瀬大虫(忠重)さんを偲ぶ集いが5月14日(月)の夕刻、東京・日比谷の日本プレスセンターで開催された。俳句振興NPO法人双牛舎、日経俳句会、番町喜楽会、三四郎句会のメンバーと、日経書の会や古い友人など42人が参集した。

開会の挨拶は、双牛舎代表の大澤水牛(水紀雄)さん。平成20年4月の村田英尾先生の墓参・桜狩吟行で、大虫さんが詠んだ「幻や花の根もとの手負武者」の一句を披露するなどして「俳人大虫」を語った。献杯の音頭をとった俳句会長老、高石昌魚(昌弘)先生も「手負武者」の句に感心した想い出を語り「ご遺影のようにいつも優しく微笑んでおられた。(句会での)あの素晴らしい句評をいつまでも伺いたかった。心から残念に思っています」と、杯を捧げた。

大学病院の外来病棟で大虫さんと出会い、俳句会に誘った今泉而云(恂之介)さんは、東大在職中の大虫さんが「大学紛争の学生を助けていた」とヒューマンな一面を明かした。

日経書の会指導の守田恵美子先生は、筆を持たない時にはグラスを交わした飲み仲間。偲ぶ会が「最後のお別れ」になってしまうので「今日と言う日が来なければいい」と思っていた、と心情を明かした。大虫さんのネパール研究を知る山岳ガイドの稲村道子さんは、「日本・ネパール協会では、大虫さん急逝に大ショックを受けています」などと語った。

会場には、守田恵美子先生揮毫の「偲ぶ会」の横断幕が張られ、その下のテーブルには昨年6月の「俳句館旗揚げ式」で撮影された大虫さんの笑顔を嵐田双歩さんがパネルに仕上げてくれた遺影と、大虫さんの絶筆の色紙が飾られた。その横には、書の会のメンバーが行きつけの中華料理店から届けられた生花が添えられた。参会者は遺影の前に献花し、色紙に署名した。

【高瀬大虫さんを偲ぶ会出席者】(双牛舎)大澤水牛、今泉而云、(日経俳句会・番町喜楽会・三四郎句会)嵐田双歩、池村実千代、植村博明、大平睦子、岡田鷹洋、金田青水、久保田操、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、高石昌魚、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、野田冷峰、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、池内的中、須藤光迷、斉山満智、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、前島幻水、山口斗詩子、竹居照芳、(日経書の会)守田恵美子、市岡揚一郎、風戸周子、工藤静舟、久保道子、行木虹聲、横須賀久江、吉松絵里、(友人)稲村道子。      (報告 日経俳句会幹事長堤てる夫)

 

 

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日経俳句会第169回例会

 

34人が「滝」と「新緑」を詠む

岩田さん「ダリのひげ」最高10点

 

日経俳句会は平成30年度5月例会(通算169回)を5月16日(水)に千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。この日は気温が上がり、まさに夏近し。出席者は18人とやや少なかったが、投句参加も加えると34人になり、熱のこもった句会となった。

兼題は「滝」と「新緑」。投句総数102句、5句選の結果、岩田三代さんの「大空にダリの口ひげ夏つばめ」が最高10点を獲得、廣上正市さんの「ブロンズの弓引く像や風五月」が9点で続いた。6点には今泉而云さんの「新緑や表札に府下豊多摩郡」が入り、5点には澤井二堂さんの「滝落ちる歓喜の音とも悲鳴とも」など3句が並んだ。以下4点6句、3点13句、2点17句、1点23句と続いた。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「滝」

滝落ちる歓喜の音とも悲鳴とも     澤井 二堂

夜更けには森も聞くなり滝の音     植村 博明

滝眺むしばし時間の止まりたり     大熊 万歩

神の住む一枚岩から糸の滝       大沢 反平

一人づつ渡る吊り橋滝とどろ      廣上 正市

速ければ動かざるごと滝落ちる     星川 水兎

滝落ちてしづかに一葉押し流す     大下 綾子

山塊に白き一筋神の滝         中村  哲

七滝の転び転んで伊豆の海       野田 冷峰

お屋敷に園丁の瀧楚楚とあり      水口 弥生

ふるさとのちひさきたきをなつかしみ  横井 定利

「新緑」

新緑や表札に府下豊多摩郡       今泉 而云

新緑や吊り橋からの大ジャンプ     加藤 明男

新緑の渡廊下に始業ベル        徳永 木葉

新緑や様になつたねランドセル     谷川 水馬

新緑で覆ひ尽せよ耶蘇の島       嵐田 双歩

新緑やグラデーションは神の筆     岩田 三代

緑さすベンチに水と数独本       大下 綾子

新緑にひとときの雨匂ひ立つ      杉山 三薬

新緑に濃淡のあり山斑         中村  哲

細胞の一つ一つに緑さす        星川 水兎

「当季雑詠」

大空にダリの口ひげ夏つばめ      岩田 三代

ブロンズの弓引く像や風五月      廣上 正市

片言の男女の担ぐ神輿かな       加藤 明男

著莪の雨ボタン一つで人を焼き     横井 定利

《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三藥、鈴木好夫、高石昌魚、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中村哲、野田冷峰、星川水兎、向井ゆり。(投句参加)井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大倉悌志郎、大下綾子、大平睦子、加藤明男、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、中嶋阿猿、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、横井定利。    (報告・中村哲)

 

 

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