番町喜楽会第171回例会

今回もメール句会で「春雨」と「草餅」を詠む

而云11点句で断然のトップ

番町喜楽会はコロナウイルス対策のため、三月例会に引き続きメール句会として令和2年4月例会(通算171回)を開催した。「春雨」と「草餅」を兼題として3月28日(土)に投句締切り、4月4日(土)選句締切りとして開催した。投句者は20名で、投句数は100句。選句6句の結果、今泉而云さんの「プラネタリウム出でて地球は春の雨」が断然トップの11点を獲得。次点は斉山満智さんの「春風の掃き清めたる空の青」が5点句で続いた。以下、4点が6句、3点句11句、2点10句、1点27句あった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「春雨」

プラネタリウム出でて地球は春の雨         今泉 而云

春雨を眺めてをりぬテレワーク           嵐田 双歩

米農家継ぎに帰る子春の雨             谷川 水馬

人気なきおとぎの国に春の雨            徳永 木葉

春雨や路地に蛇の目の神楽坂            玉田春陽子

春雨やまだ底冷えの一人鍋             山口斗詩子

「草餅」

朝市の人気は婆の蓬餅               嵐田 双歩

草餅を蒸す花柄の三角巾              高井 百子

担ぎ屋の老婆の膝に草の餅             中村 迷哲

古里の野辺の香りや蓬餅                       前島 幻水

遙か昔母との思い出

よもぎ摘み母と丸めた草だんご           山口斗詩子

「当季雑詠」

春風の掃き清めたる空の青             斉山 満智

身の程の桜を選ぶ花見かな             塩田 命水

出会より別れの多き老の春             田中 白山

こちら向く女の素描花曇              大下 綾子

ウィルスの寄せ来る気配春の闇           斉山 満智

風光る尻にリュックを弾ませて           須藤 光迷

たんぽぽや五人つながる汽車ポッポ         玉田春陽子

山笑ふ妻はそろばん少数派             玉田春陽子

《参加者》嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大下綾子、金田青水、斉山満智、澤井二堂、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、廣田可升、星川水兎、前島幻水、山口斗詩子。

(報告・谷川水馬)

 

 

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日経俳句会第187回

 

ウイルス禍でメール句会

「暖か」「木瓜の花」を詠み合う

青水「暖か」で最高8点、二堂、正市7点で追う

日経俳句会の令和2年3月例会(通算187回)は、新型コロナウイルスの感染防止のため会場に集まっての句会を自粛、3月19日を締め切りにメール句会の形で実施した。吟行ではメール句会はよく行われるが、月例会では初めて。兼題は「暖か」と「木瓜の花」。ウイルス騒動が影響したのか、参加32人,投句総数95句とやや少なめ。5句選の結果、金田青水さんの「水音や掌に欄干のあたゝかさ」が最高8点を獲得。7点句に澤井二堂さん「暖かき朝は歩幅の少し伸び」と廣上正市さん「木瓜咲くや蔵のしつくひ黄ばみたり」が並んだ。6点句には「大槌の春献奏のトランペット てる夫」と「父の庭荒れたるままに木瓜の花 迷哲」の2句が入った。以下5点4句、4点4句、3点10句、2点15句、1点25句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「暖か」

水音や掌に欄干のあたゝかさ        金田 青水

暖かき朝は歩幅の少し伸び         澤井 二堂

じゃんけんをして進む子ら暖かし      植村 博明

暖かや巨象の鼻の藁が舞ふ         岡田 鷹洋

深みより浮かび来し鯉暖かし        鈴木 雀九

草はらに大の字地球暖かし         岩田 三代

暖かや大仏様の細き眉           加藤 明生

暖かや標本木に花一輪           久保田 操

暖かや老婦老犬いたはり合ひ        堤 てる夫

「木瓜の花」

木瓜咲くや蔵のしつくひ黄ばみたり     廣上 正市

父の庭荒れたるままに木瓜の花       中村 迷哲

枝ぶりも棘も活けたり木瓜の花       谷川 水馬

偽りは棘に刺されて木瓜の花        今泉 而云

木瓜咲くや江戸の名残の一里塚       大澤 水牛

木瓜の花割となんでもあるお店       星川 水兎

「当季雑詠」

大槌の春献奏のトランペット        堤 てる夫

菜の花や思ひ出なべてほろ苦く       今泉 而云

大欅芽吹かんとする息づかひ        大澤 水牛

首伸ばし鶯を聴く駝鳥かな         谷川 水馬

スタンドに歓声沸かず春疾風        杉山 三薬

鍵盤のジャズのフォルテに跳ねる春     岡田 鷹洋

虫好きの子らみんな来よ春の野へ      金田 青水

村ごとの春望たどる山のバス        中村 迷哲

《参加者》嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、植村博明、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、大平睦子、岡田鷹洋、加藤明生、金田青水、久保田操、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、星川水兎、水口弥生、横井定利。

(報告・中村迷哲)

 

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酔吟会第145回例会

コロナウイルスおさまらず、メール句会に

「啓蟄」と「霞」、最高五点に水牛、百子、鷹洋、三薬、可升が並ぶ

新型コロナウイルスの感染者が増え続け、酔吟会の第145例会は3月14日(土)の開催を断念、メール句会に切り替えた。平成8年(1996年)5月発足の酔吟会は、「座の文芸」の伝統に則り、メンバーが席について短冊に句を書いて投句、清記、選句、講評という伝統的な句会形式で運営してきた。世界的なウイルス蔓延の中で発足以来24年目にして初めて伝統形式を破った。

メール句会は兼題「啓蟄(けいちつ)」「霞(かすみ)」と「当季雑詠」の計5句を投句、幹事が作成した選句表を会員に配信し、選句6句と短評を幹事に送信、それを整理集約する方式でメール句会を実施した。参加者は22人、投句総数は110句だった。最高点は5点で、「考へる人となりをり春霞 水牛」、「撥ねて散る洗車の水の春もよう 鷹洋」、「虫穴を出て子供らは家の中 三薬」、「啓蟄や散歩嫌いの夫の居て 百子」、「啓蟄の蟻見て飽きぬ子の背中 可升」の5句が勢揃い。続く4点句には7人が並んだ。以下、3点6句、2点12句、1点27句。3点以上の兼題別高点句は次の通り。

「啓蟄」

虫穴を出て子供らは家の中        杉山 三薬

啓蟄や散歩嫌いの夫の居て        高井 百子

啓蟄の蟻見て飽きぬ子の背中       廣田 可升

啓蟄の古物回収おんな声         徳永 木葉

啓蟄や一鍬大地動き出す         野田 冷峰

「霞」

考へる人となりをり春霞         大澤 水牛

復興の千曲河岸霞立つ          高井 百子

春霞ナビにない道現れて         徳永 木葉

ぽつくりの音する花街夕霞              廣田  可升

朝霞女駅長白スーツ           星川 水兎

「当季雑詠」

撥ねて散る洗車の水の春もよう      岡田 鷹洋

列つくりかるめ焼き買ふ日永かな     谷川 水馬

花輪立てパン屋開店春日向        玉田春陽子

春場所や空の客席空柄杓         堤 てる夫

睡蓮の紅の芽のぞく暖かさ        大澤 水牛

山笑ふ鉄橋の貨車長々と         岡田 鷹洋

歩き来て手に掬ひ呑む春の水       金田 青水

初午に地口行灯朱の鳥居         久保 道子

《参加者》嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、片野涸魚、金田青水、工藤静舟、久保道子、久保田操、澤井二堂、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰、廣田可升、星川水兎。

(報告 高井百子)

 

 

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番町喜楽会第170回例会

新型コロナウイルス蔓延で中止、メール句会に

番町喜楽会の令和2年3月例会(通算170回・3月1日開催予定)は、新型コロナウイルスのために中止、メール句会になった。クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の船客・船員七百余人の集団感染は別件と見做すべきで、そうなると日本国内で見つかった感染者は300人程度なのに、安倍首相以下国内は蜂の巣を突いたような大騒ぎで、いろいろな催しが次々に中止になり、国や地方公共団体の施設は休館。句会をやりたくても会場が無いということになってしまった。

安倍首相は突然、日本全国の小中高校を一斉休校に言い出し、4月に迎えるはずだった習近平中国国家主席の訪日の延期を決めた途端に中国韓国からの旅行者を事実上シャットアウトするといった遅蒔きながらの“水際作戦”を打ち出している。ウイルス感染者を一刻も早く見つけて隔離するのが今最も求められていることなのに、「検査体制が整っていない」のでそれが出来ない。ウイルス検査能力は一日4千人弱で、韓国の十分の一以下である。「韓国では一日に500人もの新たな感染者が発見されているが、日本は30数人」などと言って喜んでは居られない。検査人数が少なければ感染者発見数が少なくなるのは当たり前である。何とかして東京オリンピックはやりたい。そのために感染者数を増やさぬよう、検査体制の不備を言っているのではないかと勘繰りたくもなる。

句会が出来なくなった腹立ち紛れにこんなことを言っているわけではない。今回のコロナウイルス騒動で日本政府が打つ手がどうも腑に落ちないことが多すぎるのだ。クルーズ船の船内でウイルス感染者が出たというのに、厚生労働省は従来の検疫方法を守り、乗客乗員を密閉空間の船内に半月も閉じ込め、実にノロい検査をやっていた。この間に新たな感染者を次々に増やしてしまった。国内でのウイルス検査体制の整備増強にも手をこまぬいていた。それが災いして市中感染が増え始め、日本国内での新たな感染者はむしろ増える傾向にある。これはもう、行政の責任であり、政治の責任である。

オリンピックなどイギリスが肩代わりしてもいいよと言っているのだから、さっさと譲り渡して、ゆっくり句会が開ける平和な日本を取り戻して欲しい。

句会報告とは全然関係無い話になってしまった。

第170回の兼題は「春の日」と「蛤」。本来なら雛祭を中心に、麗らかな春の日を謳歌する句会になった筈だったのである。メール句会の結果、兼題別の高点句は以下のようになった。

「春の日」

春の日や再雇用とて白髪染め      谷川 水馬

かさかさの手に春の日のやはらかし   金田 青水

渡されし子に春の日の匂ふかな     今泉 而云

「蛤」

塗り椀に蛤汁のうすにごり       星川 水兎

魚河岸で煮蛤の握り昼の酒       中沢 豆乳

「当季雑詠」

雛祭ふたりで祝う家となり       須藤 光迷

ウイルスが巨船を止める春寒し     前島 幻水

八幡の隣は不動草の餅         徳永 木葉

春浅し膝いそがしき三輪車       玉田春陽子

(報告 大澤水牛)

 

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日経俳句会第186回例会

渦中のクルーズ船から投句した実千代さん、「数独をとく」12点ほか3句合わせて22点獲得。次席は双歩さんの「土のやさしさ」11点。

日経俳句会は2月19日(水)、令和2年度2月例会(通算186回)を千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。新型コロナウィルスの脅威が世界中を駈け廻り、日本でも感染者がじわじわと広がっていることもあり、開催を危ぶむ声もあったが、どこ吹く風の元気な会員15人が集い、兼題の「日永」と「蕗の薹」などの105句を俎上に熱い句会を繰り広げた。この日の話題は何といっても、あのダイヤモンドプリンセス号の船上で詠んだ池村実千代さんの作品。「永き日や数独をとく船の上」は前書きがなくとも素晴らしいと12点、ほか「客船で戦友となり日永かな」が8点、「本当の豊かとはなに蕗の薹」が2点、合わせて22点を独り占めした(実千代さん夫妻は句会当日の19日に無事下船した)。次席は双歩さんの「ひと雨の土のやさしさ蕗の薹」が11点。三席は実千代句と並び操さんの「改札の先に広がる日永かな」が8点を獲得した。次いで青水さんの「母校失せ友失せし里ねこやなぎ」が7点。以下6点1句、5点4句、4点5句、3点4句、2点20句、1点31句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「日永」

永き日や数独をとく船の上       池村実千代

客船で戦友となり日永かな       池村実千代

改札の先に広がる日永かな       久保田 操

このままの往生ねがふ日永かな     金田 青水

来て逃げて雀の群れの日永かな     堤 てる夫

永き日や寄せ波引き波幾千年      大沢 反平

チョキチョキと園丁鋏日永かな     加藤 明生

「蕗の薹」

ひと雨の土のやさしさ蕗の薹      嵐田 双歩

蕗の薹ザルツブルグの塩振つて     谷川 水馬

まだ動く水車ごとごと蕗の薹      植村 博明

アマゾンで買いし一キロ蕗の薹     髙橋ヲブラダ

釣れぬ日の魚籠にはせめて蕗の薹    杉山 三薬

当季雑詠

母校失せ友失せし里ねこやなぎ     金田 青水

マッチ擦る仕草の記憶春のカフェ    中沢 豆乳

堰越えの水の膨らみ冬をはる      廣上 正市

音すれど姿の見えぬ雪解水       井上庄一郎

梅二本早や満開の老い始め       大平 睦子

朧なりカークダグラス顎えくぼ     杉山 三薬

氷瀑の便り来ぬまま春立ちぬ      徳永 木葉

《参加者》【出席】嵐田双歩、今泉而云、岩田三代、大澤水牛、金田青水、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、高石昌魚、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中村迷哲、星川水兎。【投句参加】池村実千代、井上庄一郎、植村博明、大倉悌志郎、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、加藤明生、久保田操、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、向井ゆり、横井定利。  (報告 嵐田双歩)

 

 

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番町喜楽会「年間優秀作品賞」表彰制度創設

“令和元年記念”受賞者は6人 2月例会で表彰式を開催

番町喜楽会は、初めての試みである「令和元年記念年間優秀作品賞」の受賞句を、令和2年初の例会(第169回例会)で発表・表彰式を行った。この賞は、番町喜楽会会員の年間作品の中から、特に優秀と思われる作品を顕彰しようと創設したものである。昨年は「令和元年」の記念の年でもあったことから名称を「令和元年記念」として、選者を今泉而云氏と大澤水牛氏に委嘱し、会員の2019年の全作品千数百点の中から下記の6句が選ばれた。表彰式では、受賞作の発表、賞品(図書券)が高井百子会長より手渡され、今泉、大澤両氏が作品の講評を述べた。句会後の九段下「味さと」での恒例の反省会では、受賞者が喜びの弁を語った。受賞作品は以下の通り。

令和元年記念「番町喜楽会年間優秀賞作品賞」

つないだ手誰が離した夏の果て   斉山 満智(11月4日第167回)

旅芸人しゃぼんの玉に入りけり   塩田 命水(7月1日第163回)

毬栗の青きを拾ふ無言館      高井 百子(9月2日第165回)

地の起伏あらはにみせて野火走る  玉田春陽子(2月2日第158回)

かなかなの声戻りくる雨後の宿   中村 迷哲(9月2日第165回)

AIとゲノムの未来原爆忌       前島 幻水(9月2日第165回)

(まとめ 高井百子)

 

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番町喜楽会第169回例会を開催

 

23名が参加、「風光る」と「菫」を詠む

而云さん「凧揚げ」で7点のトップ

番町喜楽会は、令和2年2月例会(通算169回)を2月1日(土)午後6時から、「風光る」と「菫」を兼題に九段下の千代田区立九段生涯学習館で開いた。投句者は23名で、投句数113句。投句5句・選句6句で句会を進めた結果、今泉而云さんの雑詠「凧揚げて少年の夢老いの夢」が7点でトップに輝いた。二席は玉田春陽子さんの「立ち飲みの肘ぶつかって二月かな」の6点句。次いで嵐田双歩さんの「風光るカヌーのくぐる聖橋」、金田青水さんの「風光る前垂替へし笠地蔵」、斉山満智さんの「風光る産着の中の小さき手」、谷川水馬さんの「風光る梨の新芽の力瘤」の5点句4句が続いた。以下、4点3句、3点6句、2点13句、1点37句となった。また、中沢豆乳さん(日経俳句会会長)が入会し今回から出席、歓迎の拍手を受けた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「風光る」

風光るカヌーのくぐる聖橋             嵐田 双歩

風光る前垂替へし笠地蔵              金田 青水

風光る産着の中の小さき手             斉山 満智

風光る梨の新芽の力瘤               谷川 水馬

タラップを降りて離島の風光る           廣田 可升

「菫」

いにしへのいくさのにはのしろすみれ        大澤 水牛

菫咲き歩き始めた一歳児              嵐田 双歩

念願の墓仕舞終え花菫               田中 白山

かたまつてゐねばさみしき菫花              玉田春陽子

「雑詠」

凧揚げて少年の夢老いの夢             今泉 而云

立ち飲みの肘ぶつかって二月かな          玉田春陽子

鉄屑の匂ひ春めく町工場              廣田 可升

ギャー泣きの妹を背に鬼に豆            須藤 光迷

鳥雲にサーカスの子ら転校す            谷川 水馬

土手道に瀬音聞こゆる春隣             中村 迷哲

《参加者》【出席16人】嵐田双歩、池内的中、今泉而云、大澤水牛、金田青水、斉山満智、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中村迷哲、前島幻水。【投句参加7人】大下綾子、澤井二堂、塩田命水、野田冷峰、廣田可升、星川水兎、山口斗詩子。(報告・谷川水馬)

 

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新年七福神巡り・メール句会報告

19人が旧東海道品川宿を歩く

恒例のメール句会を開催

令和二年の新春四日、初詣を兼ねる恒例の七福神吟行を催した。品川近辺の旧東海道に沿って七社寺を訪ねる「東海七福神めぐり」。日経俳句会、番町喜楽会から平均年齢七十五歳を超える十九人が参加、旧街道の歴史をたどりつつ、四・五キロを三時間かけ全員が巡り終えた。集合は京浜急行の大森海岸駅。小春日和に恵まれ、午後一時の集合時間前には十九人が勢揃いして、気合は十分。参加者は嵐田双歩、植村博明、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、澤井二堂、杉山三薬、須藤光迷、塩田命水、田中白山、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、野田冷峰、廣田可升、前島幻水、向井ゆり、山口斗詩子の面々。

歩きやすさを考えて、通常とは逆回りに大森海岸駅近くの磐井神社(弁財天)からスタート。第一京浜から旧東海道に入る分岐点が鈴ヶ森刑場跡。八百屋お七や天一坊、丸橋忠弥ら、芝居で知られる江戸時代の罪人が露と消えた場所。今は狭い敷地に石塔類が残るだけで、火あぶりと磔の柱を立てた礎石が昔を語っている。住宅地を二十分ほど歩き天祖・諏訪神社(福禄寿)に着く。街道沿いに立会川、鮫洲、青物横丁と商店街を一・六キロを歩きやっとの思いで品川寺(毘沙門天)にたどりつく。ここまで来れば、行程の七割をこなしたことになる。目黒川畔にある品川宿の総鎭守荏原神社(恵比寿) に参拝、疲れた足を励まし、北品川商店街を抜けて一心寺(寿老人)へ。そこから路地を五十メートル入ると養願寺(布袋尊)。行程表と時計をにらみつつ、最後の品川神社に向かう。海を望む小高い丘に鎮座する品川神社(大黒天)は、源頼朝が安房の須崎明神を勧請して創建。その後、太田道灌、徳川家康をはじめとする歴代将軍の庇護を受け、北品川の鎮守として崇敬を集めている。ずっと平坦な道を歩いてきたが、最後に五十三の石段が待ち受けていた。石段裏には勾配が緩やかな女坂があり、それぞれの疲れ具合いに応じて本殿を目指す。予定通り、午後四時には境内で集合写真に納まり、新馬場駅近くの台湾ダイニング「游羅」で盛大な打ち上げ懇親会を開催した。 (七福神吟行幹事・中村迷哲)

☆     ☆     ☆

東海七福神吟行のメール句会

例のごとく参加19人によるメール句会は投句3句・5句選句で行い、集計の結果、迷哲さんの「巡り終え酒席に揃ふ七福神」が六点で第一席。次いで「福詣一歩一歩の女坂 双歩」「賽銭を小出しに供え七福神 博明」「獅子舞に暫し華やぐ下駄屋前 春陽子」「頻尿の心せはしき福詣 木葉」が五点で並んだ。四点に「初凪や品川海が遠くなり 水牛」「引きたいが凶の予感の初御籤 光迷」「富士塚や四日の海も橋も暮れ 光迷」「富士塚の下界やかまし早四日 木葉」「獅子舞をすわ天敵と仔犬吠ゆ 可升」の五句が続いた。ほか三点三句、二点十二句、一点十三句という結果になった。

東海七福神吟行作品集

福詣一歩一歩の女坂              嵐田 双歩

疊屋の旧字古びぬ初仕事

恙なく句友こぞりて福巡り

獅子舞や品川宿の小商人            植村 博明

賽銭を小出しに供え七福神

福詣巡り終えるや怪気炎

十二度もあるぞ令和の福詣           大澤 水牛

初凪や品川海が遠くなり

丈六の地蔵微笑む四方の春

禿頭撫で湧けよ秀句よ福禄寿          岡田 鷹洋

釣ったのは空飛ぶジャンボ恵比須神

品川神富士登りたし余力なし

神楽笛きりゝ流るゝ初御空           金田 青水

図らずも獅子に喰はれて貰ひ福

品川に海苔や魚や福まゐり

鈴ヶ森落葉の陰に火焰台            澤井 二堂

品川寺小鐘をついて福願ひ

春日差す龍馬の眼差し旧海道

大森に集ふ四日の福詣り            塩田 命水

憧れし車に出会ふ福詣り

飛行反対の幟の踊る福詣り

福詣お七が袖引く鈴ヶ森            杉山 三薬

初歩き枚方までなら五十六次

金餅を色紙代わりに七福神

初春や策士龍馬の懐手             須藤 光迷

引きたいが凶の予感の初神籤

富士塚や四日の海も橋も暮れ

狛犬の子連れの阿吽冬日差           田中 白山

目黒川囃子太鼓の恵比須神

一万歩大団円の七福神

初御籤謙虚になれば幸来ると          玉田春陽子

弁天の朱肌あらはや福詣

獅子舞に暫し華やぐ下駄屋前

今むかし天下の大道福巡り           堤 てる夫

品川神社家康庇護の高みかな

正月も何も縁なし涙橋

頻尿の心せはしき福詣             徳永 木葉

富士塚の下界やかまし早四日

東海の福神たずね江戸上り

広重の街道たどる福詣             中村 迷哲

福詣坂に列なす女高生

巡り終へ酒席に揃ふ七福神

楪の仔連れ狛犬福鎮座             野田 冷峰

福巡り句友の介添えありてこそ

念入りに下駄屋の老舗福踊り

首垂れ獅子頭待つ女将かな           廣田 可升

獅子舞をすわ天敵と仔犬吠ゆ

新海苔の赤き幟や東海道

東海道の昔を偲び福詣             前島 幻水

旧海道巡るもご利益福詣

福神はインタナショナル福詣

獅子舞の囃子につられ早歩き          向井 ゆり

人のことばかり願いて福詣

江戸明治昭和を往き来四方の春

八十翁健脚競ひ初巡り             山口斗詩子

賽銭の多寡気にしつつ初詣

小吉と出でてにんまり初みくじ

(まとめ 嵐田双歩)

 

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酔吟会第144回例会を開催

長老涸魚さんの「初日」二句で目出度く幕開け

静舟さんの「気長の妻」が6点で最高

酔吟会の令和2年初句会(通算144回)は1月11日午後1時、東京・内神田の日経広告研究所8階会議室で開催された。兼題は「初日(はつひ)」「屠蘇(とそ)」で、暖冬につられてか、出席者は19人とほぼ満席となり、投句参加者2人を加えて投句総数は105句、選句6句で句会を進めた。その結果、最高点は工藤静舟さんの「ごまめ煎る気長な妻のありがたき」の6点。次席は片野涸魚さんの「汚れちまったこの星に射す初日」の5点。三席は「帰郷して綽名呼び合う新年会 今泉而云」、「枯むぐら除けるや蕗の薹二つ 大澤水牛」、「生きてをるだけがめでたき初日かな 涸魚」、「雑煮餅卒寿の父母に薄く切る 谷川水馬」、「風を呼びかぜに煽られどんと焼き 玉田春陽子」の4点5句。続く3点は5句、2点22句、1点33句。兼題別の高点句(3点以上、屠蘇の句は2点以上)は次の通り。

「初日」

汚れちまったこの星に射す初日      片野 涸魚

生きてをるだけがめでたき初日かな    片野 涸魚

仏壇の奥まで入りし初日かな       須藤 光迷

初日影松の葉先の細みまで        玉田春陽子

「屠蘇」

無骨なる父の挨拶屠蘇の朝        廣田 可升

屠蘇汲んで何かが癒えてくる心地     嵐田 双歩

老夫婦屠蘇は宅配しみじみと       岡田 鷹洋

養命酒みたいなものと屠蘇注がれ     杉山 三薬

屠蘇祝ふ母は上戸で父は下戸       谷川 水馬

なんとまあ私が喜寿屠蘇祝ふ       玉田春陽子

「雑詠」

ごまめ煎る気長な妻のありがたき     工藤 静舟

帰郷して綽名呼び合う新年会       今泉 而云

枯むぐら除けるや蕗の薹二つ       大澤 水牛

雑煮餅卒寿の父母に薄く切る       谷川 水馬

風を呼びかぜに煽られどんと焼き     玉田春陽子

初夢は背を向け合ひて同じ夢       今泉 而云

抜き文字の法被眩しき出初式       廣田 可升

参加者(出席)嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、片野涸魚、金田青水、工藤静舟、久保道子、久保田操、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、廣田可升、向井ゆり(投句参加)谷川水馬、藤野十三妹

(まとめ:てる夫)

 

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日経俳句会第185回例会

37人が「淑気」「冴ゆ」を詠む

博明さん「難病の友」で最高9点

日経俳句会は令和2年の1月例会(通算185回)を1月15日(水)に千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。小正月にあたるこの日は昼に雨が降ったうえ、寒さで体調を崩した人もあり、出席は15人にとどまったが、兼題句、雑詠ともに高点句が多く、正月らしい賑やかな初句会となった。兼題は「淑気」と「冴ゆ」。37人から111句の投句があり、6句選(欠席5句)の結果、植村博明さんの「冴ゆる夜や難病の友良く語り」が最高9点を獲得、大倉悌志郎さんの「踏跡のなき雪道の淑気かな」が8点で続いた。7点句には「冴ゆる夜はみしりみしりと家も泣く 双歩」と「スイーツも酒も持ち寄り女正月 木葉」が並び、6点句に「街路樹の細き枝先月冴ゆる 操」と「年ごとに家族の増えて福笑い 百子」の2句が入った。このほか5点4句、4点10句、3点10句、2点14句、1点29句で、3点以上の高点句が29句にのぼった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「淑気」

踏跡のなき雪道の淑気かな       大倉悌志郎

木漏れ日を映す手水の淑気かな     和泉田 守

スタートの号砲真近淑気満つ      向井 ゆり

富士塚の頂きに満つ淑気かな      嵐田 双歩

カレンダー表紙をめくる淑気かな    植村 博明

淑気満つ嶺の尖りや独鈷山       髙井 百子

新しき紙垂の浮き立つ淑気かな     髙石 昌魚

潮風の運ぶ淑気や崖の寺        中村 迷哲

スタートの襷の誇り淑気満つ      水口 弥生

「冴ゆ」

冴ゆる夜や難病の友良く語り      植村 博明

冴ゆる夜はみしりみしりと家も泣く   嵐田 双歩

街路樹の細き枝先月冴ゆる       久保田 操

ちんまりと猫も正座の淑気かな     大澤 水牛

月冴えて語り出したる影法師      中村 迷哲

冴ゆる夜や満天の星怖きほど      井上庄一郎

底石を見せて冴えざえ荒れ千曲     杉山 三薬

賽銭の十円からころ音冴ゆる      中沢 豆乳

夕映えの荒川越しに冴ゆる富士     向井 ゆり

漆黒を揺らめく神火伊勢冴ゆる     水口 弥生

『当季雑詠』

スイーツも酒も持ち寄り女正月     徳永 木葉

年ごとに家族の増えて福笑い      髙井 百子

除夜の鐘ゴーンと鳴るは逃げた後    荻野 雅史

娘らが帰ってこない晦日蕎麦      旙山 芳之

鳥来るを待つ千両のつぶらかな     水口 弥生

デパートにトイレを探す寒の入     嵐田 双歩

黄泉路へと続く大穴大根掘る      大倉悌志郎

北新地ところ狭しと松飾        髙橋ヲブラダ

掘り炬燵猫踏んじゃった初笑い     中沢 豆乳

年新た皿をはみ出す鰤のかま      廣上 正市

雪国の村ふかふかと寒満月       星川 水兎

《参加者》【出席】嵐田双歩、岩田三代、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、金田青水、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、髙石昌魚、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中村迷哲、星川水兎。【投句参加】池村実千代、和泉田守、井上庄一郎、今泉而云、植村博明、大倉悌志郎、大下綾子、大平睦子、荻野雅史、加藤明生、久保田操、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、中嶋阿猿、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、向井ゆり、横井定利。 (報告・中村迷哲)

 

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