日経俳句会第175回例会

 

36人で「新年」を詠む

最高は11点、双歩さんの「七日粥」、博明さんの「天皇」

 

日経俳句会は平成31年度1月例会(通算175回)を1月16日(水)夕刻、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。寒の内でやや冷え込んだが、初句会とあって普段より多い20人が出席、正月らしい「新年一般」という兼題を中心に賑やかな句会となった。今回から酔吟会幹事の高井百子さんが月例会にも参加。中沢会長も年末の合同句会に続いて顔を出し、座が盛り上がった。

投句総数は36人からの108句で、5句選の結果、嵐田双歩さんの「また元の二人に戻り七日粥」と、植村博昭さんの「天皇の声震わせて去年今年」がともに最高11点で並んだ。次席は7点で「妻癒ゆる日を願ひけり大旦 反平」と「子ら帰り慈姑くわいは残る三日かな 水馬」が獲得、6点に「命名の筆の硬さよ初硯 百子」と「端然と坐るが如く独楽回る 昌魚」が入った。

5点は「福顔の巫女より受ける破魔矢かな 万歩」はじめ5句、4点3句、3点7句、2点17句、1点30句だった。兼題別の高得点句(3点以上)は以下の通り。

「新年一般」

また元の二人に戻り七日粥     嵐田 双歩

天皇の声震わせて去年今年     植村 博明

妻癒ゆる日を願ひけり大旦     大沢 反平

子ら帰り慈姑くわいは残る三日かな    谷川 水馬

命名の筆の硬さよ初硯       高井 百子

端然と坐るが如く独楽回る     髙石 昌魚

ほろ酔ひの午後の日差しを初湯かな 嵐田 双歩

福顔の巫女より受ける破魔矢かな  大熊 万歩

交叉点見下ろす眼光初烏      中嶋 阿猿

断捨離の部屋隅々に初明り     野田 冷峰

余生と言ひ晩年と言ひ雑煮喰ふ   廣上 正市

十客の朱きお椀に集ふ春      池村実千代

一行の文字に万感浮く賀状     髙石 昌魚

夢破るお掃除ルンバ寝正月     谷川 水馬

赤き実の垣根に見ゆる三日かな   今泉 而云

築地からどこへ越したの嫁が君   加藤 明生

賀状読む友が周りに居る心地    澤井 二堂

三が日巡査はすっくと交番に    鈴木 好夫

初夢や三途の川で水切りす     谷川 水馬

門松の鋭く立ちて株下落      徳永 木葉

碧といふ色のほかなき初御空    廣上 正市

《参加者》(出席)嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、岩田三代、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、高石昌魚、堤てる夫、徳永木葉、中沢義則、中村哲、野田冷峰、流合研士郎、藤野十三妹、星川水兎。(投句参加)和泉田守、植村博明、大熊万歩、大倉悌志郎、大下綾子、大平睦子、加藤明生、金田青水、久保田操、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、中嶋阿猿、廣上正市、向井ゆり、横井定利。

(報告・中村哲)

 

 

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