水木会の平成23年度第2回例会(通算96回)が2月16日(水)午後6時半、日経本社7階会議室で開かれた。ちょっと寒気が緩んだこの日の兼題は「暖か」と「蜆(しじみ)」で、18人が出席、投句参加5人を加えて投句総数は114句。いつもより出席も投句もやや少な目めだった。その分、合評会には十分時間を取ることが出来て、賑やかに句会が進んだ。
選句7句で句会を行った結果、最高は5点で、横井定利さんの「春めくや靴を磨きに上野まで」と吉野光久さんの「一椀に六腑さだまる蜆汁」の2句が並んだ。続く4点は6句で、以下3点5句、2点20句、1点38句と続いた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「暖か」
暖かやお堀端ゆく無蓋バス 嵐田 啓明
訛りある女の不満あたたかし 植村 博明
暖かや高層ビルから乳母車 広上 正市
暖かや何か始める時が来た 山田 明美
あたたかき母の手首の輪ゴムかな 吉野 光久
あたたかや路地の先にも道のあり 大下 綾子
「蜆」
一椀に六腑さだまる蜆汁 吉野 光久
ひとコマづつ昨夜の記憶しじみ汁 星川 佳子
後悔のひとつひとつを蜆汁 嵐田 啓明
酔ひ痴れて箸にかからぬ蜆かな 堤 てる夫
「雑詠」
春めくや靴を磨きに上野まで 横井 定利
春節がどどどと来たり浅草寺 杉山 智宥
瘤の数支え木の数臥龍梅 広上 正市
<出席者> 嵐田啓明、池村実千代、今泉恂之介、植村博明、大熊万歩、大澤水牛、大下綾子、加藤明男、久保田操、小林啓子、堤てる夫、徳永正裕、広上正市、星川佳子、水口弥生、山田明美、横井定利、吉野光久
<投句参加> 金田青水、杉山智宥、高石昌魚、平山一雄、藤野十三妹
(報告者堤てる夫)