「身に入む」と「相撲」を詠む
中村哲さんが7点句でトップ
番町喜楽会の平成29年9月例会(通算143回)は、4日午後6時半から東京・九段下の千代田区生涯学習館で「身に入む」と「相撲」を兼題として投句5句、選句6句で行った。最高は中村哲さんの「宮相撲四股踏む少年白き尻」で7点。次席6点は田中白山さんの「我一人身にしむ卓の広さかな」と徳永正裕さんの「妻の指す花の名知らず赤とんぼ」の2句が並んだ。5点は谷口命水さんの「手の皺の目立つ齢や鰯雲」と白山さんの「場所入りの風呂敷一つ夢一つ」の2句、4点は1句、3点は11句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「身に入む」
我一人身にしむ卓の広さかな 田中 白山
独り居の病の床の身にしみて 山口斗詩子
身に入むや戦力外の小さき記事 玉田春陽子
身に入むや訃報をつげる留守電話 玉田春陽子
漁火の身に入む旅や北の宿 前島 幻水
「相撲」
宮相撲四股踏む少年白き尻 中村 哲
場所入りの風呂敷一つ夢一つ 田中 白山
原っぱや三角ベースと草相撲 嵐田 双歩
番付にさがす故郷大相撲 谷川 水馬
買ひ出しの自転車小さき相撲取 廣田 可升
肥満児の英雄となる草相撲 前島 幻水
「雑詠」
妻の指す花の名知らず赤とんぼ 徳永 正裕
手の皺の目立つ齢や鰯雲 谷口 命水
きなくさき雨の降るなり敗戦日 大澤 水牛
孫帰るばあば一人の処暑の風 高井 百子
負けて泣き勝って泣く児ら夏終わる 中村 哲
秋蝉のホース跨ぎて動かざる 廣田 可升
参加者(出席十八人)嵐田双歩、池内健治、井上啓一、今泉而云、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、谷口命水、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、中村哲、野田冷峰、星川佳子、前島幻水。(投句参加四人)齊山満智、澤井二堂、廣田可升、山口斗詩子 (報告・須藤光迷)