日経俳句会第152回例会

 

参加34人で「秋彼岸」「鹿」を詠む

 

日経俳句会は9月21日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で9月例会(通算152回)を開いた。太平洋岸を北上した大型台風16号が過ぎ去ったばかりの夕刻、20人が句会場に集まった。「秋彼岸」「鹿」の兼題と雑詠合わせて、投句参加者も加えて34人から167句の出句があり、いつものように選句をもとにした活発な批評会が行われた。

最高点の8点を得たのは廣上正市さんの「ひと畝を均して秋の暮れにけり」。次席6点は大下綾子さんの「秋彼岸小さき草は残しおき」と、今泉而云さんの「化(あだし)野(の)や鹿振り向けば人の顔」。5点句は4句あり、「訪へば小豆煮る香や秋彼岸」(星川佳子)、「闇の夜の篠笛に似て鹿の声」(今泉而云)、「クレーンも月を指しをる良夜かな」(髙瀨大虫)、「一の字に大きさ同じ初秋刀魚」(徳永正裕)と佳句が出そろった。4点は4句、3点は12句。3点以上入った句についてみると、当季雑詠が二つの兼題の各6句の倍近い11句と最も多くなっている。このほか、2点は28句、1点は46句あった。

兼題別の高点句(3点句以上)は以下の通り。

「秋彼岸」

秋彼岸小さき草は残しおき     大下 綾子

訪へば小豆煮し香や秋彼岸     星川 佳子

雨叩く都電に一人秋彼岸      岡田 臣弘

自転車に袈裟翻る秋彼岸      髙石 昌魚

参るべき墓は蝦夷の地秋彼岸    徳永 正裕

秋彼岸兄の好みし冷おろし     大澤 水牛

「鹿」

化野や鹿振り向けば人の顔     今泉 而云

闇の夜の篠笛に似て鹿の声     今泉 而云

傷つきし鹿伝説の湯に浸かる    嵐田 双歩

東京に一族集ふ秋彼岸       今泉 而云

明日切らる角で地を突く雄鹿かな  直井  正

眼が合ひて時止まりたり神の鹿   中嶋 阿猿

「当季雑詠」

ひと畝を均して秋の暮れにけり   廣上 正市

クレーンも月を指しをる良夜かな  髙瀨 大虫

一の字に大きさ同じ初秋刀魚    徳永 正裕

こほろぎの宿追い立てり庭仕事   中村  哲

広島のナイン野に咲け赤のまま   嵐田 双歩

秋霖やちび猫と居る四畳半     大澤 水牛

蓮折れてぬっくと花托の黒々と   澤井 二堂

萩の道乗馬娘の胸尖る       杉山 智宥

秋雨やまた読み始む水滸伝     須藤 光迷

蔓伸びて初露まとふ夜明け哉    谷川 水馬

蟷螂や網戸に三日三晩居て     堤 てる夫

 

参加者(出席)嵐田双歩、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、須藤光迷、高石昌魚、髙瀨大虫、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、廣上正市、星川佳子、水口弥生、横井定利

(投句参加)池村実千代、井上庄一郎、植村博明、大熊万歩、大沢反平、大下綾子、大平睦子、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、谷川水馬、流合研士郎、深田森太郎、藤野十三妹

(まとめ・廣上正市)

 

 

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