日経俳句会第150回例会

 

節目の句会、「土用」「ビール」に166句の盛況

 

日経俳句会は7月20日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で七月例会を開いた。今回は発足以来例会150回目の節目に当たり、大澤水牛幹事長から「格別意識しないまままる15年。前身の銀鴎会時代を含めるとほぼ20年になる。これからも二百回、三百回を目指して句づくりに励みたい」との挨拶があった。今泉而云さんからも「九十歳までやる会を立ち上げようと思っている」と元気な発言があった。

記念すべき例会の出席者は23人。兼題の「土用」と「ビール」には、欠席者を含め34人から166句の投句があった。欠席した10人からも選句が寄せられ、3点以上の点を集めた作品が30句に達するなど盛況裡に行われた。

最高点の7点には大熊万歩さんの「電線の影黒く落つ土用かな」、水口弥生さんの「来客は蜘蛛の一匹土用の日」、大倉悌志郎さんの「小さき胸大きな西瓜かかへくる」の3句が並んだ。次席の5点も3句あり、「友逝きて独りのビール常の席」(大倉悌志郎)、「悪党に大小のありサングラス」(嵐田双歩)、「藍染の浴衣に違ふ妻を見る」(中村哲)。4点句は「深煎りの珈琲の香や土用東風」(和泉田守)、「ゴキブリが挨拶に来る土用かな」(金田青水)、「動くのは木々の影のみ昼ビール」(流合研士郎)など7句出た。このうち和泉田、金田、中村三氏がそれぞれ2句ずつを占めるなど健闘が目立った。以下3点が14句、2点24句、1点37句だった。兼題別の高点句(3点句以上)は以下の通り。

「土用」

電線の影黒く落つ土用かな    大熊 万歩

来客は蜘蛛の一匹土用の日    水口 弥生

深煎りの珈琲の香や土用東風   和泉田 守

ゴキブリが挨拶に来る土用かな  金田 青水

樹臭濃き土用の照葉樹林かな   金田 青水

ひと気なき浜に崩るる土用波   中村  哲

大楠の威風堂々土用風      今泉 而云

父と子の並んで見てる土用波   植村 博明

デパートのソフアに熟睡(うまい)土用入  大澤 水牛

家中を全開にして土用干し    杉山 智宥

歳時記の表紙の手あか土用干し  徳永 正裕

見栄を切る女代議士土用照    中嶋 阿猿

土用波いちまい長くのびてきし  星川 佳子

「ビール」

友逝きて独りのビール常の席   大倉悌志郎

父と子の黙して交はすビールかな 和泉田 守

動くのは木々の影のみ昼ビール  流合研士郎

缶ビールぷしゅと泡散る新幹線  嵐田 双歩

昼間とは別の顔して生ビール   植村 博明

地ビールと手製燻製友来る    大熊 万歩

大ジョッキドイツ娘の腕太し   大澤 水牛

泡溢れ快気祝の生ビール     髙石 昌魚

天井の高きも銀座ビヤホール   徳永 正裕

地曳網引きし円座の麦酒かな   廣上 正市

「雑詠」

小さき胸大きな西瓜かかへくる  大倉悌志郎

悪党に大小のありサングラス   嵐田 双歩

藍染の浴衣に違ふ妻を見る    中村  哲

憂きことも楽しきことも遠花火  和泉田 守

母見舞ふ道くろぐろと梅雨に入る 中村  哲

見上げたる永六輔の星涼し    大下 綾子

夕顔や垣のほつれに顔を出し   水口 弥生

参加者(出席)嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、高石昌魚、髙瀨大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中沢義則、中村哲、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、横井定利。(投句参加)和泉田守、井上庄一郎、植村博昭、大熊万歩、大下綾子、大平睦子、金田青水、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、中嶋阿猿、野田冷峰、流合研士郎、星川佳子。 (まとめ・廣上正市)

 

 

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