「七月」は大下氏、「花火」は前島氏─6点句で首位を分け合う
番町喜楽会の平成28年7月例会(通算129回)は、4日午後6時半から東京・九段下の千代田区立生涯学習館で開催された。兼題は「七月」と「花火」で、投句5句、選句6句で行った。日中は最高気温が34℃と平年を6℃以上も上回る猛暑。夕方には局地的な雷雨があり、その影響で遅れる人が出たものの、山口斗詩子さんが久し振りに顔を出されるなど、出席者19人の大盛況だった。
最高は6点で、大下綾子さんの「七月の空へ空へと山育つ」と、前島厳水さんの「湖染めて山を揺さぶる花火かな」が肩を並べた。次席の5点は谷川水馬さんの「算盤の玉の軽さや梅雨明けぬ」、三席4点は玉田春陽子さんの「追伸にその壱その弐夏見舞」。3点は高井百子さんが「誰れ彼れにあげたし杏ジャムを練る」はじめ3句を連発するなど、全部で14句もあった。2点は16句、1点句は23句と、相変わらずかなり票が割れた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「七月」
七月の空へ空へと山育つ 大下 綾子
七月だ長い休みが始まるぞ 池内 健治
七月の雨芋の葉を連打せり 大澤 水牛
新じゃがの冷製スープ七月来 高瀬 大虫
七月の雨の精気よ森太る 高瀬 大虫
七月やひねもす水車麦を挽き 谷川 水馬
「花火」
湖染めて山を揺さぶる花火かな 前島 厳水
いつになく素直な母や遠花火 嵐田 双歩
大輪に大輪重ね揚花火 大下 綾子
遠花火家族居ぬ間の一人酒 谷川 水馬
一瞬の四尺玉に佐渡浮かぶ 野田 冷峰
「雑詠」
算盤の玉の軽さや梅雨明けぬ 谷川 水馬
追伸にその壱その弐夏見舞 玉田春陽子
あした着る喪服吊るして梅雨深し 今泉 而云
修羅道に迷う母置き施設出る 齋山 満智
誰れ彼れにあげたし杏ジャムを練る 高井 百子
蛍袋雨の雫を吊るしをり 高井 百子
尻尾つけまだ水の中雨蛙 高井 百子
《参加者》(出席19人)嵐田双歩、池内健治、今泉而云、大澤水牛、大下綾子、齋山満智、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣田可升、星川佳子、前島厳水、山口斗詩子(投句参加1人)澤井二堂 (まとめ 須藤光迷)