日経俳句会第148回例会

 

中村哲さんが入会

 

日経俳句会は4月20日(水)、千代田区内神田の日経広告研究所会議室で4月例会(通算148回)を開いた。句会の数日前、熊本地震が発生、大きな余震も心配される中、「霞」「菜飯」の兼題に、35人の会員から166句の投句があった。当日の出席者は20人、投句参加者は16人だった。この日は、新入会の中村哲さんが出席し、選句に参加した。

7句選の結果、最高の7点に池村実千代さんの「フランスの塩をひとふり菜飯かな」、植村博明さんの「霞より現れ出たる陸上部」、髙石昌魚さんの「諍ひも失せて菜飯の箸二膳」、廣上正市さんの「指揮棒のぴたりと止まり卒業す」の4句が並ぶ珍しい結果となった。次席の6点は「タンカーの重き汽笛や春霞 水馬」が入り三席の5点句は「鉄塔の手に手を取って花霞 博明」、「仏前に微かに湯気の菜飯かな 操」「俎板の音の残れる菜飯かな 正市」、「山霞風力発電機にて混ぜる 佳子」の4句が並んだ。高得点句が多かったためか、4点句が5句といつもに比べて少なく、3点8句、2点28句、1点44句という結果になった。兼題別3点以上の高点句は以下の通り。

「霞」

霞より現れ出たる陸上部             植村 博明

タンカーの重き汽笛や春霞            谷川 水馬

山霞風力発電機にて混ぜる            星川 佳子

父と娘のこゑやはらかに夕霞           金田 青水

弧舟あり西湖をまたぐ春霞            大沢 反平

春霞行先表示長きバス              大下 綾子

「菜飯」

フランスの塩をひとふり菜飯かな         池村実千代

諍ひも失せて菜飯の箸二膳            髙石 昌魚

仏前に微かに湯気の菜飯かな           久保田 操

俎板の音の残れる菜飯かな            廣上 正市

海風や菜めしに混じる黄の蕾           高瀬 大虫

坊っちゃんの菜飯ぞなもし温泉街         高橋ヲブラダ

青くさき正論やよし菜飯食ふ           德永 正裕

ルッコラの菜飯に舅苦笑い            中嶋 阿猿

菜飯食ふさびしいときは笑いけり         野田 冷峰

「雑詠」

指揮棒のぴたりと止まり卒業す          廣上 正市

鉄塔の手に手を取って花霞            植村 博明

花の塵舗道に描く青海波             大熊 万歩

桜蘂降る下町の空広し              大下 綾子

春雨や広重の雨モネの雨             谷川 水馬

花恋し万朶の道の果ててなほ           德永 正裕

戦はぬことへの決意春の夜            中嶋 阿猿

 

参加者(出席)嵐田双歩、今泉而云、大倉悌志郎、大澤水牛、岡田臣弘、澤井二堂、杉山宥智、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、谷川水馬、堤てる夫、徳永正裕、直井正、中嶋阿猿、中村哲、野田冷峰、星川佳子、水口弥生。(投句参加)池村実千代、和泉田守、井上庄一郎、植村博昭、大熊万歩、大沢反平、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ、中沢義則、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、横井定利

(まとめ・嵐田双歩)

 

 

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