名園の大辛夷、枝垂れ桜に酔う
日経俳句会・番町喜楽会は3月23日(水)の昼下がり、文京区本駒込の特別名勝「六義園」で、花見吟行を催した。参加者は大澤水牛、今泉而云両氏のほか嵐田双歩、大下綾子、岡田臣弘、久保田操、杉山智宥、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、徳永正裕各氏に堤てる夫(吟行幹事)の13人。花曇りながら日差しにも恵まれる中、三分咲きの枝垂れ桜、満開の大辛夷を観賞、老中柳沢吉保が築造した約二万六千坪、回遊式築山泉水庭園を夕暮れ近くまで巡った。
夕食を兼ねた懇親会は徒歩圏にあるイタリア料理店。呑み放題のビール、ワインで喉を潤して2時間、冷たい夜風に酔いを醒ましながらそれぞれに帰途についた。六義園はこの日から夜間照明を点灯、夜桜を観に戻った熱心な人も数人いた。
吟行句会はメールで投句3〜5句、選句5句で行い「天=5点」「地=3点」「人=2点」「入選1点」で採点した。その結果、最高点は「天」を三つ集めた水牛さんの「百千の胡蝶吐き出す大辛夷」の18点。次席は智宥さんの「染井から一歩今年の花巡り」が16点。三席は而云さんの「曇りのち晴れて万余の花辛夷」が13点だった。吟行参加者の人気を集めた作品は以下の通り。
夜は夜の顔持つ枝垂れ桜かな 嵐田 双歩
いくたびの春ぞ躑躅の茶屋柱 今泉 而云
三分咲き糸桜良し燗の良し 大澤 水牛
没日中峠より見ゆ大辛夷 大下 綾子
夕桜百四の母へみせたやな 岡田 臣弘
行く鴨の名残を惜しむ水辺かな 久保田 操
名園の枝垂れ桜よ頭が高い 杉山 智宥
糸桜横目に酒徒と甘党と 須藤 光迷
三分咲き枝垂れ桜は絹の色 高井 百子
うらなりの辛夷一隅照らしをり 谷川 水馬
残りたる齢に沁みる花見かな 玉田春陽子
六義園茶室の縁に桜びと 堤 てる夫
ゲートルの女庭師や松の花 徳永 正裕