第64回番町句会と第18回喜楽会の合同句会が12月4日(土)午後1時から鎌倉橋の日経第二別館会議室で開かれた。前日は風速20数メートルの強風に豪雨が重なる冬の嵐が荒れ狂ったが、この日は朝から雲一つ無い上々の天気。気温も20度近くになる小春日和となった。
番町句会から井上啓一、高井百子、高瀬大虫、高橋楓子、前島厳水、三好六甫、山口詩朗、喜楽会から笹本塘外、須藤光迷、谷川透、玉田春陽子、それに幹事の今泉而雲、大澤水牛の合計13名が参加、今や東京近辺では見ることも稀になった「霜」と、「風呂吹」の兼題句を中心に談論風発の句会を繰り広げた。
投句5句、選句6句で行った句会の結果は最高点が5点で「藍色の夜明けに霜の声を聞く 楓子」「霜の朝湯気立て走る女かな 厳水」「腐葉土に湯気もうもうと霜の朝 水牛」「高望みせず風呂吹に酒二合 啓一」の4句が並び、次いで4点が「作務終えてふろふき拝む朝餉かな 透」の1句だった。さらに3点が5句、2点9句、1点21句と続いた。兼題別に3点以上獲得句を掲げる。
「霜」
藍色の夜明けに霜の声を聞く 高橋 楓子
霜の朝湯気立て走る女かな 前島 厳水
腐葉土に湯気もうもうと霜の朝 大澤 水牛
寝そびれて霜降る夜の山頭火 高橋 楓子
霜晴れや漁師も旗も煌ける 須藤 光迷
霜の朝靴跡はみな駅を向く 今泉 而雲
「風呂吹」
高望みせず風呂吹に酒二合 井上 啓一
作務終えてふろふき拝む朝餉かな 谷川 透
風呂吹の冷めて無言や通夜の客 高瀬 大虫
「雑詠」
黒猫の坂駆けあがる寒さかな 笹本 塘外