三四郎句会の平成27年4月例会(通算35回)は、4月16日午後1時半から東京・神田錦町の宗保第二ビル内で行われた。欠席投句・選句の岡本崇さん、渡邊信さんも含めれば会員14人全員の参加となった。
この日の兼題は「春愁」と「囀」で、選句の結果、最高点の5点には渡邊信さんの「春愁や一人住まいの洗い皿」と田村豊生さんの「囀りや子らは明日へと駆け出して」が並んだ。次いで宇佐美論さんの「囀りに仁王立ちする子猫かな」「春愁や踏みたる草の深くして」の両句と印南進さんの「行く春やランドセル背に馴染みけり」が4点で続いた。3点以上の句は以下の通り。
「春愁」
春愁や一人住まいの洗い皿 渡邊 信
春愁や踏みたる草の深くして 宇佐美 諭
ぼんぼりの揺れる水面や春愁う 印南 進
春愁をまとひ京町暮れ泥む 河村 有弘
春愁や曲りしままの老の背 田村 豊生
春愁と深爪共に切り捨てて 渡邊 信
「囀」
囀りや子らは明日へと駆け出して 田村 豊生
囀りに仁王立ちする子猫かな 宇佐美 諭
さえずりて又さえずりて飛び立ちぬ 石黒 賢一
囀りを朝陽と森が抱きしめる 河村 有弘
さえずりの空に響きて沁み入れり 深瀬 久敬
三陸に野鳥さえずる鎮魂歌 吉田 正義
「雑詠」
行く春やランドセル背に馴染みけり 印南 進
澄み渡る空のしじまや花大根 岡本 崇
(まとめ 今泉恂之介)