日経俳句会は4月15日(水)午後6時半、千代田区内神田の日経広告研究所(MIFビル)で、平成27年第4回例会(通算138回)を開いた。兼題は「春の宵(はるのよい)」「燕(つばめ)」で、参加者34人(うち投句参加10人)から164句が寄せられた。
7句選句の結果、最高は廣上正市さんの「種蒔きの風より低くかがみたり」の9点1句。次席は加藤明男さんの「園児らのでんぐり返し山笑ふ」の7点句。三席6点は岡田臣弘さんの「万歩計走りたくなる春の宵」と、徳永正裕さんの「北アより水走り来て山葵沢」の2句が並んだ。続く5点は、大澤水牛さんの「桜しべ降るふる訃報つれて降る」、加藤明男さんの「初燕わが学舎は朽ちしまま」、金田青水さんの「嫁といふむすめに出会ふ春の宵」の3句。次いで4点は8句、3点18句を数えた。以下2点16句、1点51句。
桜前線北上中のこの日に嬉しいニュース。しばらく「句会休場」していた和泉田守元事務局長が投句参加、復帰宣言した。また長老大石柏人さんが久方の投句で「老楽やうつらうつらと春の宵」の3点句で気を吐いた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「春の宵」
万歩計走りたくなる春の宵 岡田 臣弘
嫁といふむすめに出会ふ春の宵 金田 青水
膝の猫動こうとせぬ春の宵 大澤 水牛
落とし物家まで届く春の宵 杉山 智宥
春の宵さまざまな音石畳 横井 定利
女湯の暖簾は赤し春の宵 嵐田 双歩
遠来の阿弥陀薄目や春の宵 水口 弥生
老楽やうつらうつらと春の宵 大石 柏人
もう少し歩きましょうか春の宵 大倉悌志郎
春の宵ショパン流るる西麻布 流合研士郎
鯛飯の鍋の吐息や春の宵 須藤 光迷
これでもう五度目の欠伸春の宵 加藤 明男
春の宵イカ飯匂う自由席 杉山 智宥
「燕」
初燕わが学舎は朽ちしまま 加藤 明男
店仕舞いせし煙草屋に燕来る 須藤 光迷
無人駅改札抜けて燕来る 植村 博明
つばめ翔ぶ高き石垣青葉城 嵐田 双歩
現役の三連水車初つばめ 嵐田 双歩
シャッターは降ろせないんです燕来て 杉山 智宥
一閃の燕返しに羽虫消ゆ 高瀬 大虫
蝙蝠と見えしは燕夕惑ひ 徳永 正裕
宙蹴って変幻自在燕舞ふ 直井 正
工場のぎざぎざの屋根燕来る 星川 佳子
燕見た絵手紙文字の翻る 水口 弥生
「雑詠」
種蒔きの風より低くかがみたり 廣上 正市
園児らのでんぐり返し山笑ふ 加藤 明男
北アより水走り来て山葵沢 徳永 正裕
桜しべ降るふる訃報つれて降る 大澤 水牛
八重桜女相撲のごとく咲く 高橋ヲブラダ
花々々淋し淋しといふ村に 大沢 反平
ざれあひて首絞めあひて初登校 金田 青水
長々と八百八橋の花筏 高橋ヲブラダ
爛漫のあだ花悲し村廃る 高瀬 大虫
参加者(出席)嵐田双歩、井上庄一郎、今泉恂之介、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、藤村詠悟、星川佳子、水口弥生、横井定利(投句参加)池村実千代、和泉田守、植村博明、大石柏人、大熊万歩、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、高橋ヲブラダ (まとめ・堤てる夫)