番町喜楽会は4月11日(土)横浜市青葉区にある寺家ふるさと村を巡る吟行会を開催、近くに新築された谷川水馬さんのお宅で句会を行った。残念ながら桜はほとんど散っており、朝方まで雨が残るはっきりしない天気だったが、梨の花が真っ盛り、山吹、菜の花、諸葛菜をはじめ、イヌノフグリ、カラスノエンドウ、踊り子草、ホトケノザ、タンポポなど野の花が咲き乱れる田園を参加16人の大部隊が3時間近く歩き回った。
谷川邸は昨年新築なったばかり。まずこの日は即興で2句ずつ詠み、投句、それを水馬さんが片端からパソコンに入力して選句表を作成。弁当を食べ、銘酒を酌み交わしながら賑やかな句会を行った。一行を歓迎しておもてなし下さった谷川夫人にも選句には参加していただいた。この即興句会の最高点は8点で「山吹のひとむら映えて雨上る 廣田可升」と「花の名を尋ねつ春の小川かな 高瀬大虫」の2句。ついで7点句は「紀の国の才女を妻に春の家 田中白山」と「傘に靴に落花をそへて谷戸の道 星川佳子」の2句が並んだ。5点以上得た句は次の通り。
山吹のひとむら映えて雨上る 廣田 可升
花の名を尋ねつ春の小川かな 高瀬 大虫
紀の国の才女を妻に春の家 田中 白山
傘に靴に落花をそへて谷戸の道 星川 佳子
へらの浮子(うき)ぴくりともせず花は葉に 今泉 而雲
花散らす雨の水輪やむじな池 玉田春陽子
花むしろ濡れてはりつく石畳 高瀬 大虫
六甫大人ちょこなんとあり仏の座 今泉 而雲
寺家村へ歩み出せば初音かな 大下 綾子
菜の花に散り込む谷戸の桜かな 大澤 水牛
〈メール句会〉
吟行句会を終えた後、「番町喜楽会4月例会」として、改めてこの日の吟行句を中心に、兼題「花(桜でも可)」の句と雑詠を3句以上5句以内幹事に送信する「メール句会」も行った。これには吟行に参加しなかった山口斗詩子さんも加わった。
この句会の最高点は5点で、「大根の花真白なる雨上がり 而雲」「おうおうと花の奥より友の声 水牛」「プードルも尾っぽふりふり花の宴 水馬」「大皿の桜餅待つ新居かな 佳子」の4句並んだ。3点以上獲得した句は以下の通り。
「花(または桜)」
おうおうと花の奥より友の声 大澤 水牛
プードルも尾っぽふりふり花の宴 谷川 水馬
花散りてなほ山肌のさくら色 今泉 而雲
四年経て三春桜の底ぢから 野田 冷峰
薄日射す村は落花の中にあり 須藤 光迷
花屑の中に紛れし篦の浮子(うき) 田中 白山
「雑詠」
大根の花真白なる雨上がり 今泉 而雲
大皿の桜餅待つ新居かな 星川 佳子
芽吹きして青葉台とはよき地名 今泉 而雲
君はいま柳絮の街を歩むらん 大澤 水牛
谷戸囲む森の中より初音かな 田中 白山
谷戸に咲くこれがほんとの犬ふぐり 大下 綾子
菜の花や大曽根の姓多き里 今泉 而雲
一畝を耕し豆を咲かせけり 大下 綾子
送電線のっそりまたぐ春の月 須藤 光迷
【参加者】嵐田双歩、井上啓一、今泉而雲、大澤水牛、大下綾子、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬(幹事)、玉田春陽子、堤てる夫、野田冷峰、廣田可升、星川佳子、前島厳水、(メール句会参加)山口斗詩子。
(まとめ 大澤水牛)