日経俳句会は3月18日(水)、通算137回例会を開いた。出席者19人、投句参加9人。兼題は「踏青」と「囀」で、投句総数145句。
この日の最高点は杉山智宥さんの「春の海武蔵は深く押し黙り」の7点で、兼題句以外からの最高点はめずらしいこと。6点は徳永正裕さんの「青き踏む富士まだ白き甲斐の里」、大倉悌志郎さんの「一日寝る雪解の音につつまれて」、金田青水さんの「春ショールふはり北陸新幹線」の3句が並んだ。
5点句は流合研志郎さんの「青き踏む津波の傷をたどりつつ」の1句だけ。4点は6句出たが、そのうち嵐田、大倉、大澤水牛、杉山、須藤さんの5人の句が「踏靑」を詠んだものだった。そのほかは3点句が9句、2点句が22句、1点句が39句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「踏青」
青き踏む富士まだ白き甲斐の里 徳永 正裕
青き踏む津波の傷をたどりつつ 流合研志郎
倒立の少年素手で青き踏む 嵐田 双歩
紫の佐渡をはるかに青き踏む 大倉悌志郎
保育士の右往左往や青き踏む 大澤 水牛
ばあちやんは何時もゴム長青き踏む 杉山 智宥
補助輪を外したき子や青き踏む 須藤 光迷
光りよし風もまたよし青き踏む 金田 青水
青き踏む老の予感を確かめつ 澤井 二堂
踏青や古墳の石は剥き出しで 髙瀨 大虫
「囀」
囀りて山河輝くばかりなり 今泉恂之介
さえずりや鏡の中に乳房あり 野田 冷峰
囀りを耳に神社の縁起読む 須藤 光迷
囀りの止むを確かめ雨戸繰る 直井 正
囀や植物園は鳥の国 星川 佳子
「当季雑詠」
春の海武蔵は深く押し黙り 杉山 智宥
一日寝る雪解の音につつまれて 大倉悌志郎
春ショールふはり北陸新幹線 金田 青水
馬酔木咲く女一人の夜の坂 須藤 光迷
段飾りそのまま残る余寒かな 今泉恂之介
【参加者】(出席)井上庄一郎、今泉恂之介、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、徳永正裕、直井正、流合研士郎、廣上正市、藤野十三妹、藤村詠悟、星川佳子、横井定利、(投句参加)嵐田双歩、植村博明、大熊万歩、大下綾子、金田青水、久保田操、杉山智宥、高橋ヲブラダ、野田冷峰。 (まとめ・廣上正市)