番町喜楽会が日経俳句会に呼びかける形で11月3,4日、一泊二日で秩父長瀞吟行を実施した。日経俳句会からも3人が参加し、総勢14名でちらほら紅葉し始めた秩父の観音札所を巡り、長瀞川下りなど盛りだくさんのイベントをこなして佳句が量産された。
吟行句会は帰京後幹事に投句し、メール選句による恒例の方法で行われた。投句は3句以上5句以内、選句は5句で「天」(5点)、「地」(3点)、「人」(2点)、「入選」2句(1点)を選ぶ形式を採った。その結果、最高点は15点で、久保田操さんの「陽を残す秩父連山冬隣」と谷川水馬さんの「にこにこと志功の鬼や文化の日」の二句が並んだ。次いで「句案して秩父の酒と菜漬かな 大澤水牛」が12点、三席は8点で「狼の骨あたためむ銀杏散る 星川佳子」だった。その他の高点句および参加者各人の人気を呼んだ句は以下の通り。
鹿肉に秩父錦の新酒かな 井上 啓一
うつすらと粧ふ秩父山の国 大澤 水牛
とろろ蕎麦鹿を仕留めし話聴く 大下 綾子
冬うらら貨車も居座る秩父駅 岡田 臣弘
お遍路の衣に映る冬紅葉 久保田 操
銀杏散る日本武尊の越えし山 須藤 光迷
瀞澄むや水底の石に秋の雲 高瀬 大虫
一枚ガラスいつぱいに秋の景 田中 白山
冬晴れや白き前垂れ武甲山 谷川 水馬
きのこ売り放射線量検査済 玉田春陽子
結願の寺に一本冬桜 堤 てる夫
秋水を手もなく捌く川下り 徳永 正裕
山風に芒かしぐや奥秩父 星川 佳子
秩父路の札所巡りや暮の秋 前島 厳水
(まとめ 大澤水牛)