番町喜楽会は11月1日(土)午後6時から千代田区九段下の区立生涯学習館で第110回例会を開いた。兼題は「酉の市(とりのいち)」「鍋物(なべもの)一般」で、投句5句、選句6句で進めた結果、最高は5点で、須藤光迷さんの「夫婦には見えぬ二人や桜鍋」と、田中白山さんの「新旧の村人集ふ牡丹鍋」の2句。次席は4点で、嵐田双歩さんの「二人なら余る幸せつみれ鍋」、堤てる夫さんの「雑踏をこらへ切つたり大熊手」、山口斗詩子さんの「煮詰まりし白菜残る一人鍋」の3句。
続く3点句は、「牡蠣鍋や生二三個を分けておく 井上啓一」「口切りの話も出たり虎屋前 岩沢克恵」「箸先の右往左往や牡蠣の鍋 玉田春陽子」「夕紅葉石塔高き仏国寺 てる夫」「久々に腕をからめて三の酉 星川佳子」の計5句。
当日は会場変更・日程変更が重なって、事前に幹事宛てメール投句し、選句表が当日配布される番町喜楽会の通常方式が不可能になり、短冊に作品を書き込んで投句する伝統方式に則って句会を行った。しかし句会は円滑に進み、雨中の居酒屋に繰り出しての反省会まで滞りなく終えた。
なお日経俳句会の嵐田双歩さん(日経写真部OB)と、廣田嘉章さん(TDK元取締役)が入会、この日初参加され、投句・選句・講評に手慣れたところをみせてくれた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「酉の市」
雑踏をこらへ切つたり大熊手 堤 てる夫
久々に腕をからめて三の酉 星川 佳子
「鍋物」
夫婦には見えぬ二人や桜鍋 須藤 光迷
新旧の村人集ふ牡丹鍋 田中 白山
二人なら余る幸せつみれ鍋 嵐田 双歩
煮詰まりし白菜残る一人鍋 山口斗詩子
牡蠣鍋や生二、三個を分けておく 井上 啓一
箸先の右往左往や牡蠣の鍋 玉田春陽子
「雑詠」
口切りの話も出たり虎屋前 岩沢 克恵
夕紅葉石塔高き仏国寺 堤 てる夫
参加者(出席)嵐田双歩、井上啓一、今泉恂之介、大澤水牛、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、廣田嘉章、前島巌水、(投句参加)岩沢克恵、星川佳子、山口斗詩子 (まとめ・堤てる夫)