日経俳句会第131回例会

「暑さ止む」という処暑を目前にして、水銀柱が36℃超を示した8月20日(水)。午後6時半から鎌倉橋交差点傍の日経広告研究所会議室で、日経俳句会の平成26年度第7回例会(通算131回)が開かれた。猛烈な蒸し暑さの残暑をついて23人もが出席、投句参加10人、投句総数が159句に達する大賑わいとなった。

この夜の兼題は夏の続きを見越しての夏の季語「滴り(したたり)」と「サングラス」。選句7句の結果、最高は廣上正市さんの「旧姓に戻るうわさやサングラス」の10点句だった。次席は大澤水牛さんの「変らぬは蝉の声のみ敗戦忌」の八点句。三席は今泉恂之介さんの「胸中に鬼が一匹サングラス」の6点句。続く5点には5句が並び、4点は10句、3点10句。以下、2点24句、1点33句。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「滴り」

隧道の滴るあたり国境        嵐田 啓明

滴りや笑ふがごとき磨崖仏      大澤 水牛

滴りの糸の如くを手に掬ふ      久保田 操

地の霊の泪滴る地下の壕       高瀬 大虫

滴りをタオルに浸す熊野道      徳永 正裕

滴りて残響返す鍾乳洞        流合研士郎

滴りの一滴天地映しをり       流合研士郎

「サングラス」

旧姓に戻るうわさやサングラス    廣上 正市

胸中に鬼が一匹サングラス         今泉恂之介

サングラス恨みつらみもセピア色   大澤 水牛

きのふとは違ふわたしよサングラス  大倉悌志郎

冷やかして買ふ羽目になるサングラス 直井  正

改札に待ちくたびれしサングラス   星川 佳子

にんまりと遠近両用サングラス    金田 靑水

サングラス今日一日の裕次郎     杉山 智宥

「雑詠」

 変らぬは蝉の声のみ敗戦忌       大澤 水牛

癌またも拡がりはじむ鰯雲      須藤 光迷

夏空の藍極まりて暮れ残る      徳永 正裕

勤行の坊主よろけて法師蟬      嵐田 啓明

 縁先に木曾の黒下駄今朝の秋)      今泉恂之介
 秋の闇ハシビロコウの忍者めく       大澤 水牛
 東西の本に囲まれ昼寝かな         大下 綾子

白神をこえて十和田へ星流る     須藤 光迷

半酔に亡友あらはる蝉しぐれ     大沢 反平

馬冷やすごと朝ぶろに身をひたす   金田 靑水

蔓の伸びはたと止まりし秋はじめ   廣上 正市

 

参加者(出席)嵐田啓明、池村実千代、井上庄一郎、今泉恂之介、植村博明、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、岡田臣弘、澤井二堂、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、高橋ヲブラダ、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、廣上正市、藤村詠悟、星川佳子、水口弥生、横井定利(投句参加)大石柏人、大熊万歩、大下綾子、加藤明男、金田青水、久保田操、杉山智宥、高瀬大虫、流合研士郎、藤野十三妹      (まとめ・堤てる夫)

 

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