番町喜楽会は、関東一円花盛りの4月5日(土)午後1時から千代田区二番町の番町ハイム会議室で、第103回例会を開いた。麗らかな花見日和も手伝って句会出席者が17人と狭い会議室がぎゅう詰めとなる盛況。この日の兼題は「黄砂(こうさ)」(「霾=つちふる」も可)と「猫の子(ねこのこ)」(「仔猫(こねこ)」も可)で、投句総数は85句。6句選句で句会を進めた結果、最高は谷川水馬さんの「猫の子や指全開の初湯浴」で9点を獲得した。次席は5点句で、水馬さんの「霾天の軍艦島や夢の跡」と、高井百子さんの「土筆伸ぶ塩田平は粉糠雨」の計2句。三席は4点で6句、続く3点も6句が並んだ。以下、2点12句、1点26句だった。句会の後、お花見の人の流れにのって東郷元帥記念公園など近隣の花見スポットを散策した。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「黄砂」
霾天の軍艦島や夢の跡 谷川 水馬
黄砂降る隣りの国の近さかな 井上 啓一
霾や三横綱のそろひ踏み 今泉恂之介
つちふるや駱駝色なる城下町 三好 六甫
楼蘭の美女の塚より黄砂かな 高瀬 大虫
国あまた天空ひとつ霾の降る 田中 白山
「猫の子」
猫の子や指全開の初湯浴 谷川 水馬
猫の子やかぼそき声も芸のうち 大澤 水牛
貰はれて籠に巴の子猫かな 高瀬 大虫
ミヤンマーや痩せた仔猫の摺り寄りぬ 井上 啓一
見るたびに無事をかぞえる子猫かな 玉田春陽子
「雑詠」
土筆伸ぶ塩田平は粉糠雨 高井 百子
春宵のどこかでジャズが響いてる 大下 綾子
黄水仙みな横向きの二千本 田中 白山
囀りや合格の子の声明し 前島 巌水
参加者(出席)井上啓一、今泉恂之介、大澤水牛、大下綾子、須藤光迷、高井百子、高瀬大虫、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野田冷峰、星川佳子、前島巌水、三好六甫(投句参加)岩沢克恵(選句参加)高橋楓子、山口斗詩子。 (まとめ・堤てる夫)