番町句会の10月例会(通算62回)は10月9日(土)午後1時から千代田区二番町の番町ハイム会議室で開かれた。このところ一日晴れると二三日は降りという、秋霖が長引いている感じだ。この日も朝から雲に覆われて、今にも降って来そうな空模様だった。
出席者は今泉而雲、大澤水牛、高井百子、野見山恵子、前島厳水、三好六甫、山口詩朗、和田紗羅の八人。井上啓一、高瀬大虫、高橋楓子の三人が投句参加した。
今回の兼題は「水澄む」と「虫」。投句五句、選句七句で句会を行った結果、最高点は四点二句で「水澄むや樹齢尋ねる人の声」「しばらくは灯りを消して虫の声」と高橋楓子が両手に花。続く三点句は「ユーカリの幹の白さや後の月 六甫」「菊切るや菊の匂ひを消すまじく 紗羅」「正円の浮子の波紋や水澄みぬ 大虫」の三句だった。以下、二点が七句、一点二十三句となった。合評会で取り上げられた句は次の通り。
「水澄む」
水澄むや樹齢尋ねる人の声 高橋 楓子
正円の浮子の波紋や水澄みぬ 高瀬 大虫
石垣の底まで見せて水澄めり 高橋 楓子
水澄むや大仏御目切れ長に 山口 詩朗
「虫」
しばらくは灯りを消して虫の声 高橋 楓子
虫すだく夜の耳打ち簡潔に 高瀬 大虫
ちちろ鳴く城の石垣笑ひ積 野見山恵子
虫の音も消えて山路は闇の中 今泉 而雲
鈴虫の四五百動く甕の闇 大澤 水牛
「雑詠」
ユーカリの幹の白さや後の月 三好 六甫
菊切るや菊の匂ひを消すまじく 和田 紗羅
大栗の弾けたるらし引き返す 井上 啓一