番町喜楽会は7月9日(月)午後6時30分、東京・九段下の九段生涯学習館4階集会室で、平成24年度第7回例会(通算82回)を開いた。兼題は「雷(かみなり)」「団扇(うちわ)」で事前投句5句。梅雨の晴れ間のこの日、出席したのは13人、投句参加が5人で投句総数は90句だった。選句6句の句会の結果、最高は記録的な7点を集めた玉田春陽子さんの「団扇の手とまり心のゆれにけり」の句。次席は4点が3句、大澤水牛さんの「それでどうなりましたかと団扇かな」と、春陽子さんの「雷はしる困民党の駈けし尾根」に、谷川水馬さんの「遠雷や静かに閉づる合歓の小葉」が並んだ。続く3点句は13句でここにも水牛・春陽子・水馬句が顔を出した。3点以上の高点句17句のうち3氏の作品は3句づつ、半数を越える9句に上った。
この日の句会に、3月亡くなった故山口詩朗(志郎)さんの夫人斗詩子(俊子)さんが選句参加した。
兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「雷」
雷はしる困民党の駈けし尾根 玉田春陽子
遠雷や静かに閉づる合歓の小葉 谷川 水馬
稲びかり距離を測りて畑仕舞ふ 高井 百子
迅雷や身をふるわせし風見鶏 玉田春陽子
くくくくと一筆書きやはたた神 谷川 水馬
老妻に怖いものなしはたた神 徳永 正裕
高層ビル見る間に消えて雷雨かな 星川 佳子
「団扇」
団扇の手とまり心のゆれにけり 玉田春陽子
それでどうなりましたかと団扇かな 大澤 水牛
浴衣着て団扇を持てばなでしこに 井上 啓一
講堂は団扇の風の坩堝なり 岩沢 克恵
誠とは伯父の書に有り古団扇 岩沢 克恵
潮かほる土俵を仕切る団扇かな 谷川 水馬
「雑詠」
掴むもの虚空に捜す瓜の蔓 大澤 水牛
ところてんでさえ太ると娘かな 大澤 水牛
亀の子の岩にすがつて空広し 笹本 塘外
朝顔や起業を目指す子の笑顔 須藤 光迷
参加者(出席)今泉而雲、大澤水牛、笹本塘外、須藤光迷、高瀬大虫、高橋楓子、玉田春陽子、堤てる夫、徳永正裕、野見山恵子、星川佳子、前島巌水、三好六甫(投句参加)井上啓一、岩沢克恵、高井百子、谷川水馬、野田冷峰(選句参加)山口斗詩子
(まとめ・堤てる夫)