日経俳句会は6月15日(水)、平成23年度上期合同句会(通算12回)を開催した。日経本社が6月から節電のサマータイムに入ったため、夜間に本社ビルの会議室が使えず、会場を内神田・鎌倉橋交差点傍の日経第二別館に移して午後6時半に開会した。ところが20人余りで一杯になる部屋に、出席者が30人という超過密。「夏の月」「紫陽花」の兼題句と雑詠一句の計三句を事前投句、広上幹事が作成した選句表をもとに事前選句して送り返しておくという、メール活用の「日経俳句会方式」なので、なんとか無事に句会ができた。
今回は投句参加10人も含め合計117句が集まった。句会は幹事による得点発表で始まったが、加藤明男さんの「逆上がりくるりと回る夏の月」が最高の7点を獲得した。次席六点も1句で金田青水さんの「縄文の翡翠の遺跡夏の月」。以下5点が8句、4点12句、3点10句、2点17句、1点20句という結果だった。兼題別高点句(四点以上)は次の通り。
「夏の月」
逆上がりくるりと回る夏の月 加藤 明男
縄文の翡翠の遺跡夏の月 金田 青水
むら雲を一片曳きて夏の月 今村 聖子
抜き忘る草の高さよ夏の月 大澤 水牛
海亀の来るといふ浜夏の月 高瀬 大虫
夏の月ニコライ堂の白さかな 星川 佳子
潮入りの離宮に夏の月二つ 山口 詩朗
廃坑の煙突高し夏の月 大倉悌志郎
やうやくに夜の生まれぬ夏の月 大下 綾子
さまざまな寝相みてをり夏の月 須藤 光迷
夏の月バーボンロックのはぜる音 徳永 正裕
「紫陽花」
天地をつなぎて雨や濃紫陽花 大下 綾子
紫陽花や畦に胡坐の小昼どき 広上 正市
絵手紙に紫陽花の藍匂ひけり 大平 昭生
紫陽花や傘を広げて写さるる 植村 博明
紫陽花や薄化粧して昼の顔 直井 正
あぢさゐや母いま在らば白寿なる 吉野 光久
「雑詠」
守宮ゐてそのほかもゐて古家かな 広上 正市
梅雨晴間猫が腹見せ掻けといふ 大澤 水牛
生きてゐる今万緑の底にゐて 大沢 反平
ラムネ抜く昭和の遠音響きけり 加藤 明男
土用波地球の鼓動秘むうねり 佐々木 碩
<出席者> 嵐田啓明、池村実千代、井上庄一郎、今泉恂之介、大熊万歩、大倉悌志郎、大澤水牛、大沢反平、大下綾子、大平睦子、大平昭生、久保田操、小林啓子、佐々木碩、澤井二堂、杉山智宥、鈴木好夫、須藤光迷、高石昌魚、高瀬大虫、田中頼子、堤てる夫、徳永正裕、直井正、野田冷峰、広上正市、藤村詠悟、星川佳子、山口詩朗、横井定利
<投句参加> 今村聖子、植村博明、大石柏人、加藤明男、金田青水、高橋淳、深田森太郎、藤野十三妹、山田明美、吉野光久 (堤てる夫記)