酔吟会の平成23年度第2回例会(通算92回)が5月21日午後1時から、鎌倉橋の日経第二別館会議室で開かれた。3月の予定だった今年第2回例会が東北大震災のために中止になり、四ヶ月ぶりに開かれた例会は真夏を思わせる絶好の日和であったが、都合のつかない人も多く、出席者は11人といささか少なかった。6人が欠席投句。やはりこ日も、東日本大震災の惨禍と見通しの立たない原発事故を詠み込んだ句が少なからずあった。
出席者は今泉恂之介、大石柏人、大澤水牛、大沢反平、大平昭生、片野涸魚、金指正風、堤てる夫、星川佳子、山口詩朗、吉野光久、投句参加は澤井二堂、田村舟平、徳永正裕、野田冷峰、原文鶴、藤村詠悟の各氏。
兼題は「五月」「と「空豆」。投句5句、選句8句で句会を行なった結果、最高点は5点で「五月憂し水棺といふ語に出会ふ 恂之介」の1句。次いで4点が2句、3点が9句、2点9句、1点30句だった。兼題別の三点以上獲得句は次の通り。
「五月」
五月憂し水棺といふ語に出会ふ 今泉恂之介
気がつけば蔭を歩いている五月 大平 昭生
引き入れて水音ゆたかに五月の田 大沢 反平
クレー展出でて五月の風の色 吉野 光久
「空豆」
空豆のサヤに親指姫眠る 星川 佳子
蚕豆や四十五年の二人旅 大沢 反平
空豆を剥くうち怒り収まりぬ 大平 昭生
福相の女将茹でたるはじき豆 堤 てる夫
空豆や屋台にこぼす嘘と愚痴 野田 冷峰
「雑詠」
古きもの生かしたくなる更衣 堤 てる夫
薔薇園の四方に仲良しゐたりけり 大沢 反平
夏雲や書を頼まれて「夢」と書く 大石 柏人
(吉野光久記)