一席に戸無広句「星の夜」、二席に可升・双歩・千虎句
年納めの会に17人が集う
日経俳句会は12月17日(水)、内神田の日経広告研究所会議室で下期合同句会を開いた。このところの寒気もやや緩み、風もなく穏やかな夕刻。師走の気忙しい中、17人の会員が参集し、和やかな句会となった。兼題は「冬至」。当季雑詠含め36人からの108句の投句があり事前選句(5句選)の結果、一席は溝口戸無広さんの「凩が磨いて行くよ星の夜」が7点を獲得、二席には嵐田双歩さんの「柚子の香の残り湯絞り拭き掃除」と岩田千虎さんの「日没と競ふゴルフや冬至の日」、廣田可升さんの「てっちりの湯気に飛び交ふ大阪弁」の3句が6点で並んだ。三席5点句には横井定利さんの「一人見る冬至の夜の天球儀」、岡松卓也さんの「母国凍て錦を飾る力士あり」、中沢豆乳さんの「日記買ふ喜怒哀楽はまだ白紙」、同じく豆乳さんの「陽に映える干し柿の皺母の皺」、中野枕流さんの「猫の耳ピンと立ちたり漱石忌」の5句が続いた。以下、4点4句、3点16句、2点22句、1点22句で、票がばらけた結果となった。実力伯仲の中、3点句16は新記録ではないだろうか。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。
「冬至」
柚子の香の残り湯絞り拭き掃除 嵐田 双歩
日没と競ふゴルフや冬至の日 岩田 三代
一人見る冬至の夜の天球儀 横井 定利
息災に暮らし一年冬至かな 久保田 操
また一つ服薬増えて冬至粥 篠田 朗
傘寿過ぎ薬八錠冬至粥 加藤 明生
冬至の湯尻に食いつく熱さかな 中沢 豆乳
百円のカレンダー買う冬至かな 旙山 芳之
愛車売る思い出乗せて冬至かな 旙山 芳之
当季雑詠
凩が磨いて行くよ星の夜 溝口戸無広
てっちりの湯気に飛び交ふ大阪弁 廣田 可升
母国凍て錦を飾る力士あり 岡松 卓也
日記買ふ喜怒哀楽はまだ白紙 中沢 豆乳
陽に映える干し柿の皺母の皺 中沢 豆乳
猫の耳ピンと立ちたり漱石忌 中野 枕流
忘れるって時には大事牡蠣フライ 杉山 三薬
戦地には普通の人々月冴ゆる 髙橋ヲブラダ
冬帽子だあれかさんの忘れ物 嵐田 双歩
暮早し母のお迎え待つ園児 岩田 三代
寒風の歯間に沁みる北の旅 岡田 鷹洋
轟然と行く年われを置去りに 金田 青水
ゴミ出しの我に微笑む姫椿 工藤 静舟
風呂吹や口は踊りてはふはふと 久保 道子
野沢菜に箸も踊るや朝の膳 坂部富士子
俳諧はゴールドメディア冬銀河 須藤 光迷
熱々の鍋焼すする病み上がり 徳永 木葉
木枯や見知らぬ人にしがみつく 藤野十三妹
公園の枯葉閉じ込め初氷 向井 愉里
どう過ごす人の数だけ十二月 横井 定利
《参加者》【出席17人】嵐田双歩、池村実千代、岩田千虎、植村方円、大澤水牛、金田青水、坂部富士子、篠田朗、杉山三薬、玉田春陽子、堤てる夫、中沢豆乳、中野枕流、中村迷哲、廣田可升、星川水兎、向井愉里。【投句参加19人】伊藤誠一、伊藤健史、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、徳永木葉、中嶋阿猿、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、横井定利。
(報告 嵐田双歩)






