16人参加、「原爆忌」と「萩」を詠む
「天」に木葉「地」に迷哲、「人」に3人
番町喜楽会は令和7年8月2日(土)午後6時、東京・九段下の千代田区生涯学習館で第230回例会を開催した。場所によっては40度を超す狂ったような猛暑日続きで、会員の中には体調を崩す人も出て、出席者は7人に止まり、9名が投句参加となった。今回の兼題は「原爆忌」と「萩」。16人から78句の投句があり、6句選(欠席者は5句)で選句を進めた結果、「天」の位は6点で徳永木葉さんの「黙のまま資料館出づ広島忌」。「地」5点は中村迷哲さんの「兄弟の寝姿似たる夏座敷」、「人」の4点は堤てる夫さんの「姥捨の棚田守るや萩の花」と須藤光迷さんの「終戦日外地に眠る叔父ふたり」、嵐田双歩さんの「めて日傘ゆんで携帯扇風機」の3句が並んだ。以下3点が9句、2点8句、1点21句といつもと同じように票が分散した。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「原爆忌」
黙のまま資料館出づ広島忌 徳永 木葉
電停に祈る人あり原爆忌 中村 迷哲
自販機の水は売切れ原爆忌 嵐田 双歩
必要な犠牲などない原爆忌 斉山 満智
サイレンの響く球場原爆忌 星川 水兎
「萩」
姥捨の棚田守るや萩の花 堤 てる夫
白萩の乱れて隠る芭蕉句碑 廣田 可升
惜しみつつ萩のトンネル抜けにけり 星川 水兎
「当季雑詠」
兄弟の寝姿似たる夏座敷 中村 迷哲
終戦日外地に眠る叔父ふたり 須藤 光迷
めて日傘ゆんで携帯扇風機 嵐田 双歩
塗り直す横断歩道土用照り 玉田春陽子
夏の果プールの底のイヤリング 玉田春陽子
水桶に烏飛び込む大暑かな 大澤 水牛
《参加者》【出席7人】大澤水牛、金田青水、須藤光迷、玉田春陽子、中村迷哲、廣田可升、向井愉里。【投句参加9人】嵐田双歩、斉山満智、澤井二堂、高井百子、堤てる夫、徳永木葉、星川水兎、前島幻水、山口斗詩子。
(報告 大澤水牛)