日経俳句会第239回例会

最高9点に方円句・双歩句、二席に水牛句と健史句

「五月」と「卯の花」を詠む

日経俳句会は令和7年の5月例会(通算239回)を5月18日(日)午後2時から鎌倉橋の千代田区立スポーツセンター会議室で開いた。日曜昼間開催の二回目で、爽やかな5月の風に誘われて12人が顔を揃え、にぎやかな句会となった。兼題は「五月」と「卯の花」。34人から101句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、一席は植村方円さんの「生命線伸びた気のする五月かな」と嵐田双歩さんの「滑舌の悪さを言はれ心太」がともに9点で分け合った。二席8点には伊藤健史さんの「脱いで着て脱いでまた着る五月かな」と大澤水牛さんの「戸車を換へて軽やか五月来ぬ」が並び、三席7点は中沢豆乳さんの「夏揚羽へのへのもへじ空に描く」が入った。以下、5点3句、4点6句、3点11句と続き、2点18句、1点28句と、まんべんなく点が入った。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「五月」

生命線伸びた気のする五月かな            植村 方円

脱いで着て脱いでまた着る五月かな          伊藤 健史

戸車を換へて軽やか五月来ぬ             大澤 水牛

バチカンの白煙祝ふ聖五月              中村 迷哲

野の神が沸き立ち踊る五月かな            岩田 千虎

花が咲きまた花が咲き五月過ぐ            工藤 静舟

湖の先に秀峰五月美(は)し             須藤 光迷

いざ五月大屋根リング風渡る             高橋ヲブラダ

みどりなる五月の地球風の息             中村 迷哲

「卯の花」

卯の花のみな俯いて通夜の家             中沢 豆乳

卯の花や古き歌集をひもときて            池村実千代

卯の花や初月給はまず親へ              岡田 鷹洋

卯の花やコンクラーベに白煙             久保田 操

にぎやかな移住の一家花うつぎ            中村 迷哲

当季雑詠

滑舌の悪さを言はれ心太               嵐田 双歩

夏揚羽へのへのもへじ空に描く            中沢 豆乳

天井へ響く談笑菖蒲の湯               岡田 鷹洋

駐輪の隣の籠も菖蒲の葉               植村 方円

衣更想ひ出ひとつまた消ゆる             加藤 明生

子も孫も男ばかりや柏餅               高井 百子

噺家の仕草なぞりて冷し酒              中野 枕流

柿若葉人麻呂憶良踏みし道              岩田 千虎

船遊び東京に出て半世紀               工藤 静舟

鯉のぼり川に吊るされ立泳ぎ             篠田  朗

鳥眠り黒く光れる代田かな              中嶋 阿猿

《参加者》【出席12人】嵐田双歩、岩田千虎、大澤水牛、金田青水、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、徳永木葉、中沢豆乳、中村迷哲、向井愉里、溝口戸無広。【投句参加22人】池村実千代、伊藤誠一、伊藤健史、植村方円、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、坂部富士子、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、堤てる夫、中嶋阿猿、中野枕流、旙山芳之、廣上正市、星川水兎、横井定利。

(報告 中村迷哲)

 

 

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