日経俳句会上期合同句会を開催

37人が「万緑」を詠む

反平句「病窓万緑」が最高点、二席に戸無広句「光堂」

日経俳句会は6月19日(水)、内神田の日経広告研究所会議室で令和6年の上期合同句会(通算38回)を開いた。今年は梅雨入りが大幅に遅れているものの、前日は大雨で涼しかった。当日は嘘のように晴れ上がり、戻ってきた暑さの中、15人が出席し和やかな句会となった。兼題の「万緑」に37人から110句が集まり、事前選句の結果、大沢反平さんの「病窓に万緑がある生きてゐる」が9点を獲得、一席に輝いた。二席には溝口戸無広さんの「万緑の更に奥なる光堂」が8点で、三席には星川水兎さんの「万緑や我も緑になる日まで」、和泉田守さんの「厚み増す薬手帳や六月尽」、玉田春陽子さんの「ごきげんな風に干さるるアロハシャツ」が7点で並んだ。また、5点句には髙橋ヲブラダさん「古本をメルカリに出し梅雨に入る」や和泉田さん、溝口さんの句が入り、同じ作者の高点句が目立った。以下、4点8句、3点13句、2点19句、1点24句だった。

句会終了後、暑気払いを兼ねた懇親会が開かれ、別会場から駆けつけた高井百子さんも加わり、グラスを手に会員同士の親睦を深めた。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「万緑」

病窓に万緑がある生きてゐる           大沢 反平

万緑の更に奥なる光堂              溝口戸無広

万緑や我も緑になる日まで            星川 水兔

万緑に鉄橋響き渡りけり             溝口戸無広

万緑や神の気配の熊野道             中村 迷哲

万緑や土中に潜む貝塚層             廣田 可升

万緑をずいと真っ赤なケーブルカー        大澤 水牛

万緑の中へすたすた山頭火            金田 青水

万緑に深き傷あり地震津波            須藤 光迷

万緑やトトロひょっこり顔を出す         徳永 木葉

万緑の真っただ中へティーショット        中村 迷哲

万緑へ一日二便のバス降りる           廣田 可升

「当季雑詠」

厚み増す薬手帳や六月尽             和泉田 守

ごきげんな風に干さるるアロハシャツ       玉田春陽子

寛解の妻寝息たて夏まひる            和泉田 守

古本をメルカリに出し梅雨に入る         髙橋ヲブラダ

ラムネ抜く昭和の音の響きあり          加藤 明生

病得て写生を友に茄子胡瓜            須藤 光迷

夏や子の自立か無口始まりぬ           高井 百子

新茶汲む妻の手元の若やげり           中村 迷哲

走るより速く耳かく梅雨の犬           星川 水兔

昼顔や巣鴨に今もちんどん屋           星川 水兔

父の日や昼酒少しもう少し            嵐田 双歩

ひたひたと過去歩きゆく木下闇          岩田 三代

路地裏の匂ひ懐かし枇杷盛る           久保田 操

何ごとも笑ひ飛ばして立葵            谷川 水馬

素足たのしむペディキュアは海の色        玉田春陽子

夜泣きの子抱けば卯の花腐しかな         徳永 木葉

雨の路地ホルンの楽隊カタツムリ         中沢 豆乳

《参加者》【出席15人】嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、植村方円、大澤水牛、金田青水、篠田朗、杉山三薬、玉田春陽子、堤てる夫、中野枕流、中村迷哲、廣田可升、星川水兎、向井愉里。【投句参加23人】和泉田守、伊藤健史、岩田三代、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、横井定利。

(報告 嵐田双歩)

 

 

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