メール句会が連続四回、22人で「蛇穴に入る」「露」を詠む
水兎さん「住所録」で最高の6点
酔吟会は令和2年第5回例会(通算148回)を9月12日付けのメール句会で実施した。新型コロナ禍対応のメール句会は3月以来連続で4回目となった。兼題は「蛇穴に入る」「露」で22人が参加、投句5句、選句6句の句会となった。その結果、最高の6点は、星川水兎さんの「露けしや命日を足す住所録」の1句。次席は5点で、徳永木葉さんの「おほかたは現世に飽きし秋の蛇」と、廣田可升さんの「はらわたは人生の味秋刀魚食ふ」の2句。三席4点は、大澤水牛さんと金田青水さんのそれぞれ2句づつを含めて計9句が並んだ。続く3点句は6句、以下2点14句、1点33句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「蛇穴に入る」
おほかたは現世に飽きし秋の蛇 徳永 木葉
老世帯ばかりの団地穴惑ひ 大澤 水牛
デイケアの老女の無言蛇穴に 大澤 水牛
蛇穴に入らんとすればビル工事 今泉 而云
「露」
露けしや命日を足す住所録 星川 水兎
露の玉葉脈に添ひ落ちにけり 嵐田 双歩
露光る解体を待つ木馬たち 岡田 鷹洋
青空も山も転がす芋の露 玉田春陽子
前山寺茅葺屋根の露白し 堤 てる夫
野仏の笑み光らせて露の玉 廣田 可升
「当季雑詠」
はらわたは人生の味秋刀魚食ふ 廣田 可升
みちのくや入江入江の船施餓鬼 金田 青水
新涼やシャンパンみたす江戸切子 金田 青水
点滴の音なく速し鰯雲 須藤 光迷
菊添えて旨酒来たる佳き日かな 大澤 水牛
官邸にマトリョーシカを見る秋冷 杉山 三薬
秋草や隙間だらけの時刻表 玉田春陽子
原点に立ち戻りたき九月かな 向井 ゆり
《参加者22人》嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、大沢反平、大平睦子、岡田鷹洋、金田青水、工藤静舟、久保田操、久保道子、澤井二堂、杉山三薬、須藤光迷、高井百子、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、野田冷峰、廣田可升、星川水兎、向井ゆり。 (まとめ 高井百子)