日経俳句会第184回例会

 

37人参加「時雨」「木の葉髪」を詠む

反平さん「小夜時雨」で10点、豆乳さん「反骨も」9点で続く

 

日経俳句会は令和元年の11月例会(通算184回)を11月20日(水)に千代田区内神田の日経広告研究所会議室で開いた。この日は木枯らし到来の強風が吹き外出を控えた人もあって、出席は17人にとどまったが、兼題句、雑詠ともに高点句が多く、熱気あふれる句会となった。兼題は「時雨」と「木の葉髪」。37人から111句の投句があり、6句選(欠席5句)の結果、大沢反平さんの「毀れゆく母いとほしき小夜時雨」が最高10点を獲得。中沢豆乳さんの「反骨も風に吹かれて木の葉髪」が9点で続き、7点句に杉山三薬さんの「裾上げて女三代七五三」が入った。6点句には「しぐるるや淡き灯影の妻籠宿 迷哲」と「木の葉髪かなはぬことを重ね来て 悌志郎」の2句が並んだ。このほか5点3句、4点10句、3点8句、2点17句、1点38句で、3点以上の高点句が26句にのぼった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「時雨」

毀れゆく母いとほしき小夜時雨    大沢 反平

しぐるるや淡き灯影の妻籠宿     中村 迷哲

時雨るるや田は夕闇に溶けゆきて   岩田 三代

書に倦みてしぐるる町の音聞けり   大倉悌志郎

野良猫の塑像となりぬ路地時雨    大澤 水牛

冷えるねと時雨に物言う独り酒    中沢 豆乳

破片にも縄目の模様初しぐれ     廣上 正市

時雨れば残像未だ暴れ川       植村 博明

時雨虹幌竹たたむ人力車       谷川 水馬

煌々と通夜の灯りや時雨寒      中嶋 阿猿

しぐるるや京の娘の赤い傘      向井 ゆり

「木の葉髪」

反骨も風に吹かれて木の葉髪     中沢 豆乳

木の葉髪かなはぬことを重ね来て   大倉悌志郎

一合の米を炊く日や木の葉髪     植村 博明

再読に発見のあり木の葉髪      大下 綾子

孫と子に残すものなし木の葉髪    徳永 木葉

木の葉髪写真の母は若きまま     嵐田 双歩

スポーツ紙尻ポケットに木の葉髪   横井 定利

「当季雑詠」

裾上げて女三代七五三        杉山 三薬

新酒古酒並べて鯛の兜焼き      大倉悌志郎

白壁に揺るる影あり冬紅葉      加藤 明生

綿虫に川広々と横たはる       今泉 而云

小春日を見送る野良の正座かな    金田 青水

いつの日か人も滅ぶや冬の月     高橋ヲブラダ

冬の蠅すがりつきゐる南窓      徳永 木葉

夜通しの落葉のダンス風の曲     中村 迷哲

《参加者》(出席)嵐田双歩、井上庄一郎、岩田三代、大澤水牛、大沢反平、岡田鷹洋、金田青水、澤井二堂、杉山三薬、鈴木好夫、谷川水馬、堤てる夫、中沢豆乳、中嶋阿猿、中村迷哲、星川水兎、向井ゆり。(投句参加)池村実千代、今泉而云、植村博明、大倉悌志郎、大下綾子、大平睦子、荻野雅史、加藤明生、久保田操、斉藤早苗、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、徳永木葉、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、横井定利

(報告・中村迷哲)

 

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