16人でチバニアン・養老温泉・大多喜を巡る
11月16,17日一泊二日の旅程で日経俳句会と番町喜楽会合同の房総半島の〝秘境〟養老渓谷と大多喜町を訪ねる吟行を催した。地磁気逆転で有名になったチバニアンの見学と、紅葉と温泉、翌日は城下町・大多喜散策が目玉の旅。
11月16日昼過ぎ、内房線五井駅・小湊鉄道ホームに集合、古びた二両連結のディーゼル車に乗り込む。この秋相次いだ台風で大きな被害を受けた小湊鉄道は土砂崩れや倒木で不通区間が残っており、途中の上総牛久から代行バス利用となる。出発から一時間で月崎駅着。ここから約2.5キロ歩いて、養老渓谷のチバニアンに行く。チバニアンとは77万年前に地球の北極南極(N極S極)が逆転し、その後また元に戻ったことを証拠立てる地層がくっきりと目視できる世界でも稀な場所で、間もなく国際地質学会とかで正式に認められることになっており、そうなると有象無象の観光客の押し寄せる名所になるのは必定。我々は一歩先んじて見学に出かけたわけだ。
宿泊はチバニアンから養老渓谷をさらに遡った粟又の滝を見下ろす「秘湯の宿 滝見苑」。地下四百メートルから湧き出る温泉大浴場や露天風呂で強行軍の疲れを癒した。夕食宴会では岩魚の塩焼や牛鍋、釜飯など地元の食材を生かした料理を肴に、地酒「大多喜城」や「豊乃鶴」を味わい、歓談した。宴会後の二次会では連句を始め、一時間半ほどで半歌仙(十八句)を巻き上げた。
翌17日も快晴。10時発の旅館のバスで上総中野駅に出て、いすみ鉄道の電車で大多喜へ向かった。大多喜は徳川四天王の一人、本多忠勝が拓いた城下町。城跡には何も残っていなかったのだが、昭和50年に天守閣が再建された。城下には江戸や明治時代の商家や造り酒屋など古い建物が残り、往時の雰囲気を伝えている。地元観光協会のボランティアガイドの懇切丁寧な案内で、城を仰ぎながら城下町の由緒ある旧家や神社をゆっくり見て回った。幹事から「吟行の句を三句、21日締切で投句して下さい」と念を押されて現地解散した。そのメール句会の結果は後日詳報。(報告・中村迷哲)