日経俳句会第242回例会

女性3人が上位を独占

首位16点に千虎句「夜の森」、二席に十三妹句、三席道子句

日経俳句会は令和7年9月例会(通算242回)を9月21日(日)午後2時から鎌倉橋の千代田区立スポーツセンター和室で開いた。秋らしい陽気になり所用のある人が多かったのか、出席者は9人にとどまったが、徳永木葉さんと中沢豆乳さんが久しぶりに顔を見せ、にぎやかな句会となった。兼題は「秋の水」と「茸」。37人から111句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、岩田千虎さんの「夜の森きのこ宇宙と交信す」が16点を得て断トツの首位。二席には藤野十三妹さんの「わが老いをさらりと映す秋の水」が12点で続き、三席は久保道子さんの「つるされて五線譜のようあんぽ柿」の11点句。上位3人を女性が占め、いずれも二桁得点というめったにない〝快挙〟となった。このほか7点句に伊藤健史さんの「いきものは小声となりぬ秋の水」と久保道子さんの「うつる空両手ですくう秋の水」が並び、久保さんは投句3句がすべて高点句となった。以下、5点2句、4点7句、3点4句、2点14句、1点29句と、上位句に点が集中した形となった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「秋の水」

わが老いをさらりと映す秋の水           藤野十三妹

いきものは小声となりぬ秋の水           伊藤 健史

うつる空両手ですくう秋の水            久保 道子

哲学の道に沿ひゆく秋の水             中村 迷哲

執着を流していくや秋の水             中嶋 阿猿

龍神に翳す手のひら秋の水             篠田  朗

秋の水供え遺影に独り言              徳永 木葉

奥入瀬や鏡となりし秋の水             坂部富士子

小魚の輪舞透けたり秋の水             杉山 三薬

「茸」

夜の森きのこ宇宙と交信す             岩田 千虎

舞茸の在り処語らず爺逝けり            廣上 正市

親子連れ図鑑片手の茸狩り             加藤 明生

とりどりに森の香まとい茸汁            和泉田 守

毒キノコ傘艶やかに誘ひ来る            久保田 操

茸採り熊は出ぬかと気もそぞろ           徳永 木葉

きのこじるしいたけえのきぶなしめじ        久保 道子

 

当季雑詠

つるされて五線譜のようあんぽ柿          久保 道子

サラリーマン辞めて十年秋日和           岩田 千虎

着信の履歴消せずに秋彼岸             植村 方円

あるじなき庭にすゝきと思い草           工藤 静舟

葬列に声をかぎりの法師蝉             中沢 豆乳

登高や黄金に染まる甲斐の里            溝口戸無広

《参加者》【出席9人】嵐田双歩、大澤水牛、金田青水、篠田朗、杉山三薬、徳永木葉、中沢豆乳、中村迷哲、溝口戸無広。【投句参加28人】池村実千代、和泉田守、伊藤誠一、伊藤健史、岩田千虎、植村方円、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、坂部富士子、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、堤てる夫、中嶋阿猿、中野枕流、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井愉里、横井定利。

(報告 中村迷哲)

 

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