天の6点に青水・可升・愉里、地は3点で6句がひしめく
14人参加「白露」と「蚯蚓鳴く」を詠む
9月に入ったものの気温36度を超える猛暑日、番町喜楽会は令和7年9月例会(通算第231回)を、1日午後6時半から東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。兼題は「白露」と「蚯蚓鳴く」。句会には8人が参加、選句6句(欠席者は5句)の結果、天は6点で金田青水さんの「補聴器を外し蚯蚓の鳴く闇へ」、廣田可升さんの「晩年の始まりはどこ野分雲」、向井愉里さんの「稔り田と刈田を縫って久留里線」が並んだ。5点句、4点句がなく地は3点となり、そこに6句がひしめくという、真に珍しい結果になった。地に轡を並べたのは、大澤水牛さんの「船徳利かたへに蚯蚓鳴くを待つ」、斉山満智さんの「薬膳の湯気香ばしく白露かな」、須藤光迷さんの「かなかなの木立を透かし届きけり」と「タクシーの呼び方知らず秋暑し」、中村迷哲さんの「茶室には洗心の二字白露の日」、廣田可升さんの「天神の撫で牛光る白露かな」。連日の猛暑・酷暑にもかかわらず、14人から68句の投句があり、選句では2点6句、1点25句という具合に今回もまた票が割れた。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「白露」
薬膳の湯気香ばしく白露かな 斉山 満智
茶室には洗心の二字白露の日 中村 迷哲
天神の撫で牛光る白露かな 廣田 可升
「蚯蚓鳴く」
補聴器を外し蚯蚓の鳴く闇へ 金田 青水
船徳利かたへに蚯蚓鳴くを待つ 大澤 水牛
「当季雑詠」
晩年の始まりはどこ野分雲 廣田 可升
稔り田と刈田を縫って久留里線 向井 愉里
かなかなの木立を透かし届きけり 須藤 光迷
タクシーの呼び方知らず秋暑し 須藤 光迷
【句会出席8人】大澤水牛、金田青水、須藤光迷、玉田春陽子、中村迷哲、廣田可升、星川水兎、向井愉里。【投句参加6人】嵐田双歩、斉山満智、澤井二堂、高井百子、徳永木葉、前島幻水。
(報告 須藤光迷)