35人参加、「夏至」を詠む
一席愉里句「クイズ」が8点、二席に実千代句と阿猿句
日経俳句会は6月18日(水)、神田・鎌倉橋の日経広告研究所会議室で上期合同句会(通算40回)を開いた。梅雨入り後まもなく梅雨前線が消滅し、梅雨明けしたかのような晴天が続き、この日も朝から30℃を超す暑い一日。合同句会とあって、月例会ではあまり顔を合わせる機会が少ないメンバーを含め15人が出席、合評会はもとより、続く暑気払いを含め俳句談義に花が咲いた。兼題の「夏至」をはじめ35人から103句の投句があり、全員事前選句(5句選)の結果、向井愉里さんの8点句「新聞のクイズ解く母夏至の雨」が堂々の一席。次いで二席には池村実千代さんの「一日を農婦になりて梅仕事」と中嶋阿猿さんの「再会は言葉少なく水羊羹」がそれぞれ7点で並び、一席と二席の上位3人を女性が占めた。三席は6点で、大澤水牛さんの「馬穴七杯梅の実汝如何せん」と玉田春陽子さんの「水鉄砲笑ひの中に放ちけり」が入り、ベテラン2人が実力をみせた。以下、5点5句、4点7句、3点12句、2点14句、1点29句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。
「夏至」
新聞のクイズ解く母夏至の雨 向井 愉里
夏至の日や路上ライブのアンコール 植村 方円
休耕の田の甦り夏至の雨 中村 迷哲
乗り継ぎ便待つ空港や夏至白夜 廣田 可升
すずらん燈点いても暮れぬ夏至の宵 中沢 豆乳
分けつの稲をはぐくむ夏至の雨 金田 青水
夏至の日や昼酒重ね二日酔い 工藤 静舟
三振もリハビリも華日天心 杉山 三薬
ペンギンさん南極の夏至どんなです 須藤 光迷
夏至が来てまたあの頃が遠くなり 中嶋 阿猿
石垣も天守も夏至の雨の中 廣田 可升
フラミンゴピンクの空の暮れて夏至 星川 水兎
モネの絵の水の煌めき夏至近し 溝口戸無広
「当季雑詠」
一日を農婦になりて梅仕事 池村実千代
再会は言葉少なく水羊羹 中嶋 阿猿
馬穴七杯梅の実汝如何せん 大澤 水牛
水鉄砲笑ひの中に放ちけり 玉田春陽子
どくだみの澄まして咲くや散歩道 大澤 水牛
父の日やギフト売場の小ささよ 篠田 朗
古古米に陽の当たりたる走り梅雨 杉山 三薬
八ヶ岳にゴジラむくむく入道雲 中沢 豆乳
夏星座不滅の3番輝ける 中村 迷哲
百年の孤独半ばに梅雨に入る 廣田 可升
猫達も夫も逝きし水無月よ 藤野十三妹
紫陽花の色を深める小雨かな 溝口戸無広
兄の手を引いて引かれて夏祭 加藤 明生
八十年居座る基地や沖縄忌 須藤 光迷
露天湯に木桶の音や万緑裡 廣上 正市
目の前に異世界のあり熱帯魚 向井 愉里
《参加者》【出席15人】嵐田双歩、池村実千代、和泉田守、植村方円、大澤水牛、坂部富士子、澤井二堂(選句のみ参加)、篠田朗、杉山三薬、玉田春陽子、中村迷哲、廣田可升、星川水兎、溝口戸無広、向井愉里。【投句参加21人】伊藤誠一、伊藤健史、岩田千虎、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、金田青水、工藤静舟、久保道子、久保田操、須藤光迷、高橋ヲブラダ、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、横井定利。
(報告 嵐田双歩)