首位8点に千虎句「喧嘩果て」、二席は静舟句と操句が7点で並ぶ
36人が「風光る」「レタス」を詠む
日経俳句会は2月19日(水)、神田・鎌倉橋の日経広告研究所会議室で2月例会(通算236回)を開いた。再びの寒波襲来で北風が吹き荒れ、真冬に戻ったかのよう。そんな寒さの中、熱心な会員12人が集い、和気藹々とした句会が繰り広げられた。兼題は「風光る」と「レタス」。36人から108句の投句があり、6句選(欠席5句)の結果、岩田千虎さんの「喧嘩果て丸ごとレタス千切る妻」が8点で一席。二席には工藤静舟さんの「憧れの制服試着風光る」と久保田操さんの「ラストランドクターイエロー風光る」が7点で並んだ。三席6点には岩田千虎さんの「草滑り子らの歓声風光る」、中沢豆乳さんの「高原のレタス縫い行く小海線」、伊藤健史さんの「薄氷の踏んでくれろと誘いたる」、溝口戸無広さんの「蝋梅の小枝の中の星座かな」の4句が入った。以下、5点1句、4点5句、3点11句、2点と1点が各26句だった。なお2月例会から、以前在籍していた伊藤誠一さんが再入会した。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。
「風光る」
憧れの制服試着風光る 工藤 静舟
ラストランドクターイエロー風光る 久保田 操
草滑り子らの歓声風光る 岩田 千虎
風眩し過ぎし五年や船の旅 池村実千代
風光る揺れる帆影を眺めけり 坂部富士子
風光る音なき風車の十基かな 廣上 正市
小田原を過ぎて海見え風光る 嵐田 双歩
風光る学生服にさようなら 篠田 朗
よちよちのファーストシューズ風光る 高井 百子
光る風吞み込む猫の大あくび 中沢 豆乳
鳴く鳥の思わぬ近さ風光る 星川 水兎
「レタス」
喧嘩果て丸ごとレタス千切る妻 岩田 千虎
高原のレタス縫い行く小海線 中沢 豆乳
ぱりぱりとレタス喰む娘やうさぎ年 大澤 水牛
チシャ畑吹き渡る風瑞々し 中野 枕流
勾配は町へと続く萵苣の畝 溝口戸無広
「当季雑詠」
薄氷の踏んでくれろと誘いたる 伊藤 健史
蝋梅の小枝の中の星座かな 溝口戸無広
虚子の句を添へて卒業祝ひけり 中村 迷哲
タワマンが狭めた空よ月朧 篠田 朗
文学のこみち下りて春の潮 坂部富士子
春の雪半刻吹雪きて碧き空 高橋ヲブラダ
竹橋に休日出勤梅白し 旙山 芳之
襞長く裾なほ長く雪の富士 廣上 正市
《参加者》【出席12人】嵐田双歩、池村実千代、岩田千虎、大澤水牛、金田青水、坂部富士子、篠田朗、杉山三薬、堤てる夫、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加24人】伊藤誠一、伊藤健史、植村方円、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、横井定利。 (報告 嵐田双歩)