日経俳句会第235回例会

初句会に34人から投句

方円句「初夢」が最高10点、二席に水牛・三薬句並ぶ

日経俳句会は令和7年の初句会(通算235回)を1月15日(水)に鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。昼間の好天に誘われたように12人が顔を揃え、新年らしい賑やかな句会となった。兼題は「春隣」と「雑炊」。34人から102句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、植村方円さんの「初夢の行方不明となりにけり」が10点を得て一席となった。二席9点は大澤水牛さんの「焼跡に雑炊すする我八歳」と杉山三薬さんの「あれはだめこれも燃やすなどんど焼き」が分け合い、三席6点には中嶋阿猿さんの「小吉のみくじ結びて春隣」など5句が並んだ。以下、5点6句、4点3句、3点11句と続き、高点句が28句にのぼった。そのほかは2点11句、1点27句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「春隣」

両の目のレンズ張替え春隣              杉山 三薬

小吉のみくじ結びて春隣               中嶋 阿猿

春隣り傘寿は喜寿の膝まくら             加藤 明生

着ようかな黄色のセータ春隣             高井 百子

通学路手袋拾い春隣                 旙山 芳之

吸う息のかすかに湿り春隣              岩田 千虎

用済みのネクタイ捨てて春隣             植村 方円

なんとなく鼻むずむずと春隣             大澤 水牛

枝枝に辛夷つぼむや春隣               岡松 卓也

春隣友の上梓の初句集                廣上 正市

「雑炊」

焼跡に雑炊すする我八歳               大澤 水牛

雑炊で締めるつもりが吞み直し            中沢 豆乳

雑炊の二文字が嫌い大嫌い              横井 定利

蘊蓄も講釈も添へ河豚雑炊              嵐田 双歩

おいちいねおじやふうふう吾子笑ふ          岩田 千虎

客おくり一人ゆるりとおじや食ふ           金田 青水

雑炊となればでしゃばる男あり            高橋ヲブラダ

河豚雑炊酒断つ身には誘い無く            堤 てる夫

風邪の床母の雑炊しみわたる             徳永 木葉

 

当季雑詠

初夢の行方不明となりにけり             植村 方円

あれはだめこれも燃やすなどんど焼き         杉山 三薬

駄々っ子や勝つまで続くカルタ会           篠田  朗

初手水昭和百年幕が開く               中野 枕流

初春の移住あいさつ二人半              岡田 鷹洋

おめかしの妻を笑わせ初写真             中村 迷哲

三が日救急搬送けたたまし              久保田 操

こぼさじと空見上げをり寒椿             徳永 木葉

口紅の紅の深さや雪の朝               中嶋 阿猿

《参加者》【出席12人】嵐田双歩、池村実千代、今泉而云(選句のみ)、大澤水牛、金田青水、坂部富士子、篠田朗、杉山三薬、堤てる夫、中村迷哲、星川水兎、向井愉里。【投句参加23人】和泉田守、岩田千虎、植村方円、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、溝口戸無広、水口弥生。

(報告 中村迷哲)

 

 

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