天に光迷「造船所」、地に可升「書店」
16人が「文化の日」と「鯔」を詠む
番町喜楽会は令和6年11月例会(通算第222回)を4日午後6時から東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。秋晴れの好天となったものの、三連休の行楽日和とあってか、投句16人のうち出席は9人にとどまり、いささか寂しい感じだった。兼題は「文化の日」と「鰡(ぼら)」。雑詠を含め投句5句、選句6句(欠席者は5句)の結果、首位に須藤光迷さんの6点句「造船所失せし運河や鰡飛べり」、次点に廣田可升さんの5点句「またひとつ消える書店や文化の日」が入った。三席は4点で7句が並んだ。3点も7句あった。投句総数は80句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「文化の日」
またひとつ消える書店や文化の日 廣田 可升
箸で食べるペペロンチーノ文化の日 廣田 可升
駅ピアノふと足止める文化の日 斉山 満智
歌も絵も下手の横好き文化の日 須藤 光迷
穏やかに生きる幸せ文化の日 徳永 木葉
デジタルの世や虚も実も文化の日 前島 幻水
「鰡(ぼら)」
造船所失せし運河や鰡飛べり 須藤 光迷
鰡飛ぶや日に一便の連絡船 嵐田 双歩
あきらめのつかぬ夕暮れ鰡が跳ぶ 斉山 満智
鰡飛んで都会の川の暮れにけり 玉田春陽子
鰡の群見てをり橋の人の群 嵐田 双歩
「当季雑詠」
障子貼る妻の小言を食らいつつ 須藤 光迷
から松の散るや十勝に雪近し 徳永 木葉
詐欺かしら電話の鳴りてそぞろ寒 山口斗詩子
アメリカの枷解けノーベル平和賞 金田 青水
奥多摩の宿のひと品新豆腐 中村 迷哲
【参加者】<句会出席者9人>大澤水牛、金田青水、須藤光迷、高井百子、田中白山、玉田春陽子、堤てる夫、中村迷哲、向井愉里。<投句参加者7人>嵐田双歩、斉山満智、谷川水馬、徳永木葉、廣田可升、前島幻水、山口斗詩子。
(報告 須藤光迷)