正市句「玉砂利」が最高12点、二席9点に迷哲句「回顧展」
37人が「短日」「白菜」を詠む
日経俳句会は令和6年11月例会(通算234回)を11月20日(水)夕に鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。冷え込みに雨も加わり、出席は10人にとどまったが、高点句が多く熱気あふれる句会となった。兼題は「短日」と「白菜」。37人から111句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、廣上正市さんの「玉砂利の音の尖りや今朝の冬」が12点を集め一席に輝いた。二席9点には中村迷哲さんの「回顧展出でて上野の暮早し」が入り、三席7点には嵐田双歩さんの「白菜や母はいつでも割烹着」、岩田千虎さんの「塩つかみ白菜漬ける母若し」と「ちゃん付けで呼ぶ同窓会冬うらら」、和泉田守さんの「捨てかねてめくる古本冬ぬくし」の4句が並んだ。以下、6点2句、5点5句、4点4句、3点9句と高点句が続いた。2点は19句、1点は28句だった。なお旙山芳之さんの定年に伴い、10月から溝口戸無広さんに日経総務局との窓口幹事を務めてもらうことになった。この日、溝口さんが初めて句会に出席し、幹事就任の挨拶をして、拍手で迎えられた。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。
「短日」
回顧展出でて上野の暮早し 中村 迷哲
母と子のカフェで宿題暮早し 植村 方円
寝坊には日の短さのことのほか 大澤 水牛
短日や窓辺の妻の老いにけり 大沢 反平
短日やテレビ桟敷はもう結び 工藤 静舟
奈良公園巡るゆつたり日の短か 廣上 正市
短日や病院の帰路はや暗し 藤野十三妹
暮早し飯事遊び店仕舞い 久保田 操
短日や遊び足りぬとこねる駄々 須藤 光迷
赤ワインホットでいかが暮早し 谷川 水馬
短日のステンドグラス淡き翳 溝口戸無広
「白菜」
白菜や母はいつでも割烹着 嵐田 双歩
塩つかみ白菜漬ける母若し 岩田 千虎
白菜漬盛っておんなの長ばなし 杉山 三薬
白菜の身に預けくる重さかな 水口 弥生
ママチャリのうしろ白菜まえ子供 横井 定利
白菜や湯気のむこうに笑み三つ 池村実千代
当季雑詠
玉砂利の音の尖りや今朝の冬 廣上 正市
捨てかねてめくる古本冬ぬくし 和泉田 守
ちゃん付けで呼ぶ同窓会冬うらら 岩田 千虎
鳶三羽追ひつ追はれつ冬そこに 大沢 反平
熱々を噛めば汐の香牡蠣フライ 篠田 朗
もんじゃ焼恋しくなりぬ初時雨 須藤 光迷
鰤起し能登の漁港は閉じたまま 徳永 木葉
解体の日取り決まりて冬に入る 中嶋 阿猿
冬の蝶日の差す宙を惜しみけり 溝口戸無広
《参加者》【出席10人】嵐田双歩、池村実千代、植村方円、大澤水牛、金田青水、杉山三薬、中村迷哲、星川水兎、溝口戸無広、向井愉里。【投句参加27人】和泉田守、伊藤健史、岩田千虎、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保道子、久保田操、坂部富士子、澤井二堂、須藤光迷、篠田朗、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、水口弥生、横井定利。 (報告 中村迷哲)