番町喜楽会第221回例会

18人参加、「秋冷」と「新酒」を詠む

秋霖吹き飛ばす佳句あまた

番町喜楽会は令和6年10月例会(通算第221回)を5日午後5時50分から東京・九段下の千代田区生涯学習館で開催した。10月に入っても1日、2日と30度が続くなんとも異常な令和6年だが、3日から雨が降り始め、一転涼しくなった。5日も引き続き雨。「秋霖(しゅうりん)」である。しかしもともと秋霖は9月のものであるはず。今年は夏がひどく長引いたために、秋雨前線が出張るのがずれてしまったようだ。そういえば曼珠沙華も秋彼岸には咲かず、今頃になって満開になっている。政界も「とてもなれないだろう」と言われ続けてきたイシバさんが大逆転で総理大臣になったし、県議会が全会一致で解職決議案を通して辞めさせたパワハラ兵庫県知事が出直し選挙にしゃあしゃあと出馬、もしかしたら当選してしまうかも、などと言われている。世の中なんともおかしくなってきた。この夜の句会の出席者は9人とこじんまりだったが、佳句がたくさん出て、合評会もにぎやかなものとなった。兼題は「秋冷」と「新酒」。投句は18人から89句あり、選句6句で句会を進めた結果、天の位には中村迷哲さんの「秋冷や見知らぬ駅に降りる通夜」が9点獲得で座り、地の位には須藤光迷さんの「悔しかろ新酒つくれぬ能登の蔵」が7点で治った。人の位は5点で向井愉里さんの「久留里まで角打列車新酒酌む」と迷哲さんの「なぜ能登や天に問いたき秋出水」の2句が選ばれた。続く4点句には廣田可升さんの「秋冷の朝五枚刃の剃り心地」と斉山満智さんの「気に入りのぐい呑み出して新酒かな」の2句が並んだ。以下3点7句、2点13句、1点19句と続いた。                       兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「秋冷」

秋冷や見知らぬ駅に降りる通夜    中村 迷哲

秋冷の朝五枚刃の剃り心地      廣田 可升

秋冷やそろそろできる猫団子     斉山 満智

秋冷を連れて下界へケーブルカー   中村 迷哲

秋冷の鍋を揺らして粉ふきいも    星川 水兎

秋冷や寒い暑いと老夫婦       田中 白山

「新酒」

悔しかろ新酒つくれぬ能登の蔵    須藤 光迷

久留里まで角打列車新酒酌む     向井 愉里

気に入りのぐい呑み出して新酒かな  斉山 満智

新酒酌む椅子の揃はぬ隅の席     玉田春陽子

ありがたや新酒を交はす友のあり   澤井 二堂

「当季雑詠」

なぜ能登や天に問いたき秋出水    中村 迷哲

乳がんの疑い晴れたりカンナ燃ゆ   山口斗詩子

【参加者】(出席9名)大澤水牛、金田青水、須藤光迷、田中白山、玉田春陽子、中村迷哲、廣田可升、前島幻水、向井愉里。(投句参加9名)嵐田双歩、斉山満智、澤井二堂、高井百子、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、星川水兎、山口斗詩子。 (報告大澤水牛)

 

 

This entry was posted in 句会報告. Bookmark the permalink.

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>