日経俳句会第232回例会

 

35人参加、「冷やか」と「唐辛子」を詠む

光迷句「別姓」が最高10点、二席7点に4人が並ぶ

日経俳句会は令和6年の9月例会(通算232回)を9月18日(水)夕に鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。昼間は残暑が厳しく、出席は11人にとどまったが。高点句が多く充実した句会となった。兼題は「冷やか」と「唐辛子」。35人から105句の投句があり、6句選(欠席は5句)の結果、須藤光迷さんの「別姓に何の支障が秋刀魚焼く」が10点を集め一席となった。二席7点には中嶋阿猿さんの「秋冷の谷より満ちて奥箱根」と溝口戸無広さんの「冷やかや小樽硝子は海の色」、大澤水牛さんの「荒庭にあかあかとあり鷹ノ爪」、横井定利さんの「白湯一杯飲んで出かける敬老日」の4句が並んだ。三席6点には嵐田双歩さんの「冷やかや船屋に寄する波の音」が入ったほか、5点3句、4点8句、3点13句と続き、高点句が30句を数えた。2点は16句、1点は24句だった。なお暑さで体調を崩し投句を休んでいた今泉而云さんが久々に顔を出し、選句に加わった。兼題別の高点句(三点以上)は以下の通り。

「冷やか」

秋冷の谷より満ちて奥箱根              中嶋 阿猿

冷やかや小樽硝子は海の色              溝口戸無広

冷やかや船屋に寄する波の音             嵐田 双歩

冷やかな畳にごろり旅帰り              谷川 水馬

手水舎に掬ふ一勺冷やかに              久保田 操

カウベルに夕冷えまさる山の牧            徳永 木葉

冷やかやガラリ変わったお品書            中沢 豆乳

不用意に座るベンチの冷ゆるかな           水口 弥生

冷やかや芭蕉坐像の隅田風              横井 定利

「唐辛子」

荒庭にあかあかとあり鷹ノ爪             大澤 水牛

干し上げて赤に紅増す唐辛子             篠田  朗

唐辛子吊るし山家の道しるべ             杉山 三薬

朝市や婆の商う鷹の爪                須藤 光迷

知事殿に土産どっさり唐辛子             中沢 豆乳

生き難き世にピンと立つ唐辛子            伊藤 健史

箸で退けやっぱり食べる唐辛子            植村 方円

唐辛子入りの瓜漬け成田山              金田 青水

信濃では蕎麦に南蛮磯五郎              高井 百子

当季雑詠

別姓に何の支障が秋刀魚焼く             須藤 光迷

白湯一杯飲んで出かける敬老日            横井 定利

秋うららお風呂沸いたと電子音            嵐田 双歩

もういいよもういいよねと秋の蝉           久保田 操

写経終へ出でたる庭に秋の蝶             谷川 水馬

秋めくや肺の奥まで風通す              植村 方円

アサギマダラ見よ我が庭の藤袴            高井 百子

雨ごとに色くすみゆく秋の森             溝口戸無広

猛暑日がにじり寄ってく秋彼岸            杉山 三薬

廃校の軒先借りて柿吊す               中沢 豆乳

銀河濃しつまらぬ悩み薄くなる            旙山 芳之

脳外科のCTセーフ夏終る              藤野十三妹

《参加者》【出席11人】嵐田双歩、池村実千代、今泉而云、大澤水牛、金田青水、澤井二堂、篠田朗、杉山三薬、堤てる夫、中村迷哲、向井愉里。【投句参加25人】伊藤健史、岩田千虎、植村方円、大沢反平、岡田鷹洋、岡松卓也、加藤明生、久保道子、久保田操、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、中野枕流、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、溝口戸無広、水口弥生、横井定利。

(報告 中村迷哲)

 

 

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