日経俳句会第222回例会

最高8点に双歩句「虫時雨」

36人が「露」「蜩」を詠む

日経俳句会は令和5年9月例会(通算222回)を9月20日(水)に鎌倉橋の日経広告研究所会議室で開いた。兼題は「露」と「蜩」で、36人から117句の投句があった。ゲリラ豪雨が首都圏を通り抜け、残暑が一服したこの日は12人が顔をそろえ、秋の句を縦横に論じた。選句6句(欠席は5句)で句会を進めた結果、嵐田双歩さんの「なんやかやいふてるらしき虫時雨」が8点を獲得、一席となった。二席は堤てる夫さんの「露しとど重たきラフの二打三打」と            須藤光迷さんの「蜩の絶えて瀬音のよみがえり」が7点で並び、三席6点には中村迷哲さんの「かなかなの勤行に和す山の寺」が入った。5点は4句、4点8句、3点6句、2点25句、1点29句だった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「露」

露しとど重たきラフの二打三打            堤 てる夫

木道に貂の足あと露葎                星川 水兎

朝露や光と陰の石畳                 加藤 明生

朝消える露に万華の光あり              野田 冷峰

木々の露降らせるリスの鬼ごっこ           中沢 豆乳

露けしや木道の先山けぶる              中嶋 阿猿

「蜩」

蜩の絶えて瀬音のよみがえり             須藤 光迷

かなかなの勤行に和す山の寺             中村 迷哲

カナカナのカで尻切れとなりにけり          今泉 而云

蜩を逆さから聞く股覗き               岡松 卓也

蜩や石抱き眠る味噌の樽               徳永 木葉

雨やみて蜩の声米を研ぐ               中野 枕流

蜩や瞼に遠く祖母の家                溝口戸無広

蜩に打たれる丘や無言館               堤 てる夫

「当季雑詠」

なんやかやいふてるらしき虫時雨           嵐田 双歩

硝子戸に老け顔映る夜長かな             中野 枕流

秋刀魚くう妻子に腸(わた)を貰いうけ         須藤 光迷

銀河濃し万年前の光降る               旙山 芳之

天北へ道はまつすぐ蕎麦の花             廣上 正市

夜食粥病の兄の残る日々               岡田 鷹洋

沖を見る沖より秋が来るやうな            金田 青水

栗の実の屋根打つ朝やずる休み            高井 百子

《参加者》【出席12人】池村実千代、今泉而云、大澤水牛、岡田鷹洋、金田青水、篠田朗、杉山三薬、鈴木雀九、堤てる夫、中野枕流、中村迷哲、星川水兎。【投句参加24人】嵐田双歩、和泉田守、伊藤健史、岩田三代、植村方円、大沢反平、岡松卓也、加藤明生、工藤静舟、久保田操、澤井二堂、須藤光迷、高井百子、高橋ヲブラダ、谷川水馬、徳永木葉、中沢豆乳、中嶋阿猿、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、溝口戸無広、向井愉里、横井定利。 (報告 中村迷哲)

 

 

 

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