「龍田姫」と「後の月」を詠む
玉田春陽子さん8点と6点でトップと次席を独占
番町喜楽会は、令和2年10月例会(通算177回)を10月3日(土)午後6時から、「龍田姫」と「後の月」を兼題として九段下の千代田区立九段生涯学習館で開いた。投句者は22名で、投句数106句。そのうち14名が会場に集まり句会を始めた。投句5句、選句6句(欠席投句者は5句選)の結果、玉田春陽子さんの「芦の湖を姿見にして龍田姫」が8点でトップに輝いた。次席も玉田春陽子さんの「自販機を叱る男や後の月」。三席は池内的中さんの「大和路に風吹き抜けて龍田姫」と谷川水馬さんの「渾身の一日花やオクラ咲く」の5点2句。以下、4点句が2句、3点9句、2点20句、1点26句という結果であった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「龍田姫」
芦の湖を姿見にして龍田姫 玉田春陽子
大和路に風吹き抜けて龍田姫 池内 的中
袖口を藪にからめて龍田姫 今泉 而云
大山の長き石段龍田姫 大澤 水牛
後ろ姿追ひて山路を龍田姫 大下 明古
「後の月」
自販機を叱る男や後の月 玉田春陽子
十三夜特養とうに寝静まり 徳永 木葉
老猫をあぐらに乗せて十三夜 大澤 水牛
豊島園閉じて寂寞後の月 山口斗詩子
「雑詠」
渾身の一日花やオクラ咲く 谷川 水馬
黒猫も納屋へ飛び込む芋嵐 須藤 光迷
虫の音のふつと止みまたふつと鳴き 嵐田 双歩
モノクロの路地を彩る柘榴の実 塩田 命水
強かや倒れてもなほ秋桜 高井 百子
トタン屋根とんとことんと木の実降る 星川 水兎
《参加者》【出席14人】嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、金田青水、須藤光迷、高井百子、田中白山、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、野田冷峰、廣田可升、前島幻水。【投句参加8人】池内的中、大下明古、斉山満智、澤井二堂、塩田命水、谷川水馬、星川水兎、山口斗詩子。 (報告・谷川水馬)