コロナ禍一服、四ヵ月ぶり句会開催
「黒南風」と「茄子」を詠む
番町喜楽会は令和2年6月例会(通算第173回)を6月6日、九段下の千代田区立生涯学習館で開催した。コロナウイルス禍により3、4、5月とメール句会にせざるを得なかったが、四カ月ぶりの通常句会に15人が元気に出席した。兼題は「黒南風」と「茄子」で、投句5句、選句6句。本日の最高は6点で谷川水馬さんの「眠る子の握り拳や柿の花」、次席5点に嵐田双歩さんの「黒南風や磯の祠に一升瓶」と「茄子もいで夫婦のひと日始まりぬ」、廣田可升さんの「濁音のやさしき人と夕涼」の3句が並び、三席4点は今泉而云さんの「男手の茄子は炒めるばかりなり」、廣田可升さんの「黒南風や夫の機嫌を読む朝餉」と「閉店のメール短し走り梅雨」、前島幻水さんの「黒南風や猫の身を寄す放置船」の4句。3点が6句だった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。
「黒南風」
黒南風や磯の祠に一升瓶 嵐田 双歩
黒南風や夫の機嫌を読む朝餉 廣田 可升
黒南風や猫の身を寄す放置船 前島 幻水
黒南風の轟轟と哭く九十九里 金田 青水
黒南風やトランペットのきれぎれに 谷川 水馬
黒南風や浜の食堂早じまい 中村 迷哲
「茄子」
茄子もいで夫婦のひと日始まりぬ 嵐田 双歩
男手の茄子は炒めるばかりなり 今泉 而云
冷酒汲む茄子の鴫焼き白き皿 堤 てる夫
丸茄子髭の八百屋は異邦人 前島 幻水
「当季雑詠」
眠る子の握り拳や柿の花 谷川 水馬
濁音のやさしき人と夕涼 廣田 可升
閉店のメール短し走り梅雨 廣田 可升
柿若葉眩しく雨の上がりけり 玉田春陽子
《参加者》(出席15人)嵐田双歩、今泉而云、大澤水牛、金田青水、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、野田冷峰、廣田可升、前島幻水。(欠席投句6人)池内的中、大下明古、斉山満智、谷川水馬、星川水兎、山口斗詩子。 (報告・須藤光迷)