番町喜楽会第172回

「浴衣」と「卯の花」を詠む

木葉「おすそ分け」と迷哲「子供の日」が8点で並ぶ

番町喜楽会は、令和2年5月の例会(通算第172回)をメール句会として開催した。兼題は「浴衣」と「卯の花」、締め切りは投句(5句)が5月4日、選句(6句)が5月11日。その結果、最高の8点に徳永木葉さんの「お隣へ卯の花越しのおすそ分け」と中村迷哲さんの「遊具みなテープで縛る子供の日」が並び、次席は5点で大澤水牛さんの「糊こはき浴衣六方踏むやうに」、斉山満智さんの「浴衣着て異国の宴の花となり」、山口斗詩子さんの「化粧せず着替えもせずに初夏迎ふ」の3句。4点句は六つ、3点句は八つだった。なお、大下綾子さんが今回から明古(めいぷる)という俳号を名乗ることになった。兼題別の高点句(3点以上)は次の通り。

「浴衣」

糊こはき浴衣六方踏むやうに        大澤 水牛

浴衣着て異国の宴の花となり        斉山 満智

ヨーヨーと金魚ぶら下げ浴衣の子      須藤 光迷

出番なき浴衣の山や温泉街         嵐田 双歩

浴衣の輪団地広場を埋めし頃        中村 迷哲

古浴衣裁ちてマスクに変身す        山口斗詩子

「卯の花」

お隣へ卯の花越しのおすそ分け       徳永 木葉

卯の花や女人高野へ太鼓橋         谷川 水馬

卯の花や縁側といふ応接間         玉田春陽子

卯の花に思はず唱歌口ずさむ        前島 幻水

卯の花やいざ鎌倉の切通し         玉田春陽子

せせらぎへ卯の花こぼる城下町       前島 幻水

「当季雑詠」

遊具みなテープで縛る子供の日       中村 迷哲

化粧せず着替えもせずに初夏迎ふ      山口斗詩子

家中に香気立ち籠め自家製茶        大澤 水牛

緊急事態宣言下女児誕生

あたらしき命さづかる穀雨かな       廣田 可升

湾奥の無人の干潟こあじさし        田中 白山

手毬花揺らす雀や雨上がり         谷川 水馬

地蔵まで赤いマスクの立夏かな       玉田春陽子

《参加者》(22人)嵐田双歩、池内的中、今泉而云、大澤水牛、大下明古、金田青水、斉山満智、澤井二堂、塩田命水、須藤光迷、高井百子、田中白山、谷川水馬、玉田春陽子、堤てる夫、徳永木葉、中村迷哲、野田冷峰、廣田可升、星川水兎、前島幻水、山口斗詩子。   (報告・須藤光迷)

 

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