日経俳句会第189回例会

参加34人で「初夏」「空豆」を詠む

芳之さん「ナース」で断トツ10点

日経俳句会の令和2年5月例会(通算189回)は、新型コロナの緊急事態宣言を受け、三、四月に続き3カ月連続のメール句会となった。兼題は「初夏」と「空豆」。長引く外出自粛にも創作意欲は衰えず、通常月並みの34人から102句の投句があった。5月20日を締め切りにしたメール5句選の結果、旙山芳之さんの「夜勤明けナース二年目初夏の風」が断トツの10点を獲得、コロナに立ち向かう医療従事者への共感が広がった。6点句に杉山三薬さん「笛太鼓蔵を出でずも夏初め」と中村迷哲さん「安曇野に山並映し田水張る」、廣上正市さん「夏来たる取水口より水けむり」の3句が並び、5点句には「焼き空豆心配なほど焦げてをり 水兎」と「弧をなして水平線に夏来る 反平」の2句が入った。以下4点4句、3点20句、2点32句、1点24「句だった。また今月から大下綾子さんが明古(めいぷる)の俳号を名乗ることになった。兼題別の高点句(3点以上)は以下の通り。

「初夏」

夜勤明けナース二年目初夏の風        旙山 芳之

笛太鼓蔵を出でずも夏初め          杉山 三薬

本堂の初夏の陽眩し写経会          岡田 鷹洋

まだ来ないアベノマスクや初夏となる     髙井 百子

初夏の空に大独楽投げ上げる         今泉 而云

自転車のペダル踏み込み初夏の風       植村 博明

雑草と追駆けっこの初夏の庭         大澤 水牛

起き抜けに一巡りする初夏の庭        金田 青水

樹に草にみなぎる光夏初め          水口 弥生

「空豆」

焼き空豆心配なほど焦げてをり        星川 水兎

はじき豆五粒の妻の食細き          大沢 反平

空豆や三つ子そろひの野球帽         谷川 水馬

空豆の端の小さき弟よ            今泉 而云

荷解けば父の空豆ぎっしりと         岩田 三代

空豆の白きワタにも親心           中嶋 阿猿

空豆を噛むや鼻腔に青き風          中村 迷哲

つれあひと蚕豆を剥く幸不幸         横井 定利

当季雑詠

安曇野に山並映し田水張る          中村 迷哲

夏来たる取水口より水けむり         廣上 正市

弧をなして水平線に夏来る          大沢 反平

一メートルあけてレジ前夏マスク       大澤 水牛

薔薇色の薔薇のあふるる垣根かな       大下 明古

ペタペタと素足幼な児こっちこっち      大平 睦子

籠の鳥黄金週に妻多弁            荻野 雅史

小満や露地の野菜に一番果          金田 青水

祖父震災父召集二度我コロナ         鈴木 雀久

花片のふれなば散らむ白牡丹         髙井 百子

久々の飛行機雲や薄暑光           谷川 水馬

連休や家でゆるりと柏餅           旙山 芳之

教会の細き十字架薔薇の雨          星川 水兎

《参加者》嵐田双歩、池村実千代、井上庄一郎、今泉而云、岩田三代、植村博明、大澤水牛、大沢反平、大下明古、大平睦子、岡田鷹洋、荻野雅史、加藤明生、金田青水、久保田操、澤井二堂、杉山三薬、鈴木雀九、高井百子、髙石昌魚、高橋ヲブラダ、谷川水馬、堤てる夫、徳永木葉、中島阿猿、中村迷哲、野田冷峰、旙山芳之、廣上正市、藤野十三妹、星川水兎、水口弥生、向井ゆり、横井定利。   (報告 中村迷哲)

 

 

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