秋晴れの午後、「立冬」と「七五三」を詠み合う
11月4日(月)午後3時、東京・九段下の千代田区生涯学習館で第167回番町喜楽会が開かれた。夏も秋も滅茶苦茶な天気が続いていたが、ようやく落ち着いてきたのだろうか、この日は青空が広がり、白雲が浮かぶ上々の天気。しかもこの日は文化の日の振替休日ということで、昼間に句会開催。大方は昼間だろうが夜だろうが「暇と言えば暇、忙しいと言えば忙しい」という人たちばかりだから、出席16人、欠席投句4人と、いつもと同じようなサイズの句会である。
いつも通り投句5句選句6句で句会を行った結果、最高点は玉田春陽子さんの「投げ上げる声も受け止め掛大根」の6点。続く5点は2句で嵐田双歩さんが「薄目開け犬のまた寝て今朝の冬」と「変な顔わざとして見せ七五三」で一人占めした。以下、4点3句、3点9句が続いた。3点句以上の高点句は次の通り。
『立冬』
薄目開け犬のまた寝て今朝の冬 嵐田 双歩
立冬やカレー日和の神保町 野田 冷峰
韓国語消えて長崎冬に入る 高井 百子
立冬や青菜の畝の薄明かり 須藤 光迷
朝刊のバイクの音も冬に入る 嵐田 双歩
閉館の時刻繰り上げ冬に入る 玉田春陽子
『七五三』
変な顔わざとして見せ七五三 嵐田 双歩
ダウン児の晴れ着の笑顔七五三 田中 白山
七五三シングルママの凜々しくて 田中 白山
権禰宜が写真撮ります七五三 堤 てる夫
祖父は元名カメラマン七五三 今泉 而云
母と子の二人で生きて七五三 中村 迷哲
『当季雑詠』
投げ上げる声も受け止め掛大根 玉田春陽子
どん尻に弾む笑顔や運動会 須藤 光迷
冬ざるる流れ尖りて千曲川 堤 てる夫
(まとめ 大澤水牛)