英尾先生没後14年
花見の名所小金井公園へ10人参加
日経俳句会と番町喜楽会の有志が3月30日(土)、村田英尾先生の墓参と桜狩吟行を行った。午前10時、JR高尾駅には、大澤水牛、今泉而雲、田中白山、澤井二堂、野田冷峰、中村迷哲、嵐田双歩と幹事の杉山三薬と堤てる夫の9人が顔をそろえた(向井ゆりさんが後刻参加し計10人に)。桜前線の早い動きを予想しての日取りだったのだが、都立八王子霊園や森林公園桜保存林の辺りは満開には程遠く、曇り時々晴れで少々寒さを感じるほどだった。墓参後JR駅に戻り武蔵小金井駅下車、花の名所小金井公園を訪れた昼頃には晴れ間も多くなり、気温も上がる花見日和となった。
日経俳句会主宰の英尾先生が亡くなったのは平成17年3月2日だから没後もう14年たった。花を供え線香を焚き、一人一人墓前にぬかずいた。
小金井公園は昭和54年開園、1800本の桜が植えられて、花見の名所となった。公園南側には玉川上水が流れ、この桜並木は1737年(元文2年)に植樹されたのが始まり。「小金井桜」として1924年(大正13年)に名勝指定された。しかし年とともに並木は衰え、今では小金井公園に「桜の名所」を譲った。
1993年(平成5年)には「江戸東京たてもの園」が開設、公園の名物施設となった。園内には二・二六事件で惨殺されたダルマ蔵相高橋是清邸はじめ、江戸中期の茅葺農家、八王子千人同心組頭家など茅葺の家々。明治末期の三階建洋館、大正期の実業家別邸などのほか、下谷言問通りにあった居酒屋「鍵屋」、千住元町の唐破風の銭湯「子宝湯」、昭和の写真館「常盤台写真場」など、ぐるぐる回って飽きなかった。
吟行の締めくくりは小金井駅傍の割烹酒処「一駒」、江戸東京たてもの園から参加した向井ゆりさんも加わって、疲れた脚を伸ばし、早めの夕食懇談となった。
墓参・花見吟行句会は、堤幹事に5句送信し、幹事から選句表が参加者に送信され、選句選評を送る恒例の「メール句会」方式で行った。結果は最高点が5点で、中村迷哲さんの「宰相の受難の屋敷春茶会」の1句。次席4点は嵐田双歩さんの「線香の火のつきにくし桜東風」と、杉山三薬さんの「花の下昭和息づく写真館」の2句。三席3点は「三役の要石たる花幹事 双歩」「芽柳や唐破風屋根の子宝湯 白山」「咲き継ぎし玉川上水山桜 水牛」「花盛り鍵屋の土間の懐かしさ 水牛」の計4句だった。続く2点句は水牛さんの「花見上ぐ人を見上ぐる鯉の群れ」「呼売りのお湯割焼酎花の冷え」「花のもと知らず一万四千歩」の3句と、白山さんの「上水の土手のあちこち諸葛菜」、向井ゆりさんの「桜咲く上水沿いのカフェテリア」を合わせて計5句だった。 (報告 堤てる夫)